最後に、各社の2024年ラインナップを参照しつつ注目の新作を紹介していこうと思います。
私が注目しているのはこの5本。
●『チョンニョン』(10月? 韓国tvNで放送予定)
●『ウォンギョン(元敬)』(12月?韓国tvNで放送予定)
●『お母さんの友達の息子』(8月?韓国tvNで放送予定)
●『ヒーローではないけれど』(韓国JTBC/Netflixで配信中)
●『地獄から来た裁判官』(韓国SBSで放送予定)
まずは、『赤い袖先』のチョン・ジイン監督が手がける『チョンニョン』です。舞台は朝鮮戦争直後の1950年代で、女性国劇(여성국극)という、日本でいう宝塚歌劇団のように女性だけの劇団に入団する女性たちの姿を描くドラマです。
これまたウェブトゥーン原作なんですね。ちょっと調べてみたら、昨年国立唱劇団が、この原作をもとに唱劇(チャングク ※パンソリと芝居で構成する音楽劇)方式で上演してまして、チケットが速攻売り切れて大人気だったそうです。
パンソリの名手の主人公を『二十五、二十一』や『悪鬼』のキム・テリ。『ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜』のシン・イェウンやラ・ミラン、ムン・ソリなどが共演と、もう演技派揃いで期待しかないです。
韓国舞台マニア的には女性国劇に俄然興味が湧きました。宝塚と同じで、男役には熱烈な女性ファンがたくさんついていたと当時の役者さんたちが語ってる動画があって面白かったです。ドラマではその辺りも描かれるのかな?
時代劇ファンとしては、同じくtvNで予定している『ウォンギョン(元敬)』、も楽しみです。ヒロイン、元敬王后役は『ザ・グローリー』のチャ・ジュヨン。その夫である朝鮮王朝2代王・太宗(イ・バンウォン)役を『再婚ゲーム』や『先輩、その口紅塗らないで』のイ・ヒョヌクが演じます。太宗って、武闘派代表みたいな王様なので、彼がどう演じるのかなとワクワクしています。
太宗の父で、朝鮮を建国した太祖イ・ソンゲをイ・ソンミンが演じるそうで、こちらも楽しみです。
演出のキム・サンホ監督は『アラン使道伝』(2012年MBC)とか『華政(ファジョン)』(2015年MBC)などを手がけてたんですね。時代劇の演出は久々みたいですけど、MBC時代劇全盛期のPDなので期待して良さそうですよ。
ロマンスもののなかでは『海街チャチャチャ』の監督&脚本家コンビによる『お母さんの友達の息子』。チョン・ヘインがロマコメ初挑戦! ヒロインが相手役を輝かせる女優チョン・ソミンと、これは間違いないんじゃないかと思っています。
엄친아(オムチナ=엄마 친구 아들 お母さんの友達の息子)ってまさにチョン・へインのためにあるような言葉ですよね(笑)。この作品もヒットしそうだし、もう「不敗神話」俳優って呼んでいいんじゃないでしょうか。
先日Netflixで配信が始まった『ヒーローではないけれど』は、昨年から続く超能力ものドラマとして注目しています。ポク家の息子グィジュはうつ病でタイムスリップ能力を喪失。その母マンフンは不眠症で予知夢が見られず、姉ドンヒは肥満のため飛行能力を失った……それぞれ現代病に悩まされているスーパーパワーの持ち主というユニークな設定が気に入っています。
最初にチャン・ギヨンのビジュアルを見たときは驚きました! 髪はボサボサだしフーディ被って酒浸り。入隊前はキリッとしたイメージの役が多かったのに、大胆変身を遂げていますね。兵役を経て3年ぶりのカムバック作ですし、役者としてブレイクスルーしたいのかな? 注目して観ていこうと思います。
ロマンス作品でもう1本気になっているのは『地獄から来た裁判官』。パク・シネが演じるのは、超エリート裁判官だけど、その正体は罪を罪とも思わない極悪人を地獄送りにする悪魔。『ドクタースランプ』で華麗な復活をとげた彼女が、今度はファンタジー作品でどんな姿を見せてくれるのか楽しみです。
私が注目しているのはこの6本。
●『捜査班長1958』(韓国MBC/ディズニープラスで配信中)
●『クラッシュ』(韓国ENA/ディズニープラスで配信中)
●『遊んであげる女』(6/15~韓国JTBCで放送/日本配信未定)
●『監査いたします』(7月~韓国tvN/Netflixで配信予定)
●『良いか悪いドンジェ』(韓国TVING/日本配信未定)
●『家族計画』(韓国ク―パンプレイで2024年配信予定)
今年上半期、最も期待していたのがディズニープラスで配信中の『捜査班長1958』でした。最高視聴率70%台を記録したという伝説の刑事ドラマ『捜査班長』(1971~1989年MBC)のプリクエル(前日譚)です。『捜査班長』と『田園日記』(1980~2002MBC)っていう、韓ドラ史に残る長寿ドラマ両方に主演して国民的俳優になったのが大御所チェ・ブラムで。彼が演じたパク班長がまだ若手刑事だった頃を今回イ・ジェフンが演じているわけです。チェ・ブラムが登場した第1話のオープニングが泣ける演出で本当に素晴らしかった! それでいま韓国では元祖パク班長が再注目されて、オリジナル版『捜査班長』を見直している人も多いそうです。
イ・ドンフィが、オリジナル版でも相棒だったという「狂犬」ことキム・サンスン刑事を演じていて、イ・ジェフンと絶妙なバディを形成していくところも見どころです。新鋭2人が演じる新米刑事、怪力モムチャンなギョンファン(チェ・ウソン)と名門大出の頭脳派ホジョン(ユン・ヒョンス)もキャラにうまくハマっていますね。
オリジナル版はもっと泥臭いヒューマンドラマのような感じでしたが、こちらは多少無謀でも刑事たちの若さと機動力を前面に出した青春捜査活劇になっていて、老若男女問わず気軽に楽しめると思います。今後MBCでは、この「前日譚」のシリーズ化のほか、オリジナル版以降の「後日譚」も制作したいと意気込んでいるそうで、『捜査班長』シリーズが『スター・ウォーズ』並みの壮大なプロジェクトになるかもしれませんよ。
ディズニープラスで配信開始した『クラッシュ 交通犯罪捜査チーム』は、イ・ミンギが前作『ヒップタッチの女王』に続いて刑事役。ですが、演じているチャ・ヨンホは高学歴エリートで社会性ゼロという前作とは真逆のキャラなんです(笑)。『ムービング』、『賢い医師生活』のクァク・ソニョンが、男性顔負けの行動派刑事ミン・ソヒを好演していて、ハードなアクションや車のドリフトシーンなどもスタントなしでやったと制作発表会で言っていました。
演出は『模範タクシー』シーズン1のパク・ジュヌ監督なんですね。第1話からかなり派手なカーアクションが盛り込んであったし、捜査チームのメンバーそれぞれの特技を生かして全員で事件を解決していくスタイルは『模範タクシー』と共通点ありますよね。
通称「T.C.I」1と呼んでいる「交通犯罪捜査チーム」は、チーム長役にホ・ソンテ、メカ担当の捜査員にイ・ホチョル…と、いつもは警察に追われるほう(笑)のコワモテ俳優が出演しています。実は彼らコメディセンス抜群でめちゃくちゃ面白いんですよね。加えて警察署長役にはペク・ヒョンジンと、私の好きな濃いキャラ兄さんたちが脇を固めていて、もう1話から笑えるシーン満載! 今後のエピソードでも活躍を楽しみにしています。
『遊んであげる女』は、何と言ってもこの2人主演のラブコメディっていうのがポイントです。オム・テグは、映画『密偵』(2016年)の日本人警官ハシモト役とか、『楽園の夜』(2019年)の暴力団員とか、ダークな役を多く演じてきた人で。そんな彼と『酒飲みな都会の女たち』で好演していたSecretのソナが組むっていう時点で興味が湧きました。顔合わせの妙という点ではNetflixのページで紹介した『その恋、断固お断りします』と似てるかも?
オム・テグは『約束の地~SAVE ME~』や『ホームタウン』など、ドラマでも強烈なイメージのアウトロー役でしたからね。↑上の予告映像を見たら、かなりドタバタなシーンもありそう(笑)
本作ではジファンという足を洗った元暴力団員役だそうですが(笑)、ソナにいじられまくるキャラみたいで面白そうですよね。恋敵となる検事ヒョヌ役は「二番手男の達人」クォン・ユルだし、演出は『30だけど17です』、『今日のウェブトゥーン』のキム・ヨンファン監督ということで、手堅くヒットしそうな気がしています。
7月から韓国tvNで放送予定のこのドラマ、最初は『ありがとうございます』というタイトルだと思ってたんですけど、あえて『監査いたします』と原題を訳しました。その理由は、「監査いたします」も「ありがとうございます」もハングルでは同じ「감사합니다(カムサハムニダ)」と書くんですよ。果たして邦題はどうなるでしょうかね?(笑)。
建設会社を舞台にした「オフィス捜査活劇」だそうで、シン・ハギュンが会社の監査チーム長に扮して社内の不正を暴いていく勧善懲悪ストーリのようです。
イ・ジョンハは『ムービング』で第60回「百想芸術大賞」のドラマ部門新人賞を受賞して、今後の活躍が期待されていましたが、いよいよ新作が見られますね! 監査チームに所属する新入社員として『医師チャ・ジョンスク』のチョ・アラムと一緒にシン・ハギュンをサポートする役柄のようですよ。
チン・グは建設会社社長の座を虎視眈々と狙っている副社長役ということで、ヒールキャラ確定ですかね?(笑)。シン・ハギュンとの演技バトルを楽しみにしています!
ドンジェが、飛ばされた清州地検で殺人事件を担当するんですよね。デキる検事としての面目躍如を期待しています。
この作品の「ヴィラン(悪役)」となる建設会社代表をパク・ソンウンが演じるそうで、かなり手ごわい敵になりそうです。
それと、ファンの方々はみなさん期待してると思うんですけど、シモク(チョ・スンウ)&ヨジン(ぺ・ドゥナ)など『秘密の森』メンバーのカメオ出演あるといいな~とも思ってます。
韓国の配信サービス「ク―パンプレイ」は、Amazonプライムビデオみたいに、元々は通販ベースの会社運営ですが、このところ面白いオリジナルドラマを次々と発表して話題になってるんです。そんななか1月に制作公表したのが『家族計画』。ぺ・ドゥナ、リュ・スンボム、ペク・ユンシクに若手注目株のロモンとイ・スヒョン……もうこのメンバーが揃ってるってだけで見るでしょ!って感じです。
シノプシスを見ると「生き残るため家族に偽装した特殊能力者が、彼らを脅かす極悪無道な犯罪者たちに対抗して格別な方法でやっつけていく」と書かれています。特殊能力者が主人公というとリュ・スンボムも出ていた『ムービング』を思い出しますね。
もしくは、キム・スヒョンが主演した映画『シークレット・ミッション』みたいに、能力を隠して韓国に潜伏した北朝鮮の敏腕工作員みたいな家族なのかも? 演出のキム・ゴク&キム・ソンは兄弟監督として知られていて、ピョン・ヨハン主演映画『声/姿なき犯罪者』が評価されていました。脚本は『ハッシュ~沈黙注意報~』、『SUITS/スーツ〜運命の選択〜』のキム・ジョンミン、と制作陣も良さげなので期待大ですね~。
実は今年の新作以外にも、昨年からずっと日本上陸を待ってる作品があるんです。
イム・シワンが主演したレトロな青春コメディ『少年時代』という作品。上で紹介した『家族計画』と同じク―パンプレイの作品で、配信されるや否や面白い! と話題になり加入者急増。あまりの人気に配信サーバーがダウンしたこともあったそうです。イム・シワンにとっては『ミセン-未生-』に並ぶ人生ドラマ(ベスト作)レベルだと評判で、先日の第60回「百想芸術大賞」ドラマ部門の最優秀演技賞候補にもなっていました。
舞台は1980年代末の忠清南道(チュンチョンナムド)。ヘタレな高校生だった主人公ビョンテが扶余(プヨ)の高校に転校してケンカの強さで有名な生徒に間違われてしまうところから始まります。 主演陣が忠清道方言テストに挑戦してる動画も公開されているくらい、登場人物の忠清道訛りがきついので、日本語字幕つきで見たほうがいいです(笑)
演出はキム・ナムギル主演の『熱血司祭』を大ヒットさせたイ・ミョンウ監督。公式動画がたくさん公開されてるので見てほしいんですが、ギャグ漫画みたいにベタな笑えるシーンが多いのも最高です! オープニング曲をノラジョが歌ってるのもイイ。早く日本で配信されるといいなと思っています。
私はイ・ハニ主演の痛快時代劇『夜に咲く花』をお待ちしております! 『熱血司祭』や映画『エクストリーム・ジョブ』などでコミカルな演技に定評のあるイ・ハニが、昼と夜2つの顔を使い分けるヒロイン、チョ・ヨファを熱演して最高視聴率18.4%を記録。第60回「百想芸術大賞」ドラマ部門で、イ・ハニが最優秀演技賞を受賞していました。
相手役の従事官パク・スホを演じたイ・ジョンウォンがいま大ブレイクしてて。「私は一人で暮らす」などのバラエティ番組に出たり、ファッショングラビアなどにも引っ張りだこなんですよ。ハイライト映像を見ただけでも面白そう! 早く日本上陸するといいですね。
ほかにもたくさん気になる新作があるんですが、今年はチェ・ジョンヒョプ主演のTBSドラマ『Eye Love You』が大ヒットしましたよね。その韓国バージョン的なドラマ『愛のあとにくるもの』が2024年内に配信予定で注目しています。坂口健太郎と『赤い袖先』のイ・セヨンというトップスターの共演だけに、話題となるのは必至です。
『寄生獣-ザ・グレイ-』には菅田将暉がカメオ出演していましたし、最近、TBSと韓国のCJ ENMが、テレビ朝日とSLLがそれぞれ共同制作を公式発表していました。こうやって日韓の俳優や制作陣が両国で評価を得られるような作品が今後も生まれるといいですね。
ここまで長々と配信作品を紹介してきましたが、最近韓ドラ関連でちょっと気になる記事を目にすることが増えてきまして。
●トップスター 1話当たり10億もらうのに撮って寝かせるドラマ、映画130余編…Kコンテンツ“奇妙な氷河期”(韓国日報)
●財布の紐を締める韓国OTT、オリジナルコンテンツへの投資を減らす(ファイナンシャルニュース)
制作費高騰と、韓国ローカルOTT(配信サイト)の累積赤字でオリジナル作品が作られなくなっていて、2025年以降は作品数がぐっと減るだろうと言われています。
とはいえ、すでに続々と2025年公開予定の新作情報も入ってきていますよ。
●イ・ジュノ、キム・ヘジュン主演『CA$HERO(キャショロ)』(Netflix )
●IU、パク・ボゴム主演『本当にお疲れ様でした』(Netflix)
●ソル・ギョング、パク・ウンビン主演『ハイパーナイフ』(配信先未定)
●リュ・スンリョン、ヤン・セジョン、イム・スジョン主演『巴人(パイン)』(ディズニープラス)
●ソン・ソック、キム・ダミ主演『ナインパズル』(ディズニープラス)
●カン・テオ、イ・ソンビン主演『じゃがいも研究所』(韓国tvN)
●キム・ナムギル、キム・ヨングァン主演『トリガー』(Netflix )
●チュ・ジフン、チョン・ユミ主演『愛は片足で』(韓国tvN)※2024年12月?
制作環境が厳しくなったと言われているなかでも、来年も魅力的な新作が多数誕生しそうです。
韓ドラファンのみなさん、これからも一緒に楽しみましょう~!
- T.C.I=Traffic Crime Investigation(交通犯罪捜査) ↩︎
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