木村典子の「お隣の演劇」Vol.2

 

 「日本現代戯曲リーディング」

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本谷有紀子作・キム・ハンネ演出「乱暴と待機」公演の様子

いつの間にか黄色のケナリが咲き始め、春の気配。演劇界もこれから秋までが各種演劇フェスティバルも開催されシーズンに突入。今年はどんな話題作が登場するのか楽しみです。

IMG_5086aその前に、2月21日から23日まで明洞芸術劇場で開催された『日本現代戯曲リーディング』のご報告!韓日演劇交流協議会(会長キム・ガンポ)が主催するこの交流事業は、今年第6回を迎えました。2002年、日本側のカウンターパートナーである日韓演劇交流センターと共に「韓国現代戯曲リーディングVol.1」を開催以来12年間、隔年で相手国の作家と作品を紹介してきました。初期には“戯曲リーディング”という公演スタイルが普及していなかったこともあり、観客が少なく関係者は苦労もしましたが、今では明洞芸術劇場が満席になるほどです。

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観客のQ&Aに応える、「ぬけがら」の作者、佃典彦(写真右から2人目)と演出家リュ・ジュヨン(同3人目)

今年は、本谷有希子『乱暴と待機』(キム・ハンネ演出)、前田司郎『偉大なる生活の冒険』(キム・ジェヨプ演出)、佃典彦『ぬけがら』(リュ・ジュヨン演出)と、今注目される作家の作品がリーディング公演され、宮本研『美しきものの伝説』、藤田傳『とりあえずの死』を含めた「現代日本戯曲集6」(演劇と人間)が出版されました。

今注目されている若手演出家たちが演出したリーディング公演は、映像を使ったものから観客を湧かせるパフォーマンスを導入したものまで、ただ耳で聞くだけではない、観客の想像力を刺激するもので、作品とリーディング公演の面白さを伝えてくれました。毎回のことですが、日本から参加した作家たちが驚くのは、韓国の観客の反応のよさと積極的さです。劇場で演劇をともに作り上げる観客の姿勢は、韓国演劇にとって大きな力であり、大きな財産です。これをあらたえて痛感した時間でもありました。
来年1月には、日本で韓国の若手作家3名の話題作がリーディング公演されます。ぜひ、韓国演劇の今を見に、足を運んでみてください。

「韓国現代戯曲ドラマリーディングVol.7」
2015年1月13日(火)~18日(日)
会場:世田谷パブリックシアター/シアタートラム
日韓演劇交流センター http://www.tckj.org/

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