MUSICAL

[MUSICAL]『マタ・ハリ』を上回るスケール!『笑う男』全貌を公開

[MUSICAL]『マタ・ハリ』を上回るスケール!『笑う男』全貌を公開

 

(写真左から)美術オ・ピリョン、衣装グレゴリー・A・ポプリク、演出ロバート・ヨハンソン、オム・ホンヒョンEMK代表、キム・ジヒョンEMKプロデューサー、ヘアメイク キム・ユソン ©EMKミュージカルカンパニー

オム・ホンヒョンEMK代表/総括プロデューサー ©EMKミュージカルカンパニー

EMKミュージカルカンパニー(以下EMK)が『マタ・ハリ』に続き2番目のオリジナル作品に挑む、『笑う男』の制作陣が作品の概要を紹介する制作発表記者会見が、3月12日開催された。

準備に5年をかけ、ついに今年本公演となる『笑う男』だが、実はEMKが2016年に初の創作ミュージカルとして上演した『マタ・ハリ』よりも先に企画を進めていた作品だったという。最初に登壇したオム・ホンヒョン代表は「まだ稽古を始めてはいないが、衣装からセットまで現時点で90%以上完成させている。ワールドプレミアにふさわしく完成度の高い公演にしなくてはいけないと準備している」と挨拶し、『マタ・ハリ』以上に世界を狙う作品に仕上がりつつある自信をのぞかせた。

脚本・演出のロバート・ヨハンソン ©EMKミュージカルカンパニー

 

 

 

 

本作は『レ・ミゼラブル』『ノートルダム・ド・パリ』の原作者として知られるヴィクトル・ユゴーが1869年に発表した同名小説を原作にしている。脚本・演出のロバート・ヨハンソンが偶然飛行機の機内で見た『笑う男』のフランス版映画にいたく感動したことが制作のきっかけとなった。「機内にいるのに涙が止まらず、この作品をミュージカルにしてはどうかと思いついた。飛行機を降りてすぐに(作曲家の)フランク(・ワイルドホーン)に電話し、“この映画を見て”と伝えた。するとフランクも映画の魅力にはまって作曲に取り掛かり、数曲を仕上げてきた。それからオム代表らEMKのプロデューサーに舞台化を提案して本格的に制作が始まった」という。ロバートは振付のジェイミー・マクダニエルと共にヴィクトル・ユゴーが最後に暮らした家を訪ねるなどして準備を重ねたほか、彼が幼いころに親しんだ古典文学をコミック化した児童書シリーズの写真をスクリーンに映して「そのなかでも『笑う男』が一番好きだったことを後で思い出した」と、原作との運命的な縁も語っていた。

制作発表会の進行は、日本で女優・MCとして活躍するキム・テイが務めた。会場前方左側には、美術オ・ピリョンデザインのセットの模型も展示されていた。©EMKミュージカルカンパニー

本作の主人公は貴族の子息として生まれたが、対抗勢力に父を殺され、口角を切り割かれて顔に笑ったような傷を刻まれた青年グウィンプレン。盲目の少女デアとともに興行師に拾われ、サイドショー(見世物小屋)の芸人となり、決して幸せな境遇ではなかったが相思相愛のデアと過ごす日々を糧に生きていた。しかしある日、幼いころの彼を知る貴族が彼の存在に気づき、女王に報告。やがて貴族へ身分を回復したグウィンプレンだが、彼にはさらなる試練が待っているのだ。

作曲家フランク・ワイルドホーン インタビュー映像(EMK公式YouTubeより)

原作にもある「裕福な者たちの楽園は、貧しい人々の地獄の上に建てたものだ(부유한 자들의 낙원은 가난한 자들의 지옥으로 지은 것이다)」という一文は本作のテーマとして、台本の1ページ目にも記されているという。17世紀英国を舞台にしているが、現代の格差社会にも通じる“クラス(階級)”への鋭い批評と風刺が根底にあるこの物語で、どん底から這い上がろうとするグウィンプレンの姿は共感を呼ぶだろう。
ロバートは、昨年末に主要キャストを揃えて進行したワークショップでは「参加した皆が泣いた」と語り、物語を彩るフランク・ワイルドホーンの楽曲は「『ジキル&ハイド』以降で最高のスコア」と絶賛するなど、すでにスタッフ間でもクオリティの高さは検証済みのようだ。

作詞家ジャック・マーフィー インタビュー映像(EMK公式YouTubeより)

EMK作品を長年支えてきた音楽の要であるキム・ムンジョン音楽監督は「メインテーマ曲をはじめ、バイオリンの旋律が特徴的な楽曲となる。実際にバイオリニストが舞台に登場して、主人公の感情を代弁するような役割となるだろう」と予告。また、「フランクの楽曲の最大の魅力は大衆性。甘く抒情的なメロディーが特徴だが、今回はジプシー音楽をギターやマンドリンも入ったフルオーケストラで表現する楽曲もある」と語り、フランクのポップス作曲家としての利点も生かしたスコアが聴けそうだ。

キム・ムンジョン音楽監督(左)とオ・ピリョン舞台美術デザイナー ©EMKミュージカルカンパニー

舞台美術担当のオ・ピリョンは、台本にある一文にインスピレーションを受け“傷”をキーワードに視覚化した。「一部の金持ちの享楽のために子供の口を裂き、傷を与えて喜びを得る。貧しい者たちの世界は傷だらけだ。一方金持ちは傷があってもそれを覆い隠そうし、誇張されてより分厚くなっている」と独自の作品感を語っていた。どのシーンも世界を表す円形が特徴的なセットとなっており、会場に小型の模型も持ち込んでコンセプトを紹介していた。

主人公グウィンプレンの口を象徴するようなメイン舞台(左)と、グウィンプレンが貴族階級に復権後のシーン(右)©オ・ピリョン

『ファントム』に続き、EMK作品の衣装を担当することになったグレゴリー・A・ポプリクは、「時代を特定させたくないというロバートのリクエストに応え、バレンシアガからヴィヴィアン・ウエストウッドまでたどりつつ、様々な時代の要素を取り入れて185体の衣装を制作した」という。女王の衣装には白、金、銀などの色使いで貴族の高貴さを表現する一方、見世物小屋の芸人などにはブードゥー的イメージを持たせたモノトーンの衣装スケッチを披露していた。

衣装コンセプトを説明するグレゴリー・A・ポプリクデザイナー ©EMKミュージカルカンパニー

そしてヘアメイク担当のキム・ユソンは「最近は人の口元ばかり見ている」と話しはじめて笑いを誘った。グウィンプレンの特徴的な“割けた口”の特殊メイクのテスト版イメージ写真を公開しつつ、「俳優のカッコよさは生かしつつ、歌を歌う際の妨げにならないようにどう作るかに苦心している」と語っていた。

ドクター・コンクエスト(左)と、興行師ウルシュスの衣装スケッチ ©グレゴリー・A・ポプリク

制作費は『マタ・ハリ』の125億ウォンを上回る175億ウォンが投じられる。テレビ局SBSとインターパークが主な出資企業だそうだが、初演のみならず、今後の再演や海外へのライセンス販売などを通して収益を回収していく長期的展望があるそうだ。7月からの芸術の殿堂オペラ劇場での公演は、芸術の殿堂の開館30周年記念作のひとつとして上演。その後、9月からブルースクエア インターパークホールに会場を移して10月末まで上演される。初演作ながら、2会場で計4カ月にわたる長期公演が実施されるのは異例だが、今後大型創作ミュージカルを制作するうえで、試金石となる重要な作品となりそうだ。

キャストは4月に公開予定。会見当日も助演俳優のオーディションを終えてきたという制作陣は、主演のみならず端役までも役柄や楽曲に合う人材を探すオーディションを行い、さらに完成度を高めるために努力しているそうだ。


【公演情報】
ミュージカル『笑う男』(웃는 남자)
2018年7月10日~8月26日 芸術の殿堂オペラ劇場
2018年9月4日~10月28日 ブルースクエア インターパークホール

総括プロデューサー:オム・ホンヒョン/プロデューサー:キム・ジウォン/脚本・演出:ロバート・ヨハンソン/作曲:フランク・ワイルドホーン/作詞:ジャック・マーフィー/編曲・オーケストレーション:ジェイソン・ハウランド/韓国語歌詞・協力演出:クォン・ウナ/音楽監督・指揮:キム・ムンジョン/振付:ジェイミー・マクダニエル/協力振付:ホン・セジョン/舞台:オ・ピリョン/衣装:グレゴリー・A・ポプリク/衣装スーパーバイザー:アン・ヒョンジュ/ヘアメイク:キム・ユソン/照明:グ・ユニョン/映像:ソン・スンギュ/小道具:チョ・ユニョン/舞台監督:チョン・ウニョン

写真提供:EMKミュージカルカンパニー
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『笑う男』メインテーマ曲 ティーザー映像(EMK公式YouTubeより)

[コラム]2018年韓国舞台読者アンケート結果発表

[コラム]2018年韓国舞台読者アンケート結果発表

 

1月末に公開しました「2018年韓国ミュージカル/演劇の見どころは?」という記事のなかでお願いした読者アンケートを集計しました。回答にご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。
いま韓国の舞台に興味をお持ちの方が、注目されている作品や俳優を知ることができて、とても興味深い結果となりました。


3年ぶりの再演は11月、ブルースクエア インターパークホールで上演 ©EMKミュージカルカンパニー

【2018年に見たい韓国ミュージカルは?】
2018년에 보고 싶은 한국 뮤지컬은?

1位『エリザベート』(엘리자벳)
2位『フランケンシュタイン』(프랑켄슈타인)
3位『ファントム』(팬텀)
4位『ジキル&ハイド』(지킬 앤 하이드)
5位『ドクトル・ジバゴ』(닥터 지바고)

見事、過去にヒットした大型ミュージカルの再演作品が並びました。なかでも『エリザベート』はぶっちぎりの1位です。アンケートには3作品記入可能なように設定していましたが、『エリザベート』は項目①②へ優先的にご記入いただいた方が多かったです。2位の『フランケンシュタイン』は韓国創作(オリジナル)作品のなかでは他を圧倒。ほか項目①にご記入が多かったのが『三銃士 10周年記念公演』でした。上位作品は日本版が上演されているものも多く、既にストーリー等を理解していて、安心して観られる作品を好まれる印象を受けました。
一方、日ごろ創作ミュージカルや小劇場作品まで幅広くご覧になっているんだろうな、という印象を受けた回答を下さった方は全体の1割程度だったのは少々残念でした。

ちなみに公演情報サイトPlay DBの調査では、新作は『笑う男』『マチルダ』、再演作は『フランケンシュタイン』『バンジージャンプする』という結果が。

公演情報サイトStage Talkの調査では新作『マチルダ』『レッド・ブック』、再演作では『フランケンシュタイン』『ストーリー・オブ・マイライフ』と、韓国では日本の観客とは作品の嗜好が若干異なる結果となっています。


モーツァルト役はチョ・ジョンソク、キム・ジェウク、キム・ソンギュ(INFINITE)とトリプルキャストとなった『アマデウス』はチケット争奪戦必至の話題作。©Page 1

【2018年に見たい演劇は?】2018년에 보고 싶은 한국 연극은?
1位『アマデウス』(아마데우스)
2位『ネヴァー・ザ・シナー』(네버 더 시너)
3位『リチャード三世』(리처드 3세)
4位『ミザリー』(미저리)
5位『Bea』(비)

演劇は『アマデウス』ほぼ一択という結果に。有名キャストが名を連ねるだけに、改めて人気を実感しました。ミュージカルの欄に『アマデウス』と書かれていた方が多かったのですが(今回は演劇として集計しました)、歌を歌うかどうかよりも作品を(俳優を)とにかく見たい、というお気持ちの現れかと思いました。また、ミュージカルにはたくさんのタイトルをご記入いただいている方が、演劇で見たいものは「ない」もしくは無回答の方もかなりいらっしゃいました。
日本国内だとミュージカルよりも演劇ファンのほうが幅広くいらっしゃる印象があるのですが、やはり言葉の問題か……韓国で演劇までご覧になるのはハードルが高いようです。演劇のほうがチケットも安いし、多様な作品が見られると思うんですけどねぇ。。。

公演情報サイトのPlay DBStage Talkも共に、人気作家東野圭吾原作で、朗読公演も好評だった『ナミヤ雑貨店の奇跡』が期待作1位となっています。再演作ではStage Talkの調査で『カポネ・トリロジー』が1位となっています。


日本の観客にはダントツの1位を誇ったパク・ウンテさん主演の『ドクトル・ジバゴ』は2月27日よりシャーロッテシアターで開幕。©ODカンパニー

【好きな韓国舞台俳優は?】좋아하는 한국 배우는?
1位:パク・ウンテ(박은태)
2位:ホン・グァンホ(홍광호)
3位:オク・ジュヒョン(옥주현)
4位:チョン・ドンソク(전동석)
5位:チョ・ジョンソク(조정석)

好きな俳優も3名まで記入いただけるよう設定していましたが、おそらく韓国国内で人気投票したら結果が違うかも? と思いました。優先順位①の項目に最も多く名前が挙がっていたのがパク・ウンテさん。最近大作に次々と主演されていますが、日本の皆さんがどの作品でウンテさんに魅了されたのか? とても気になりました(『フランケンシュタイン』再演への期待度?)。そして、チョン・ドンソクさんの人気が高いのは、現在『ザ・ラスト・キス』が上演中であることと、過去に何度か日本でコンサートをされたことが大きいのかな? と思いました。また、女優さんの名前はほとんど挙がらなかったなか、オク・ジュヒョンさんが男優陣を抜いて3位というのはさすが。韓国ミュージカル界の女王の面目躍如です。

実は俳優部門は、歌手やアイドル出身俳優が上位に入るのでは? と予想していたのですが、兵役で活動休止中だったり、特に出演予定作がないときは大きく関心度が落ちるということが分かりました。K-POPファンの方が、もう少し舞台にも興味を持ってくだされば、韓国の公演界をさらに盛り上げることができるのではないでしょうか?

俳優に関しては、かなり票が割れてしまい、1票しか入らなかった方については、以下にお名前だけ紹介します。なかには筆者が名前を知らなかった俳優もいて、まだ無名の俳優を日本から応援されている、というその情熱に感服しました。

<グラフ掲載外の俳優(あいうえお順)>
イ・ジフン/イ・チャンヨン/イ・ドンファ/イ・ホウォン/イ・ユル/イム・ヒョンス/イム・へヨン/オ・マンソク/カン・ヨンソク/キム・ウヒョン/キム・ソヒョン/キム・ソンチョル/キム・チャンジョン/キム・チャンホ/キム・デヒョン/キム・ヨンチョル/クォン・ギジュン/クォン・ヨングク/コ・ウンソン/コ・フンジョン/コ・ヨンビン/シン・ソンウ/ソ・スンウォン/ソ・ヨンジュ/ソン・ヨンジン/ソンジェ/チェ・ウォンソプ/チェ・ミンチョル/チャ・ジヨン/チャン・ウナ/チャン・スンジョ/チュウォン/チョ・グォン/チョ・スンチャン/チョ・ソンユン/チョ・ヒョンギュン/チョ・プンレ/チョン・カフィ/チョン・ソンウ/チョン・テグン/チョン・ドンファ/チョン・ミド/パク・ジュンフィ/パク・ソングォン/パク・トンハ/パク・ハングン/パク・ミンソン/パク・ヨンス/ハン・ジュニョン/ピョン・ヨハン/ファン・チャンソン/ぺク・ヒョンフン/ユン・ジオン/ユン・ジュンサン/ユン・ソホ/ユン・ナム/リョウク/ルイス・チョイ


【今まで見た韓国舞台作品で良かったものは?】지금까지 본 공연 중 가장 사랑하는 작품은?
1位『フランケンシュタイン』(프랑켄슈타인)
2位『エリザベート』(엘리자벳)
3位『ジキル&ハイド』(지킬 앤 하이드)
4位『ファントム』(팬텀)
5位『レベッカ』(레베카)

上位は「2018年に見たい作品」とほぼ同じような結果となりました。大作ミュージカルは、人気俳優が出演し、セットや衣装も豪華なので、チケットはどうしても高くなりますが、そのぶん満足度も高いようです。日本から韓国に行かれる場合、多くの方が週末利用のケースが多いと思うのですが、限られたスケジュールの中で何を観るか? と考えると、未知の作品に挑戦するよりは、こういうセレクトにならざるを得ないのかもしれません。

俳優同様、良かった作品も投票はかなり割れました。1票のみの作品は以下の通りです。
演劇が1作も入ってなかったのはこれまた残念です。

<グラフ掲載外の作品(あいうえお順)>
30の頃に/愛は雨に乗って(サ・ビ・タ)/阿娘歌(アランガ)/イン・ザ・ハイツ/オー!キャロル/オール・シュック・アップ/キム・ジョンウク探し/共同警備区域JSA/ゴレゴレ/30の頃に/ジャック・ザ・リッパー/スウィーニー・トッド/ストーリー・オブ・マイライフ/砂時計/洗濯(パルレ)/ドリアン・グレイ/ナポレオン/ファリネッリ/僕とナターシャと白いロバ/マイ・スケアリー・ガール/マタ・ハリ/マディソン郡の橋/モンテクリスト/ラフマニノフ/ルドルフ/忘れられた顔1895/私の愛 私の花嫁

今回は150名ほどの方にご回答いただきました。改めてアンケートにご協力いただいた皆様、ありがとうございました。今後もまた機会を見て、このようなアンケートを実施してみたいと思っています。
その際はご協力をお願い致します。

文:さいきいずみ(韓劇.com)

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[コラム]2018年韓国ミュージカル/演劇の見どころは?

[コラム]2018年韓国ミュージカル/演劇の見どころは?

 

シンシカンパニー2018年作品(左から『ビリー・エリオット』『シカゴ』『マチルダ』と演劇『The Play That Goes Wrong』)

早くも1月が終わろうとしていますが、韓国では2月中旬の旧正月以降が本格的な新年度のスタートとなります。そのお正月休みを前にようやく2018年ラインナップが出そろいました。そこで今年のおすすめ作品を紹介します。

※大手制作会社や、公営劇場は年間スケジュールを早々に決めて動くため、ほぼ予定は確定していますが、大学路の小劇場などで上演されるミュージカル、演劇は、長期スケジュールを事前に公開しないためラインナップに漏れている作品が多数あることをあらかじめご了承ください。

【ミュージカル】

2018年も昨年に引き続き新作は少なめ。しかし、大劇場ヒット作の再演タームが来た年となっており、人気作の再演が多いのが特徴です。

ODカンパニー2018年作品(左から『タイタニック』『ドクトル・ジバゴ』『マン・オブ・ラ・マンチャ』『ジキル&ハイド』『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』)

ライセンスミュージカルの新作はティム・バートンの同名映画が原作の『ビッグ・フィッシュ』と、映画『ジャイアント・ピーチ』や『チャーリーとチョコレート工場』で知られるロアルド・ダールの児童文学が原作の『マチルダ』が韓国初演となります。特に5歳の少女が主人公となる『マチルダ』は現在再演中の『ビリー・エリオット』をはじめ、英国ウエストエンドの人気作を韓国で上演し、着実に実績を残しているシンシカンパニーが制作するとあって、クオリティの高さは保証できると思います。一方『ビッグ・フィッシュ』は、『キンキーブーツ』『ボディーガード』と映画を舞台化した作品を精力的に上演しているCJ E&Mが制作。昨年日本版が上演されたようですが、原作映画のファンタジックな作品世界を、どう舞台に落とし込み、韓国の観客に見せてくれるのか楽しみです。

EMKミュージカルカンパニー2018年作品(左から『笑う男』『エリザベート』『ファントム』)

韓国創作ミュージカルの新作では『レッド・ブック』『笑う男』は必見です。
『レッド・ブック』は名作『女神さまが見ている』を生んだ、ハン・ジョンソク脚本家とイ・ソンヨン作曲家が再タッグを組んだ作品。“女性の性表現の解放”をテーマに、『女神さま~』同様に楽曲のバリエーションと独自のストーリー展開が群を抜いていた作品です。昨年、新作の創作を支援する「創作産室」の選定作としてショーケースとして上演済で、準新作的作品ですが、今年初めて長期本公演が行われます。
一方、『笑う男』は、韓国を代表するミュージカル制作会社EMKミュージカルカンパニーが、5年の準備期間を経て『マタ・ハリ』に継ぎ発表するオリジナル作品です。『レ・ミゼラブル』の原作者でもあるヴィクトル・ユーゴーの同名小説が原作。口が大きく裂かれて常に笑ったように見えるグウィンプレンを主人公に、彼の数奇な運命と当時の貴族社会を鋭く風刺した作品です。演出に『レベッカ』『マリー・アントワネット』などを手掛けたロバート・ヨハンソン、作曲フランク・ワイルドホーン、作詞ジャック・マーフィー、音楽監督キム・ムンジョン、美術オ・ピリョンと過去のEMK作品に参加した豪華スタッフが揃い、『マタ・ハリ』同様に海外での上演も視野に入れた作品になりそうです。

HJカルチャーの新作『ジョン・ドゥ』と『ザ・フィクション』キャスト写真

小劇場では『ファリネッリ』『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』など世界の偉人を取り上げた作品群で知られるHJカルチャーが、初めて韓国の偉人、世宗大王を主人公にした『1446』をはじめ、米映画『群衆』原作の『ジョン・ドゥ』、大邱ミュージカルフェスティバルから誕生した創作劇『ザ・フィクション』、イタリアの名バイオリニストを取り上げた『パガニーニ』など新作4本を上演予定で、他を圧倒しています。

6年ぶりの再演となる『ドクトル・ジバゴ』(©ODカンパニー)

再演作品のなかでは、リュ・ジョンハン、パク・ウンテ主演で6年ぶりに上演する『ドクトルジバゴ』。初演メンバーを筆頭に日本でも人気のキャストが揃った『三銃士 10周年記念公演』。2017年のミュージカル賞を総なめした『もしかしてハッピーエンディング』の脚本家・作曲家コンビによる同名映画原作『バンジージャンプする』の5年ぶりの再演も見逃せません。
ほかにも『マン・オブ・ラ・マンチャ』『ノートルダム・ド・パリ』『フランケンシュタイン』『ジキル&ハイド』『エリザベート』『ファントム』と、豪華キャストは必至の大作が目白押しです。

まだ発表されていない大学路の小劇場ミュージカルはどのような作品が上演が上演されるのか? 今後の情報解禁にもご注目ください。


【演劇】

公営劇場である国立劇団南山(ナムサン)芸術劇場や、韓国の2代企業メセナであるドゥサンアートセンターLGアートセンターを中心に、今年も興味深い作品が揃いました。
李明博、朴槿恵政権時代の「文化芸術人ブラックリスト」問題が明るみとなり、これまで大きな影響を受けていた演劇界は徐々にではありますが、作品や運営方法に風通しの良さを感じさせ始めています。
国立劇団は新しい芸術監督に劇団「白手狂夫(ぺクスカンブ)」を主宰するイ・ソンヨルを迎え、“シーズン団員”と呼ばれる専属俳優を一新しました。メンバーにはキム・ハン、チョン・ウォンジョ、イ・ジョンム、チュ・イニョンなど、過去数々の演劇に主演した実力派俳優も含まれており、彼らの活躍に期待が膨らみます。

国立劇団2018シーズン団員紹介映像(国立劇団公式YouTubeより)

一方、公営劇場でありながら、社会問題をテーマにした作品を積極的に上演してきた南山芸術劇場は、その矜持は保ちつつもより多彩な作品を上演しようとしています。両劇場ともに新人演出家、脚本家に上演の機会を与えて次世代演劇人を育てようという姿勢も見えます。
また、数年をかけて改装工事中の国立劇場は、通常は大劇場のヘオルム劇場で上演しているパンソリの芝居=唱劇(チャングク)2作を明洞芸術劇場を借りて上演します。アクセスしやすく、舞台も見やすい同劇場でこの機会に伝統演劇の世界に触れてみてはいかがでしょうか?

 

『アマデウス』に主演するチョ・ジョンソク(左)とキム・ジェウク(©Page 1)

『ネヴァー・ザ・シナー』ポスター(©ダルカンパニー)

一方、民営の制作会社作品のなかでは、やはりチョ・ジョンソク&キム・ジェウク主演の『アマデウス』が上半期の注目度ナンバー1と言えるでしょう。加えてファン・ジョンミン10年ぶりの演劇主演作『リチャード三世』、キム・サンジュン、キム・スンウなどが出演する『ミザリー』など、ドラマ、映画で活躍する人気俳優が出演する作品が人気を集めそうです。

またミュージカル『スリル・ミー』のモチーフとなった実在する殺人事件「レオポルト&ローブ事件」を取り上げた、演劇『RED』の脚本家ジョン・ローガン原作の『ネヴァー・ザ・シナー』はマニアならずとも必見。キャストには『スリル・ミー』や名作演劇『ヒストリー・ボーイズ』経験者など若手からベテランまで実力者ぞろいです。

韓国では最近日本原作の映画やドラマの制作が増えているのですが、舞台シーンでもその動向が見えます。韓国では村上春樹の人気を抜いたと言われる東野圭吾原作『ナミヤ雑貨店の奇跡』は、朗読ショーケースが好評でした。実際にセットを組んでの本公演ではどういう仕上がりになるのか注目です。ほかショーケースではチョン・ミドの熱演が話題を呼んだ『Bea』の本公演は再度彼女が主演した場合は見ておきたい一作です。そしてシンシカンパニーが今年唯一上演するコメディ『The Play That Goes Wrong』はキャスティングも含め、年末の注目作の一つとなりそうです。

2016年にチョン・ミド主演で上演された演劇『BEA』ハイライト映像(ウラン文化財団公式YouTube映像より)

演劇はミュージカルと比べると上演期間も短く、情報も多くはないため海外の観客にはハードルが高いかもしれませんが、意外と台詞を正確に聞き取れなくとも十分に楽しめます。さらに秀作に出会えたときに得られる感動や印象深さはミュージカルの比ではありません。俳優たちの高い演技力や息遣いの醍醐味を一人でも多くの方に直接劇場で体感してほしいと思います。

※2月8日まで公開しておりました、ダウンロード済みの年間ラインナップ表は個人の閲覧用にのみご利用ください。ブログやネット上での公開や転載、転用、商用利用は禁止です。

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[MUSICAL]第2回「韓国ミュージカルアワーズ」授賞式、華麗に開催

[MUSICAL]第2回「韓国ミュージカルアワーズ」授賞式、華麗に開催

 

昨年に続き、司会進行を務めたイ・ゴンミョン(写真はNAVER TV生中継映像より)

韓国ミュージカル協会が、2016年に新設した授賞式「韓国ミュージカルアワーズ」の第2回授賞式が、1月22日に慶煕(キョンヒ)大学平和の殿堂で開催された。

第2回のノミネートは、2016年12月1日~2017年11月30日までに開幕し、14回以上の公演を行った作品が対象となった。受賞作/者は業界関係者で構成されるプロフェッショナル審査団100名と、一般から募ったマニア審査団100名の投票結果によって選定された。

助演賞のプレゼンターにはパク・ウンテとシン・ヨンスクが登場した(写真はNAVER TV生中継映像より)

栄えある大賞は、最多11部門のノミネートを誇った『ベン・ハー』が獲得した。

受賞を喜ぶ『ベン・ハー』アンサンブルチーム(写真はNAVER TV生中継映像より)

『ベン・ハー』は、同名映画が広く知られているが、1880年に発表された同名小説をベースにワン・ヨンボム演出家をはじめ大ヒット作『フランケンシュタイン』の制作チームが再結集して話題を呼んだ作品だ。『ベン・ハー』はアンサンブル賞と舞台芸術賞も受賞して3冠を獲得した。

『もしかしてハッピーエンディング』の作曲家ウィル・アーロンソン(左)と、脚本家のパク・チョンヒュ(写真はNAVER TV生中継映像より)

そして2017年度の最高傑作との呼び声高い『もしかしてハッピーエンディング』は、今回新設された小劇場ミュージカル賞を筆頭に、演出、脚本・作詞、作曲賞など全6部門で受賞し、前評判通りの最多受賞作となった。

ホン・グァンホ(左)とチョン・ミド(写真はNAVER TV生中継映像より)

俳優部門では主演賞に『シラノ』をはじめ『ミスター・マウス』『ハムレット:アライブ』と圧倒的な動員力を誇ったホン・グァンホと『もしかしてハッピーエンディング』で2年連続受賞となったチョン・ミドが栄誉に輝いた。

イ・ジョンヨル(左)とシン・ヨンスク(写真はNAVER TV生中継映像より)

助演賞は『西便制(ソピョンジェ)』のイ・ジョンヨルと『ファントム』のシン・ヨンスクとベテラン勢が受賞。

ソン・ユドン(左)とイ・ソヨン(写真はNAVER TV生中継映像より)

新人賞は『ヘタレの歴史』『女神さまが見ている』『僕らのイケメン青果店』『ファンレター』など、大学路で次々と人気作に出演したソン・ユドンと、『西便制』『アリラン』と大劇場作品で、見事なパンソリを披露していたソリクンのイ・ソヨンが新人ミュージカル女優として受賞を果たした。

今年のスタッフ賞を受賞したキム・ムンジョン音楽監督(写真はNAVER TV生中継映像より)

特別賞となる今年のスタッフ賞には、多くの作品で音楽監督を務めるだけではなくJTBCの音楽サバイバル番組『ファントム・シンガー』の名コメンテーターとして、注目を浴びたキム・ムンジョン音楽監督が受賞し、共に苦労したオーケストラや裏方のスタッフをねぎらうコメントも忘れなかった。

『キンキーブーツ』3度目の再演にもローラ役で出演するチョン・ソンファ(写真はNAVER TV生中継映像より)

『ヘドウィグ』の「Midnight Radio」を歌ったチャ・ジヨン(写真はNAVER TV生中継映像より)

授賞をはさんで公開された、「祝賀舞台」と呼ばれるスペシャルステージも観客を楽しませた。
『ファントム』にも出演したバレリーナのキム・ジュウォンとユン・ジョンイルがオープニングを飾り、『タイタニック』チームは主要キャスト全員が登場して代表曲「Opening Finale-Godspeed Titanic」を歌い圧倒した。また、『ビリー・エリオット』からは4人のビリーが「Electricity」を。まもなく3度目の再演を開幕する『キンキーブーツ』チームからはチョン・ソンファが登場し、新エンジェルたちとともに「The Land of Lola」を歌い煌びやかなステージを披露した。加えて『ヘドウィグ』の「Midnight Radio」をカリスマ性溢れる姿と声で聴かせたチャ・ジヨンのスペシャルパフォーマンスも目を引いた。

『英雄』の代表ナンバーを披露したヤン・ジュンモ(写真はNAVER TV生中継映像より)

ほかにもJTBC「ファントム・シンガー」でも注目されたイ・チュンジュ、コ・フンジョン、チョ・ヒョンギュンは『ザ・デビル』の曲「ポゼッション」を。日本での『レ・ミゼラブル』出演を終えて韓国で本格的に活動再開しているヤン・ジュンモは『英雄』の同名代表曲を高らかに歌い上げた。最後には、『ロッキー・ホラー・ショー』からフランク役のソン・ヨンジンを中心に、主要キャストが再結集し「Trans Vestite」を披露して賞式のクロージングを盛り上げた。

『ロッキー・ホラー・ショー』チーム(左から、キム・チャンホ、ソン・ヨンジン、ソムン・タク 写真はNAVER TV生中継映像より)


【第2回「韓国ミュージカルアワーズ」受賞結果】
●大賞:『ベン・ハー』
●作品賞:『西便制(ソピョンジェ)』
●小劇場ミュージカル賞:『もしかしてハッピーエンディング』

●男優主演賞:ホン・グァンホ『シラノ』
●女優主演賞:チョン・ミド『もしかしてハッピーエンディング』
●男優助演賞:イ・ジョンヨル『西便制』
●女優助演賞:シン・ヨンスク『ファントム』
●男優新人賞:ソン・ユドン『ヘタレの歴史』『女神さまが見ている』『僕らのイケメン青果店』ほか
●女優新人賞:イ・ソヨン『西便制』『アリラン』
●アンサンブル賞:『ベン・ハー』

●演出賞:キム・ドンヨン『もしかしてハッピーエンディング』
●作曲賞:ウィル・アーロンソン『もしかしてハッピーエンディング』
●脚本・作詞賞:パク・チョンヒュ&ウィル・アーロンソン『もしかしてハッピーエンディング』
●振付賞:チャ・ジンヨプ『神と共に 冥途編』
●舞台芸術賞:ソ・スクジン『ベン・ハー』
●プロデュース賞:ハン・ギョンスク『もしかしてハッピーエンディング』
●特別賞(今年のスタッフ賞):キム・ムンジョン音楽監督
●功労賞:カン・デジン

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創作ミュージカル強し!第6回「イェグリンミュージカルアワード」授賞式

創作ミュージカル強し!第6回「イェグリンミュージカルアワード」授賞式

 

韓国の二大ミュージカル授賞式のひとつ「イェグリンミュージカルアワード」の第6回授賞式が11月20日、ソウル市中区にある忠武アートセンター大ホールで開催された。

授賞式の司会はナム・ギョンジュ(左)とパク・キョンリム

イェグリン(예그린)とは、1966年に韓国初の創作ミュージカルを制作したイェグリン楽団から名前を取り、当初は韓国創作ミュージカルのみを表彰する賞として創設された。昨年から受賞枠を海外ライセンス作品まで広げ、韓国ミュージカル界全体を盛り上げるべく、受賞式自体も大型化させて開催されている。

今年は、2016年10月~2017年までの1年間にソウル市内で10日以上上演された作品が審査対象とされた。創作ミュージカル65作、ライセンスミュージカル22作、計87作品がエントリーされ、6分野21部門に分けて授賞された。

最多4部門で受賞した『もしかしてハッピーエンディング』(プレスコール写真より キム・ジェボム、チョン・ミド)

『もしかしてハッピーエンディング』(プレスコール写真より チョン・ムンソン、イ・ジスク)

今年、最多受賞の栄誉に輝いたのは「今年のミュージカル賞」を含む4部門を受賞した『もしかしてハッピーエンディング』だった。大学路の新たなメッカとなっている小劇場ビルを運営するデミョン文化工場で初演されたこの作品は、同名映画を原作にした『バンジージャンプする』(2012年初演)を創り上げた在米韓国人の脚本家パク・チョンヒュとアメリカ人作曲家のウィル・アーロンソンが再タッグを組んで制作。ミュージカルマニアの間では前年に行われたショーケースの段階からすでに注目を浴びていた。2016年12月に開幕すると、作品性とともに楽曲のクオリティの高さが評判を呼び、本公演に加え、9月~10月に上演されたアンコール公演まで連日完売を記録した。また、歌手SE7ENらの主演で『メイビー、ハッピー・エンド』と題し、日本でライセンス作品としていち早く上演されるほど業界内の評判も高かった作品だ。

『グッパイ、イ・サン』公演写真 ©ソウル芸術団

また、革新賞など3部門で受賞した『グッパイ、イ・サン』はソウル芸術団が自ら実験的な野心作と称して制作した新作舞踏劇だった。1930年代に活躍し、難解な作品世界で知られる天才詩人イ・サンをモチーフにした同名小説を原作に、ソウル芸術団が得意とするダンスと芸術性の高さを生かし、先鋭的な若手クリエイターを揃えて制作。観客にマスクをつけさせて舞台に取り込み、観客参加型の演出も行うなど、まさに革新賞にふさわしい内容の作品であった。

『英雄』で主演男優賞を受賞したヤン・ジュンモ

俳優部門では、日本版『レ・ミゼラブル』でもおなじみのヤン・ジュンモが、韓国独立の象徴とされるアン・ジュングン(安重根)の半生を描く『英雄』で主演男優賞を受賞。一方、『マタ・ハリ』再演でリニューアルした作品の評価を上げる立役者となったチャ・ジヨンが見事主演女優賞に輝いた。

『マタ・ハリ』で主演女優賞を受賞したチャ・ジヨン

そして功労賞的な意味合いをもつイェグリン大賞は、10年以上にわたり大学路でロングラン上演を続けている『洗濯(パルレ)』が受賞し、改めて制作陣、キャストのたゆまぬ努力に光が当てられる好機となった。

創作ミュージカルの授賞式として創設された賞本来の性質はあるものの、今年は受賞した小劇場創作ミュージカルを凌駕するような新作ライセンス作品が少なかった2017年の舞台シーンをそのまま反映したような受賞結果となった。

『西便制』で助演男優賞を受賞したイ・ジョンヨル


【第6回「イェグリンミュージカルアワード」受賞結果】

●今年のミュージカル賞:『もしかしてハッピーエンディング』
●革新賞『グッパイ、イ・サン』
●ベストリバイバル賞:『マタ・ハリ』
●ベスト外国ミュージカル賞:『オー!キャロル』

『密使』で男優新人賞を受賞したホ・ドヨン

●革新賞『グッパイ、イ・サン』
●主演男優賞:ヤン・ジュンモ『英雄』
●主演女優賞:チャ・ジヨン『マタ・ハリ』
●助演男優賞:イ・ジョンヨル『西便制(ソピョンジェ)』
●助演女優賞:ユ・リア『女神様が見ている』
●男性新人賞:ホ・ドヨン『密使』
●女性新人賞:キム・ヒオラ『ヘタレの歴史』
●アンサンブル賞:『ベン・ハー』
●人気賞(男性部門)パク・シファン『ヘタレの歴史』
    (女性部門)チョン・ミド『もしかしてハッピーエンディング』

『ヘタレの歴史』で女優新人賞を受賞したキム・ヒオラ

●演出賞:キム・ドンヨン『もしかしてハッピーエンディング』
●振付賞:イェ・ヒョスン『グッパイ、イ・サン』
●脚本賞:パク・ヘリム『僕とナターシャと白いロバ』
●音楽賞:ウィル・アーロンソン『もしかしてハッピーエンディング』
●舞台芸術賞:ヨ・シンドン『グッパイ、イ・サン』

●外国ミュージカル部門 クリエイティブ賞:オ・ピリョン(美術)、イ・ウヒョン(照明)『マディソン郡の橋』
●イェグリン大賞:『洗濯(パルレ)』

2017「第6回イェグリンミュージカルアワード」授賞式全映像(授賞式本編は映像開始10分後から)


【公演情報】
「第6回イェグリンミュージカルアワード」(제6회 예그린 뮤지컬 어워드)
2017年11月20日(月)忠武アートセンター
司会:ナム・ギョンジュ、パク・キョンリム

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[MUSICAL]不朽の名作ドラマを舞台化『砂時計』キャストを公開

[MUSICAL]不朽の名作ドラマを舞台化『砂時計』キャストを公開

 

数ある韓国ドラマのなかでも不朽の名作と呼ばれる『砂時計』がミュージカル化され、豪華キャストが公開された。

原作ドラマ『砂時計(모래시계 モレシゲ)』は1995年に韓国SBSで放送された。最高64.5%という驚異的な視聴率を記録し、ドラマの放送時間には街に人がいなくなったことから「帰宅時計(귀가시계)」という別称もついたほどの伝説的作品だ。主演のチェ・ミンス、パク・サンウォンはもちろん、当時は新人だったコ・ヒョンジョン、イ・ジョンジェを一躍トップスターにした本作は、現在でもメインテーマ曲はあらゆる番組で使われ、バラエティ番組ではパロディのネタになるなど『砂時計』はいまだ大きな影響力をもつ国民的ドラマだ。

キム・グァンソクの名曲の世界を舞台化した『あの日々(그날들)』をヒットさせたインサイトエンタテインメントが、SBSと共同制作するミュージカル『砂時計』には、韓国の近代史を背景にした骨太な作品世界をしっかりと表現できる、実力派のミュージカル俳優が揃っている。

(左から)テス役のキム・ウヒョン、シン・ソンロク、ハン・チサン

将来有望な青年だったが、父の共産主義思想のため進学できず、ヤクザの道を選ぶ主人公テス役には『レ・ミゼラブル』『アイーダ』のキム・ウヒョン、『モンテクリスト』『あしながおじさん』のシン・ソンロク、『ナポレオン』『ジーザス・クライスト・スーパースター』のハン・チサンと、大劇場作品で主役を張ってきた3人が起用された。なかでもシン・ソンロクは、8月まで放送していたMBCドラマ『死んでこそ生きる男』というドラマで元祖テス役のチェ・ミンスと共演し、抜群の相性を見せていただけに、舞台でその経験をどのように還元するか期待されている。

(左から)ウソク役のパク・コニョン、カン・ピルソク、チェ・ジェウン

高校時代からテスとは無二の親友だったパク・サンウォンが演じた真摯な検事ウソク役は『インタビュー』『フランケンシュタイン』のパク・コニョン、『西便制』『僕とナターシャと白いロバ』のカン・ピルソク、『スリル・ミー』『ドリアン・グレイ』のチェ・ジェウンとこちらも多彩な面々。対照的な人生を歩むことになる、ウソクとテスの愛憎を交えた厚い友情物語は、舞台でも、最も重要なみどころとなるだそう。

(左から)へリン役のチョ・ジョンウン、キム・ジヒョン、チャン・ウナ

カジノを経営する資産家ユン会長の一人娘へリン役には『レ・ミゼラブル』『ジキル&ハイド』のチョ・ジョンウン、『あの日々』『プライド』のキム・ジヒョン、『アイーダ』『レベッカ』のチャン・ウナが演じる。テスとへリンの互いの境遇を超えた愛や、学生運動に身を投じ、挫折を味わうヘリンの姿はもうひとつの見どころ。ドラマでコ・ヒョンジョンが演じたような清楚かつ意志の強いヒロイン像を見せてくれるはずだ。

(左から)ジョンド役のパク・ソンファンとカン・ホンソク

そのほか、元々はテスと同門だったがのちに敵対することになるヤクザのジョンド役を『アイーダ』『二都物語』のパク・ソンファンと、『デスノート』『キンキーブーツ』のカン・ホンソク。へリンを偶然救ったことから、彼女のボディーガードとなる、究極の見守り男子キャラ、ジェヒ役を『あの日々』のキム・サンホとグループHighlightのソン・ドンウン、そして最近グループINFINITEから脱退したイ・ホウォン(ホヤ)が9月25日に追加発表された。

加えて、渋い演技が光るベテラン俳優の出演も見逃せない。カジノを経営し、政界にも暗躍するヘリンの父、ユン会長役を『オケピ!』『ディセンバー』のソン・ヨンチャンと演劇『私に会いに来て』『ピローマン』やドラマ『ミセン-未生』で知られたソン・ジョンハク。そしてユン会長の腹心で、政界へのパイプ役となるチャン部長を『あの日々』『西便制』のイ・ジョンヨルと『チック、チック…ブーン!』『シカゴ』のソン・ギウンが演じる。

(左から)ユン会長役のソン・ヨンチャンとソン・ジョンハク

独裁政治、民主化運動、裏社会など、激動の80年代韓国を背景にした濃密なストーリーを、2時間半の舞台作品に圧縮。クラシックとロックを融合させて、スピード感溢れるストーリーを展開すると予告している。伝説の名作を放送から20年以上を経て、どのようにして新たに再構成するのか、ドラマ、ミュージカルファンの双方が期待する作品となるはずだ。

(左から)チャン部長役のイ・ジョンヨルとソン・ギユン

1次チケットは9月27日(水)午後2時よりインターパークで発売開始される。


【公演情報】
ミュージカル『砂時計』

2017年12月5日~2018年2月11日 忠武アートセンター 大ホール

<出演>
●パク・テス役:キム・ウヒョン、シン・ソンロク、ハン・チサン
●ユン・へリン役:チョ・ジョンウン、キム・ジヒョン、チャン・ウナ
●カン・ウソク役:パク・コニョン、カン・ピルソク、チェ・ジェウン
●イ・ジョンド役:パク・ソンファン、カン・ホンソク
●ペク・ジェヒ役:キム・サンホ、ソン・ドンウン(Highlight)
●ユン・ジェヨン会長役:ソン・ヨンチャン、ソン・ジョンハク
●チャン・ドシク役:イ・ジョンヨル、ソン・ギユン

写真提供:インサイトエンタテインメント ©韓劇.com All rights reserved. 記事・写真の無断使用・転載を禁止します。

[MUSICAL]イ・ソクジュン、イ・ゴンミョン、ぺ・ヘソン20周年記念『チック・チック…ブーン!』上演

[MUSICAL]イ・ソクジュン、イ・ゴンミョン、ぺ・ヘソン20周年記念『チック・チック…ブーン!』上演

 

ジョン役のイ・ソクジュン

ジョン役のイ・ゴンミョン

韓国の舞台シーンを長年トップ俳優として牽引してきたイ・ソクジュン、イ・ゴンミョン、ぺ・ヘソンが俳優生活20周年を迎え、かつてともに主演した『チック・チック…ブーン!』への出演を決定。初演メンバーの一人であるソン・ギユンや、チョ・スンチャン、オ・ジョンヒョク、チョン・ヨンら親しい後輩たちとともに意味深い記念公演を行う。

『チック・チック…ブーン!』は、『RENT』の原作者として知られるジョナサン・ラーソンが遺したもう一つの戯曲。成功を前に夭折した彼の自伝的エピソードが盛り込まれており、アルバイトを続けながら作曲を続ける青年ジョンとルームメイトのマイケル。そして常にジョンを支えてきた恋人スーザンと、3人の姿を通して、夢を追う者が突き当たる壁や現実を躍動感あふれるサウンドとともにストレートに描き出すロックミュージカルだ。2001年の韓国初演時には、3つの劇場で3チームに分けて上演されるほどの人気を博したという。

スーザン役のぺ・ヘソン(左)とチョン・ヨン

今回7年ぶりとなる上演では、主人公ジョン役にはミュージカル『ストーリー・オブ・マイライフ』や演劇『キル・ミー・ナウ』『フローズン』など、多彩な作品で誠実にキャラクターを演じこなすイ・ソクジュン。そして『フランケンシュタイン』『あの日々』『インタビュー』など常にカリスマ性溢れる歌と演技を披露してきたイ・ゴンミョンが務める。同い年の親友として知られる二人が記念公演で顔を揃えることは多くの観客が期待する最大のポイントとなっている。

ジョンの夢や情熱を支持してきたが、現実に疲れていく恋人スーザン役には、初演メンバーだったぺ・ヘソンが16年ぶりに挑む。『モーツァルト!』の姉ナンネールが当たり役として知られる彼女は、どんな作品でも穏やかながらも存在感を見せられる演技力を買われ、近年は『ヨンパリ』などドラマにも多数起用されている。一方チョン・ヨンは演劇『柔道少年』『カポネトリロジー』や『スモーク』『マーダー・バラッド』などのミュージカルまで、小劇場作品に多数出演して頭角を現してきた女優。全く違う個性をもつ二人のスーザンを堪能できそうだ。

(写真左から)マイケル役のソン・ギユン、チョ・スンチャン、オ・ジョンヒョク

そして、ジョンとともに夢を追っていたものの、転身後はビジネスマンとして成功したマイケルをソン・ギユン、チョ・スンチャン、オ・ジョンヒョクの3人が演じる。01年初演時の元祖マイケル役だったソン・ギユンは韓国版『アイーダ』『CHICAGO』『マンマ・ミーア!』などの大劇場ミュージカルには欠かせないベテランだが、今年は『彼と彼女の木曜日』『大虐殺の神』などの小劇場演劇やドラマ『推理の女王』への出演など多彩な活動を展開している。加えて、今回初出演となる『モンテクリスト』『三銃士』などで知られるチョ・スンチャンと、『あの日々』『プライド』などに出演したオ・ジョンヒョクは、イ・ソクジュンやイ・ゴンミョンとの共演作も多く、親しい先輩俳優への“義理”や“リスペクト”を感じさせる出演となっている。

楽しい作品性のなかにある深いメッセージに共感が溢れる青春群像劇を、すでにキャリアをもつ俳優たちが、どのように演じるのか注目される『チック・チック…ブーン!』は8月29日から上演。プレビュー公演のチケットは7月26日(水)午後3時から、1次チケットは8月2日(火)午後3時から発売開始される。


【公演情報】
ミュージカル『チック・チック…ブーン!』
2017年8月29日~10月15日 大学路TOM1館

<出演>
●ジョン役:イ・ソクジュン、イ・ゴンミョン
●スーザン役:ぺ・ヘソン、チョン・ヨン
●マイケル役:ソン・ギユン、チョ・スンチャン、オ・ジョンヒョク

写真提供:IM CULTURE
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[MUSICAL]個性派女優イ・ヨンミが夫と創る一人芝居『mee on the song』8月上演

[MUSICAL]個性派女優イ・ヨンミが夫と創る一人芝居『mee on the song』8月上演

 

『ヘドウィグ』『ジーザス・クライスト・スーパースター』『ラ・マンチャの男(マン・オブ・ラ・マンチャ)』などの大ヒットミュージカルでパワフルな歌声を披露してきたベテラン個性派女優イ・ヨンミが一人芝居『mee on the song』を8月に上演する。

イ・ヨンミは主演のみならず、全曲の作詞・作曲も担当する。彼女が演じるのはブルーベルベットというクラブで歌う歌手の“ミー(mee)”。彼女が“セラ”という女性の半生を紹介しながら歌う、1時間のライブを行っている、というシチュエーションで上演される。元々は歌手としてデビュー後、舞台に活動の主軸を移し、近年は女優としてのみならず、妻、母となった自身の人生を投影した内容になるという。
脚本、演出は『マディソン郡の橋』や『模範生たち』『ヒストリー・ボーイズ』『ロ・ギス』『カポネトリロジー』などのトリロジー三部作など、話題作を次々と手がけてきた人気演出家で彼女の夫でもあるキム・テヒョンが担当し、まさに夫唱婦随の作品となりそうだ。

ハスキーな歌声と、独特の存在感をもつイ・ヨンミの魅力を十二分に知る夫キム・テヒョンが、どんな舞台に仕上げるのか期待される『mee on the song』。チケットは7月25日(火)午後3時から発売が開始される。


【公演情報】
キャバレーミュージカル『mee on the song』
2017年8月18日~27日 大学路アートワンシアター3館

<出演>
作詞・作曲・主演:イ・ヨンミ

脚本・演出:キム・テヒョン

写真提供:Story P

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[MUSICAL]『ビリー・エリオット』韓国版 5人目のビリーを公開

[MUSICAL]『ビリー・エリオット』韓国版 5人目のビリーを公開

 

(写真左から)ソン・ジファン、シム・ヒョンソ、チョン・ウジン、エリック・テイラー、キム・ヒョンジュン

5人目のビリーになったエリック・テイラー

12月から韓国で7年ぶりの再演を控える『ビリー・エリオット』が、5人目のビリー役を電撃発表して話題を呼んでいる。

新たにビリー役に加入したのは10歳のエリック・テイラー君。1次オーディション通過後、10カ月にわたるトレーニングを受け、最終選考まで残った7名のうちの一人だったという。これまで一度もダンスをしたことがなかったという彼だが、バレエ、タップ、モダンダンスなどのレッスンを受け、優れた体力と柔軟性に加え大胆さも持ち合わせ、めきめきと上達。しかしながら最終オーディションでは持てる力を存分に発揮できず惜しくも脱落していた。だが、オーディション終了後もダンスに魅了された彼は、たゆまずダンスやアクロバットのレッスンを続け、4月に行われた日本版オーディションに参加。そこで再びオリジナルクリエイティブチームの目に留まって合格し、同月から先に発表されていた4人のビリー役とともに「ビリースクール」に再加入してレッスンを受けているという。

現在5人のビリーたちは、体力強化のためのピラティスやバレエ、タップ、現代舞踊、アクロバット、ストリートダンスにボーカルトレーニングとレッスンを続けており、8月から本格的な稽古に入る予定だ。

2010年の初演時には多くのミュージカルファンが屈指の名作と語り、再演が待ち望まれていた『ビリー・エリオット』。7年ぶりの再演はD-CUBEアートセンターで12月から約5カ月にわたりロングラン上演される予定だ。


【公演情報】
ミュージカル『ビリー・エリオット』韓国版(빌리 엘리어트)
2017年11月28日~2018年4月29日(予定)D-CUBEアートセンター

<出演>
●ビリー役:キム・ヒョンジュン、ソン・ジファン、シム・ヒョンソ、チョン・ウジン、エリック・テイラー
●マイケル役:カン・ヒジュン、クァク・イアン、ユ・ホヨル、ハン・ウジョン
●トニー役:グ・ジュンモ
●お父さん役:キム・ガプス、チェ・ミョンギョン
●ミセスウィルキンソン役:チェ・ジョンウォン、キム・ヨンジュ
●おばあちゃん役:パク・チョンジャ、ホン・ユニ
●ビリーの母役:キム・ミョンフェ
●ジョージ役:イ・サンジュン
●ミスター ブレイス・ウェイト役:チャン・ウォンリョン
●デビー役:キム・ヨナ、パク・シヨン、ソク・ジュヒョン
●バレーガールズ役:キム・ナリン、キム・ミンジョ、キム・ジュウォン、シム・ヘビン、アン・ヒョンファ、イ・ソヨン、イ・ファジン、チョン・イェジン、チョン・スンミン、チェ・ユジン、キム・スミン、キム・ウニ、ビョン・ヘリム
●トールボーイ役:イ・ジュニョン、チェ・ジュヌ
●スモールボーイ役:ソン・ジュファン、アン・ユジュン、オ・ハンギョル
●大人ビリー役:キム・テギュ、ぺク・ドゥサン
●アンサンブル:カン・ジュソン、コ・チョルスン、クォン・サンソク、キム・ギジョン、キム・ムンジュ、キム・ソングァン、キム・ソンス、キム・ヨンフン、キム・イェジ、ソ・ヨハン、ソ・ジェミン、オム・ジュンソク、イ・ギヨン、イ・ジョンヒョク、チョン・ジュンソン、チャ・ジョンヒョン、チェ・ウンジュ

脚本・作詞:リー・ホール/作曲:エルトン・ジョン/演出:スティーブン・ダルトリー/振付:ピーター・ダーリング/協力演出:サイモン・ポラード/協力振付:二コラ・ベルシャー、ダミアン・ジャクソン/協力音楽スーパーバイザー:ティム・スミス/韓国協力演出:キム・テフン/韓国協力振付兼バレエトレーナー:ノ・ジヒョン/韓国協力振付助手兼タップダンストレーナー:イ・ジョングォン/韓国協力音楽監督:オ・ミニョン/韓国協力助演出:イ・ジェウン

写真提供:シンシカンパニー ©韓劇.com All rights reserved. 記事・写真の無断使用・転載を禁止します。

[MUSICAL]踊り子から紅の女スパイの物語へ-進化した『マタ・ハリ』再演

[MUSICAL]踊り子から紅の女スパイの物語へ-進化した『マタ・ハリ』再演

 

宿命に逆らい惹かれ合うマタ・ハリ(チャ・ジヨン)とアルマン(オム・ギジュン)

韓国からブロードウェイ上演作の誕生を目指し、2016年に初演された韓国オリジナルミュージカル『マタ・ハリ』の再演が、今年は世宗文化会館 大劇場に劇場を移して開幕した。
19世紀末にオランダの裕福な家庭で生まれたものの、家業の没落により紆余曲折を経てパリに移住し“マタ・ハリ”の名でダンサーに。その後、エキゾチックな美貌を武器に第一次世界大戦下に仏・独で諜報活動をしたことから、女スパイの代名詞となった実在の女性をモチーフに、彼女の劇的な半生を描いた作品だ。

総製作費250億ウォン、約4年の準備期間を経て昨年お披露目された『マタ・ハリ』は、『ジキル&ハイド』などの作曲家として知られるフランク・ワイルドホーンを中心に、ブロードウェイで大作を手掛けた強力なクリエイティブチームを揃えて制作された。この豪華なスタッフに加え、主演のオク・ジュヒョンを筆頭にトップクラスのミュージカル俳優の出演もあり、昨年の新作ミュージカルのなかでは最も大きな期待と注目を集めた作品となった。今年は、初演時の課題とされていたドラマ性を強化するため、ロイヤル・シェイクスピアカンパニー出身のスティーブン・レインを演出に招き、リニューアルすることを予告していた。

マタ・ハリと知り合った直後、アルマン(オム・ギジュン)は戦地に向かうことになる

そしてその予告以上に、今年の『マタ・ハリ』再演は全く新しい作品と言っても過言ではないほど、大胆な変身を遂げていた。初演のマタ・ハリが「ムーランルージュ」の“踊り子”のイメージを前面に打ち出していたとすれば、今年は“女スパイ”の側面に重きを置いた人間ドラマとして描く方向に舵を切ったのだ。
アンサンブルによる重厚なナンバーのモブシーンからスタートし、オープニングから舞台は第一次世界大戦下にあることを示唆。マタ・ハリに目を付けたラドゥ大佐、町中でのトラブルをきっかけに出会ったマタ・ハリとアルマン……などストーリーのキーポイントとなるシーンは残しつつ、無駄なセリフやシーンはそぎ落として物語をぐいぐいと進めていく印象を受けた。また、観客の緊張感と集中力を切らさないように展開するスピーディーなセットチェンジと演出は白眉だった。多くの演出家が頭を悩ませる世宗文化会館の大舞台をここまでスムースに活用できた人はなかなかいないだろう。

ゴージャスなドレスやワンピースなど、次々と変わる深紅の衣装は見どころのひとつ

マタ・ハリの劇的すぎるエピソードの何を活かすか、取捨選択は難しかったと思うが、スパイとしての活動に葛藤し、心を通わせた運命の男性に命がけの恋をする、一人の女性の生き様を描いた作品として十分に完成度を上げていた。結局、セットも衣装もほとんど新規で制作することになったようだが、一度出来上がっている作品を解体し再構築する作業は、容易ではなかっただろうと思われる。

観劇した日のキャストは、マタ・ハリ役にチャ・ジヨン、アルマン役オム・ギジュン、ラドゥ役ミン・ヨンギ、アンナ役キム・ナユンであった。

表面的にはマタ・ハリ(チャ・ジヨン)への思いを見せないラドゥ(ミン・ヨンギ)

プライベートでの結婚・出産を経て、満を持して本作で舞台復帰を果たしたチャ・ジヨンは、人間性を浮き彫りにした今年のマタ・ハリを演じるにはまさに適役。近寄る男たちをしたたかにあしらうクールネスと強さをもちながらも、アルマンの前では穏やかで優しい素顔を見せるヒロイン像を見事に消化していた。1幕、2幕の各クライマックスで辛い心情を切々と歌い上げる様は、彼女だからこそ見せられたマタ・ハリの姿であろう。

精悍な青年兵士のイメージとなり、魅力倍増のアルマン(オム・ギジュン)

そして初演では純粋さの残るマタ・ハリの“年下彼氏”のイメージが強かったアルマンは、毅然とした男らしいキャラクターに変貌していた。彼は上官ラドゥの命令のもと、監視していたマタ・ハリに魅了されてしまった自己矛盾と葛藤することになるのだが、コミカルなシーンを一切排除したことで、オム・ギジュンの持ち味である演技力が際立ち、一段と魅力的なアルマンに仕上げていた。同役はチョン・テグン(VIXXレオ)とイム・スロン(2AM)とのトリプルキャストだが、若い彼らがこのキャラクターをどう演じているのか、気になるところだ。

アルマンをイム・スロン(左)とチョン・テグン(右)がどう演じているか見比べるのも一興

また、今年はラドゥ大佐が徹底的に“悪役”と化している点も見逃せない。手駒としてマタ・ハリ、アルマンを利用する非情なキャラクターだが、冷酷さの裏で二人の仲への嫉妬も匂わせる。ラドゥがアルマンと正面対決するシーンでは、オム・ギジュン―ミン・ヨンギの競演は、気心の知れた二人だからこその息の合ったデュエットが堪能できる名場面のひとつだった。ほかにもラドゥ役はキム・ジュンヒョン、ムン・ジョンウォンと個性の違う3人が演じるため、ラドゥVSアルマンのシーンは、キャストの組み合わせによって全く違った印象になることだろう。

初演よりも悪役に徹した役柄となったラドゥ(ミン・ヨンギ)

今回の再演で驚いたのが、マタ・ハリの身の回りの世話をするアンナの活かし方だった。初演に続き出演しているキム・ナユンは、過去の出演作でも見せて来たコミカルなイメージが強い人だが、それを極力抑え、マタ・ハリの苦悩を受け止める母親のようなキャラクターとなっていた。劇中2曲あるアンナのソロナンバーを温かくも丁寧に歌い上げ、彼女の新たな魅力を発見したシーンとなった。

マタ・ハリとアルマン(チョン・テグン)のロマンスがどう変化しているかも見もの

実在した人物がモデルとなっているだけに、波乱万丈なマタ・ハリの人生を舞台に落とし込むには今年のようなリニューアルは必然だった。だが一方で、きらびやかなダンサーとしての描写は大幅にそぎ落とされ、観劇中一息つけるような遊びのシーンもなかったように思われた。言葉を換えれば、それだけ緊張感があり、ストーリーに集中できるようになっているのだが、初演にあったような華やかさを求める観客は多少の息苦しさを覚えるかもしれない。

演出も俳優たちの演技も、さまざまなミッションをクリアしてかなり見ごたえある再演になっているのは間違いなく、多くの観客がカーテンコールにスタンディングオベーションで出演者を迎える姿が、今年の出来を象徴していた『マタ・ハリ』は8月7日まで、ソウル・光化門(クァンファムン)の世宗文化会館 大劇場で上演される。


【公演情報】
ミュージカル『マタ・ハリ』(마타하리)
2017年6月16日~8月6日 世宗文化会館 大劇場

<出演>
●マタ・ハリ役:オク・ジュヒョン、チャ・ジヨン
●アルマン役:オム・ギジュン、イム・スロン(2AM)、チョン・テグン(VIXX レオ)
●ラドゥ大佐役:ミン・ヨンギ、キム・ジュンヒョン、ムン・ジョンウォン
●アンナ役:キム・ナユン、チェ・ナレ

総括プロデューサー:オム・ホンヒョン/プロデューサー:キム・ジヒョン/芸術監督:パク・ヨンジェ/脚本:アイヴァン・メンチェル/作曲:フランク・ワイルドホーン/作詞:ジャック・マーフィー/演出:スティーブン・レイン/編曲・オーケストレイション:ジェイソン・ハウランド/韓国語歌詞・協力演出:クォン・ウナ/音楽監督・指揮:キム・ムンジョン/ドラマターグ:イ・ダンビ/振付:ホン・セジョン/美術:オ・ピリョン/衣装:ハン・ジョンイム/ヘアメイク:キム・ユソン/照明:グ・ユニョン/音響:キム・ジヒョン/映像:ソン・スンギュ/小道具:チョ・ユニョン/技術:イ・サンチュン、キム・ジョンムン/舞台監督:イ・ジノ/制作技術:イ・ヨンギュ/制作監督:チョン・ウニョン/制作:チョン・ドンソン

写真提供:EMKミュージカルカンパニー