SHINee、INFINITE、EXO、f(x)と、SMエンターテインメントに所属する人気グループの歌手たちが大挙出演する新作ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』の稽古場が8月19日、報道陣に公開された。
『イン・ザ・ハイツ』は、2007年にオフブロードウェイで上演後、翌年にはブロードウェイ公演を行い、第62回トニー賞では最優秀ミュージカル賞をはじめ4冠を獲得。サウンドトラックは第51回グラミー賞の最優秀ミュージカルアルバム賞を受賞するなど、華々しい受賞歴を誇る作品だ。日本では昨年4月に上演されているが、韓国では今回が初演となる。
物語の舞台はニューヨーク、マンハッタンにある“ラテンハーレム”と呼ばれている街、ワシントンハイツ。ラテン系の移民が多いこの街に住むドミニカ系移民のウスナビ、ベニーらを中心に、貧しくとも前向きに生きようとする住民たちの日常をラテンミュージックをベースにしたサウンドで彩るヒューマンストーリーだ。
昨年、SMエンターテインメントは舞台制作部門SM C&Cを立ち上げ、『シンギン・イン・ザ・レイン』を上演して注目を浴びたが、2作目となる『イン・ザ・ハイツ』はキャスト、制作陣ともにより一層豪華な面々が揃い、各方面から期待が寄せられている。
ワシントンハイツで小さな食料店を営みつつ、いつかは母国へ帰ることを夢見るドミニカ系移民のウスナビ役はヤン・ドングン、チョン・ウォニョン、Key(SHINee)と、この日は不参加だったが、チャン・ドンウ(INFINITE)がクワトロキャストで出演する。
なかでもラッパーとして精力的に活動しているヤン・ドングンは「普段の舞台とミュージカルでラップするのは違うので、どう馴染ませるか、まだ創り上げる過程にある」という。兵役中に出演した国軍ミュージカル『MINE』以来、約7年ぶりにミュージカルに出演することについては「新人俳優のように初心に返って演じようとしています。『MINE』という作品はまるで軍の訓練のようでしたが、その時の経験がなかったらしんどくて途中でやめていたかもしれません。ラップも舞台に立つことも大変ですが、それだけの価値があると思い、頑張っています」と彼らしい語り口で印象を語っていた。
過去に日本公演も行った『RUN TO YOU(ストリート・ライフ)』という作品でラップに挑戦したことがあるチョン・ウォニョンは「以前は(劇中歌である)DJ DOCの曲に合わせて歌を歌えばよかったですが、今回は作品のなかにラップがある感じで、ラップが(ウスナビの)性格や口調を表しているようです」と違いを表現。また「舞台の上でラップすることに難しさはそれほど感じていないけど…」と話し始めたKeyは、「英語のラップを韓国語にしてフローやライムを組み立てることに、むしろ創作力を必要とする。先輩たちと相談しながらラップで観客に伝えられるよう努力している」と日ごろからラップもこなすポップスターらしいコメントを披露していた。
男性主人公たちとロマンスを繰り広げる4人のヒロインたちも魅力あふれるキャストが揃っている。
ウスナビと恋に落ちる、美しい美容師ヴァネッサ役にはオ・ソヨンとJ-Min。J-Minは「普段、気が強いタイプではないので役をうまくこなせるか不安だった」と明かす一方、オ・ソヨンは「華やかに見えるけど、実は一人で泣いていたりする心に痛みを抱えているキャラクターです。これまで女性らしい役が多かったですが、本当はハキハキして外交的なタイプなので楽だし、説得力も出せると思います。J-Minちゃんと一緒に、セクシーに演じられるよう努力しています」と、自身に近いキャラクターを披露してくれそうだ。
ベニーが思いを寄せる優等生ニーナ役はキム・ボギョンとf(x)のルナが演じる。これまで『ミス・サイゴン』『ウィキッド』など大型ライセンス作品に多数出演してきたキム・ボギョンは「これまで経験したことがない役柄に焦がれていました」と出演理由を語り、ミュージカルへの出演は2年ぶりとなるルナは、最近MBCの人気歌番組「覆面歌王」に出演し、その歌唱力が再び脚光を浴びている。「番組で私の歌を知った方も多いのでプレッシャーですが、ニーナのパートはいい曲が多いけど歌がとても難しいです。頑張って練習しているので、期待していてほしいです」と、ともに新たな姿を舞台で見せてくれることを約束していた。
ニーナの父が運営するタクシー会社で運転手として働くベニー役は、ミュージカル界のライジングスター、ソ・ギョンスとINFINITEのソンギュ、EXOのチェンが演じる。なかでも今回ミュージカル初挑戦となるEXOのチェンは「僕にとっては大きな挑戦になります。自分で何か選んだり、計算するのではなく、ただ一生懸命やりたいと思います。EXOのメンバーのなかにミュージカル経験者(ベクヒョン)がいるので、アドバイスしてくれたし、ほかのメンバーもいろいろと助けてくれています」と控えめにコメント。キム・ソンギュは日本で上演した『光化門恋歌』『ヴァンパイア』に続き、ミュージカルは3作目。「この作品を通してより成熟し、発展した姿を見せたいです」と抱負を述べた。そして「ベニーが歌うナンバーにいい曲が多い」というソ・ギョンスは、「後半でニーナと歌うデュエット曲『Wen the Sun Goes Down』は、希望に満ちた温かい曲です」とミュージカル俳優らしくおすすめのナンバーを解説していた。
イ・ジナ演出家は「この作品はラテン系移民の多様な人種や、文化、情緒的な部分でのギャップが大きく、韓国で数年前から上演しようとしていたが、上演には至らなかった。内容的には言葉や人種的なエピソードはほとんど除いて、厳しい現実のなかでも希望を失わずに生きる人たちを描く温かい物語になる」と明かした。また「アイドルがたくさんミュージカルに進出しているが、これまでそのような作品は(演出を)断ってきた。しかし『イン・ザ・ハイツ』はアイドルたちの長所を生かすのに最適な作品なので喜んで作品に参加しました。ラップは普通の歌ともミュージカルの歌とも違うジャンルだが、アイドルたちがよく消化してくれているので大きな問題はないです」と率直に語っていた。またウォン・ミソル音楽監督は「メインジャンルはラテンヒップホップです。キャラクターの自由さや情熱、悲しみ、恨みをダイレクトに表現するのに適しています。そのエネルギーをいかに出せるか、毎日俳優たちと相談しながら考えているところです」と楽曲について解説。これまでのミュージカルにはない新鮮なサウンドを聴くことができそうだ。そしてダンスはヒップホップと現代舞踊という異なるジャンルの振付家が担当している。チェ・ヒョンウォン振付家は「イ・ジナ演出家には大衆性に加え、優雅さを求められました。ヒップホップなどの大衆性があるストリートダンスに、ミュージカル的な感情を表現するには現代舞踊を少し加えると深みが出せます」と二人の共同作業が有機的に進んでいることを伝えた。
人気歌手と実力派ミュージカル俳優、そして強力な制作陣を揃え、万全の態勢で初演に挑む『イン・ザ・ハイツ』は、9月4日から漢江鎮(ハンガンジン)のブルースクエア サムソンカードホールで開幕する。
【公演情報】
ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(인 더 하이츠 In the Heights)
2015年9月4日~11月22日 ブルースクエア サムソンカードホール
<出演>
●ウスナビ役:ヤン・ドングン、チョン・ウォニョン、チャン・ドンウ(INFINITE)、Key(SHINee)
●ベニー役:ソ・ギョンス、キム・ソンギュ(INFINITE)、チェン(EXO)
●ヴァネッサ役:オ・ソヨン、J-Min
●ニーナ役:キム・ボギョン、ルナ(f(x))
●ソニー役:ユク・ヒョンウク、チョン・ヨクサン
●クラウディア役:リュ・スファ、チェ・ヒョクジュ
●ケヴィン役:パク・ホサン、シム・ジョンワン
●カミラ役:チャン・ウニョン、パク・ソリ
●カーラ役:ヨム・ミンジ
●ピラグエロ役:ユ・スンヨプ
演出:イ・ジナ/音楽監督:ウォン・ミソル/振付:チェ・ヒョンウォン、キム・ジェドク/ラップ指導:ナム/舞台:パク・ドンウ/照明:グ・ユニョン/音響:クォン・ドギョン/衣装:ドヨン/ヘアメイク:キム・ユソン/小道具:チョ・ユニョン/技術:キム・ミギョン/舞台監督:ユン・ジュソン/制作監督:イ・スンジン
制作:SM C&C
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