シーズン1の優勝グループ「Forte di Quattro(フォルテ・ディ・クワトロ)」、シーズン2の優勝グループ「Forestella(フォレステラ)」、同準優勝の「MIRACLASS(ミラクラス)」など、番組から誕生したクロスオーヴァ―グループは、現在もアルバムのリリースやコンサートを行うなど活動を継続している。
なかでもミュージカル俳優のコ・フンジョンは「Forte di Quattro」のリーダーとして現在も精力的にグループを率い、「MIRACLASS」の一員であるミュージカル俳優のパク・ガンヒョンは、番組を通じて認知度を上げ、『笑う男』などの大型ミュージカルで主演を務めるようになるなど、ミュージカル俳優にとっては幅広い人気を獲得するきっかけとなっている。
そして、今回紅一点のヒロインに抜擢されたのがチョン・ミドです。
韓国舞台シーンを代表するミッ・ポ・ペ(믿고 보는 배우=信じて観る俳優)でありながら、これまで映像ではほとんど活動しなかったことから、韓国でも本作のヒロインとして発表された際には「チョン・ミドとは誰?」という記事が出たほど、一般的には知られていない俳優でした。日本の韓国ドラマファンも、おそらく同じ印象を持ったことでしょう。
しかし彼女の凄さを知る人たちは「キターーーー!」と歓喜の嵐。韓国インターパークが運営する舞台情報サイトPlayDBでも、わざわざ記事が公開されるなど、キャスト発表と同時に舞台マニアの間では大きな話題となっていたのです。
2019年の韓国舞台シーンで特徴的だったのが、各カンパニーごとに出演者が固定化する“劇団化”がより進んだことだった。そんななか、以前から自社作品に所属俳優中心のキャスティングをしていたR&D Worksが19年末にコンテンツ制作劇団「R&D Works STUDIO」の設立を発表するなど、2020年以降もこの動きはますます加速していくと予想される。これは、カンパニー側としては実力とチケットパワーを併せ持つ俳優をキープでき、俳優側も仕事が途切れないメリットがある反面、出演俳優の固定ファン以外の観客を呼び込みづらいデメリットも併せ持っている。いち観客としては、ベテランから新人まで所属を問わず柔軟にチャンスを与え、キャスティングの妙を楽しむ機会をもっと増やしてほしいところだ。
演劇初演作品は、ジェーン・オースティンの小説を原作にした英国発作品『高慢と偏見』が1位となった。男優1と女優1の2人で21人ものキャラクターを性別問わず演じ分けるという斬新な手法と、ミッポペウ(믿고 보는 배우=“信じて観る俳優”の略語)と呼ばれる舞台マニアに人気の高いキャストが揃っていたことも評価を得た要因だろう。
「メロディ・イン・ブルー」(ME-lody in blue)と題されたコンサートは、『ジキル&ハイド』『フランケンシュタイン』などで舞台監督を務めるイ・ユウォンが総括演出を担当。『ランボー』『ニジンスキー』『HOPE』などを手掛けたシン・ウンギョンが音楽監督を務める。約2時間の公演を14人編成のオーケストラとともに作り上げ、観客の耳と心をガッチリと掴む予定だ。