■ Hulu編 ■
Hulu昨年のイチオシ作品はやはりこれですね。『弱いヒーロー Class1』は、『D.P.–脱走兵追跡官–』のハン・ジュニ監督が制作とプロデュースを担当してるということで気になっている方は多いと思います。『D.P.』が軍隊ならばこちらは学校内のいじめを扱った作品で、ほろ苦い青春ものとしてよく出来てると思いました。
主人公3人組のうちホン・ギョンはシーズン1、チェ・ヒョヌクはシーズン2と『D.P.』に出演してたし。OSTも昔はヒップホップ系のプロデュースをよくやってたプライマリーっていう同じプロデューサーで……と、OSTの曲調も含めて、全体的な作品の感触も『D.P.』とかぶってるとこが多いんですよ。それが良いんですけど。
パク・ジフンは笑顔を封印して、完全にアイドルモードを消しましたね。子役俳優の経験もある人ですが、こういうテイストの演技もできるんだ! と、新たな発見でした。最新作『幻影恋歌』という時代劇では二重人格の王子を演じていますし、次世代演技ドルを牽引する存在になったのではないでしょうか。ホン・ギョンは『悪鬼』の刑事役もよかったですし、チェ・ヒョヌクは『輝くウォーターメロン~僕らをつなぐ恋うた~』でブレイク。3人とも見事にステップアップしましたね。
まさに出世作っていうのはこのこと。主人公3人以外のワルな同級生を演じた若手俳優たちもこれで顔を覚えてもらえた人は多いと思います。ただ、タイトルの如く一方的にいじめられていた主人公が反撃に成功して覚醒していく話なので、バイオレンスシーンは多め。パク・ジフンが攻撃を交わすスキルとか、チェ・ヒョヌクが回し蹴りを多用してたりとか、アクションシーンは様式美にこだわって作られてるな、とは思いました。
パク・ジフン以外のキャストは総入れ替えしてNetflix制作のシーズン2が発表されましたよね。シーズン1がああいう終わり方をしていたので、入れ替えは妥当だとは思いますけれど。新しい相棒が『輝くウォーターメロン』でチェ・ヒョヌクと共演していたリョウンというのも興味深いですね。
韓国の掲示板に「シーズン2にチェ・ヒョヌク出ないの!?」って書いてあるのを結構見ました。ケンカが強くてカッコいい役だったのでみんな好きになりますよね、あのキャラは(笑)。ホン・ギョンと一緒にカメオでもいいから出てほしいですけどね。
『庭のある家』はキム・テヒ演じるジュランが住んでいる、文字通り”庭のある”豪邸が舞台になっています。映画『パラサイト 半地下の家族』でソン・ガンホ一家が潜入する家に似てるな、と思ってたら韓国でもそう言われてたそうで。韓国では新興の富裕層はああいう風にモダンだけど無機質な家に好んで住んでるのかな? と思いました(笑)。
このドラマ、カメラワークが独特でキム・テヒは家の中でずっと監視されているような撮られ方をしていたのが不気味なんですよね。
作品が放つ異質な感じが癖になる作品でしたね。覗いちゃいけないもの見ちゃった的な。ちょっと前なら、チョ・ヨジョンが主演してそうなカラーの作品なので、キム・テヒがこれを演じているのが新鮮でした。それと、主人公2人の対比もすごかったですよね。キム・テヒが住む美しいお屋敷って、温度がまったく感じられないじゃないですか。一方で、イム・ジヨンが演じていたサンウンのテリトリーはどこかウエットな感じがした。
夫に精神的にも肉体的にもDVを受けていたイム・ジヨンが、食堂で「旦那が死んだ」と電話しながら、せいせいした感じでチャジャンミョンをかっ食らうシーンは凄かった! 下に貼った番組内で言われてますが、彼女が食べていたチャジャンミョン、タンスユク、マンドゥの韓国中華定番3点セットが「イム・ジヨンセット」って呼ばれてたそうです(笑)
豪邸に住み、不自由のない暮らしをしているけれど精神的に不安定で、すぐ倒れそうで薄幸MAXのキム・テヒと、夫の暴力にたかり家族と、誰よりもボロボロ状態なのに、ギラついてるイム・ジヨン。2人は真逆なようで、実は誰よりも近い存在という展開も興味深かったです。
私は最初っからキム・ソンオが真っ当な夫を演じるはずがない! と思って見てましたが(笑)。個人的にはイム・ジヨンの夫役チェ・ジェリムに注目していました。彼は昨年『オペラ座の怪人』『レ・ミゼラブル』と大作で主演を務めたミュージカル界ではトップ俳優なんですね。素顔はポジティブでとても明るい方なので、「めっちゃゲス夫すぎるよ!」とツッコミながら見てました(笑)。
今や時の人となったナ・イヌが熱血刑事役をやっているこのドラマ。『ずっとあなたを待っていました』っていうタイトルに、どんな内容だろう?? と気になっていた方は多いと思います。NU’ESTのレンが、助演ではありますがナ・イヌの弟役で韓国の連続ドラマに本格出演したということでK-POPファンも注目していたのでは?
この作品は、掘り出し物ですよ。良質なサスペンスですし、ヒューマン度も高いので、寄り添って見られますね。回を重ねるごとに「え?」っていう衝撃真実が明らかになっていくので、あまり前情報入れずに見たほうが楽しめると思います。見ていくと、タイトルの意味もなるほど! ってなると思います。深いです。
助演陣もクォン・ユル、イ・ギュハン、ぺ・ジョンオクと、上手い俳優揃ってますね。演出は、イ・ジュンギ主演の『アゲイン・マイ・ライフ~巨悪に挑む検事~』のハン・チョルス監督で、クォン・ミンス脚本家は『優雅な一族』でも監督と組んでいたそうなので、巧妙なサスペンスドラマが見られると思います。
そのほかHulu作品で良かったのは『ハピネスバトル』。Netflixの『セレブリティ』がインフルエンサーたちの生存競争だとすると、こちらは幼稚園のママ友たちのパワーゲームが見られます。大人世代はこっちのほうが共感できるかな? 『グリーン・マザーズ・クラブ』とか『SKYキャッスル』とかの空気に似てますね。曲者女優が集まってるので、演技バトルとしても楽しめます。イエルは『私の解放日誌』に続き、いい仕事してるなあと思いました。
あとはイ・ギュハン! 私『ハピネスバトル』と『ずっとあなたを待っていました』を続けて視聴したので、「またあなたなの!」というツッコミを入れてしまいました(笑)。昔から好きな俳優なので、会えるのはうれしいんですけど、すっかりクセ強いキャラ専門になってますね。
下のAbema TVの項目でも紹介しているんですが、最近、若手俳優やアイドルを起用したWebドラマがたくさん作られていて、それを配信サイト用に発展させたドラマが増えているんですよね。この『プレイ・プリ』はまさにその典型。演技派子役俳優から大人の女優に成長したキム・ヒャンギと、Webドラマでデビューしたシン・ヒョンスンが主演して、少女マンガのようにポップでキラキラした青春ラブコメディに仕上がっています。
音楽が人をつなぐというテーマはディズニープラスで配信中の『サウンドトラック』シリーズにも通じています。どちらもヒロインが、借りを作るのが嫌いというのも似ていました。「もっと人を頼ったりすればいいのに」と画面に向かってつぶやきましたから(笑)。さらっと見ることができる青春ドラマなので、サスペンス系に疲れたときとかに見るといいかも? シン・ヒョンスンがどうみても癒し系のいい子なので、カリスマスター役にあまり見えないのはご愛敬ですけどね(笑)
■ Abema TV編 ■
このドラマの原題は『清潭(チョンダム)国際高等学校』っていうんですが、このタイトルでもう作品の背景が分かるんです。セレブの街、江南の清潭洞+富裕層が通う国際高校(インターナショナルスクール)。つまり韓国では「クムスジョ(금수저)」、日本だと親ガチャと言われている格差問題が根底にある話です。
リッチな家の娘ジェナをRed Velvetのイェリが演じていますね。Abema TVではほかにもCherry BulletユジュとVICTONスビン主演の『私のXのような20歳』や、woo!ah!ウヨン主演の『バズハート』などを独占配信してます。
元々はWebドラマから始まった短編青春ドラマが、新人俳優やアイドル歌手の演技トレーニングの場になっていて、最近は有望な若手がWebドラマ出身というケースも増えてるので何気に侮れないんですよね。
このドラマの情報を調べていたら、最近個人的に気になっていたことを見事にまとめてあった韓国の記事がありまして。
学暴、競争、序列…“ドーパミン噴出”OTTハイティーンマクチャンドラマ、ひたすら“ダーク”にしてもいいのか(スポーツソウル)
大人を主人公に描いていた世界が、そのままティーン向けドラマにも降りてきてるんですね。刺激的な描写を入れすぎて青少年視聴不可判定になった作品もあったそうですが。
「ハイティーンマクチャンドラマ」っていうジャンルが生まれていること自体が衝撃でした。こういうドラマは新人俳優のフレッシュな演技を青田買い感覚で気軽に楽しめるところが長所だと思うので、ほどほどのところに留めておいてほしいですよね。
■ FOD編 ■
若手俳優を起用したWebドラマ系作品のなかで、近年急増しているのがBLドラマです。FODではアジアドラマカテゴリのなかでBL作品に力を入れていて、見放題作品も多いです。
『僕らの恋は授業中です』はノンケなはずだった大学生が押しの強い先輩に落とされていくシーズン1が好評で、昨年配信された新作のシーズン2は3組のペアの恋の行方を追ったものになっています。
韓国BLドラマシーンはいまどんどん進化していて、専門レーベルもいくつかあり、「Heavenly」というBLコンテンツ専門の配信サイトまで出来てるんですね。
ただし、同性愛描写のハードルは日本より高いので、地上波放送はまだちょっと難しいかな……と思うのですが、今後ケーブル系チャンネルでテレビ放送されるBL作品は出てくると思いますよ。
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