■ Amazonプライムビデオ編 ■
Amazonの有料会員プログラム「Amazonプライム」の映像配信サービス「プライムビデオ」、通称「アマプラ」は見放題コンテンツに加えて新作や独占配信などの有料コンテンツもあって、特に映画はここでしか見られない作品も多いです。
『私の夫と結婚して』はアマプラで独占配信している韓ドラのなかでも圧倒的人気作になりましたね。パク・ミニョンもナ・イヌも来日ファンミーティングは即完! ナ・イヌはAmazonジャパンに会社訪問までしていて、スタッフの皆さんもかなり盛り上がってました(笑)
最近タイムリープもの、ホントに多いですが、過去に戻って人生やり直す物語っていうのは一定のニーズがあるんでしょうね。このドラマの原作はNAVERのウェブ小説で、ウェブトゥーン版は日本のLINEマンガでも公開中です。
このドラマを観た人はみんな「ブジャンニム(部長様)」こと、ユ・ジヒョクに持っていかれたと思うんですけど、劇中シリアス顔のナ・イヌがどうもピンとこなくって(笑)。これまでバラエティ番組で天然キャラを披露しまくってましたから。下に貼った「ラジオスター」のトークが最高に笑えるんですが、SM→JYP→CUBEと大手事務所を渡り歩いてアイドルになり損ねた人だったんですね。しかもデビュー作は『僕らのイケメン青果店』というミュージカルだった! 私、完全スルーしてました(笑)
先日ナ・イヌのファンミーティングに行ってきたんですが、ユ部長人気が本当にすごいんですよ!! 沼落ち民の多さたるや! 人気を改めて実感しました。実は私、本名のナ・ジョンチャン名義で長編ドラマに出ていたころから見ていたので、こんなにミニシリーズで活躍するようになるなんて、なんだか感慨深いです。
パク・ミニョンは相手役男優の魅力を引き出すのが本当に上手いですよね。彼女自身は、職種は多様ながら、近年の作品では常に明るく前向きなワーキングウーマンを演じてきたのも同性の視聴者に支持されている理由かな? と思っています。
不幸のどん底ヒロインと彼女のリセット人生を応援する騎士(ナイト)、っていう関係性は、以前は日日(イルイル)ドラマや週末ドラマでよくあったパターンでしたよね。
昔は50話や100話で週末ドラマなどの台本を書いていた脚本家が『結婚作詞 離婚作曲』や『ペントハウス』、『再婚ゲーム』など、短い話数のドラマを書くようになってきた。本作では逆に、ミニシリーズを書いてきた脚本家が愛憎復讐劇の手法を取り入れると、ここまでポップになるのか!という発見でもあり、その完成系と言えるかも? と思えるくらいの衝撃でした。
それと、近年のオフィスドラマはヒロインがパワハラ上司をやりこめる描写が必須。劇中でこてんぱんにされていたパワハラ課長役のキム・ジュンヒ(↓)は、コミカルな嫌われキャラが大人気になっていました。『ムービング』、『ボイス4~112の奇跡~』、『ミスター・サンシャイン』と、別人のように違う役で出演していた過去作まで注目され、今や「千の顔を持つ男」と呼ばれているんですよ。
昨年の配信作のなかでは『誘拐の日』が韓国でめちゃくちゃ評判良かったんですよ。放送中ずっとコンテンツランキング上位に入っていたほどの人気で。下のイメージポスターだけ見ると、誘拐もののサスペンススリラーかと敬遠されがちだと思うんですが。
天才少女ロヒと間抜けな誘拐犯の異色バディによる逃亡&真相追及劇です。ユン・ゲサンが元妻に言われてしぶしぶロヒを誘拐するんですけど、当の誘拐相手は記憶を失ってるわ、生意気だわ、天才だわで、振り回されまくるんですが、その凸凹コンビぶりが絶妙なんですよ!
ユン・ゲサンはお人よしキャラ、ハマってますよね(笑)。賢い少女と不器用なおじさんのバディものというと、映画『レオン』を思い出しました。
超絶生意気な女王様キャラのロヒに翻弄されながらも、甲斐甲斐しくお世話するダメ男だけどいい父親で、愛すべき人。最後まで彼女のために奮闘するユン・ゲサンの姿を見てほしいですね。ロヒを演じているのはユナという新人で、Apple TVの『パチンコ』で注目された子なんですが、私はすっかりファンになりました。物語もメリハリがあって最後まで目が離せないと思います。
私はドラマを観るとき、舞台俳優をチェックするのが習慣化してるんですが(笑)。この作品、助演俳優はほとんど舞台出身です。パク・ソンフンやキム・シンロクは近年いろんなドラマに出てますが、どんな役を演じても記憶に残っているのが凄い。ほかにもカン・ヨンソク、キム・ドンウォン、チョン・スンウォンなど小劇場で頑張っていた演技の上手い役者が揃ってるので注目して観てほしいです。
『ペイバック~金と権力~』は奇しくも、この作品がイ・ソンギュン最後のドラマ出演作になってしまいましたね……。映画『悪人伝』のイ・ウォンテ監督と、『女王の教室』、『マン・ツー・マン ~君だけのボディーガード~』のキム・ウォンソク脚本家のタッグということで、サスペンス、追跡ものが上手い制作陣が揃っています。
金の力で結託する権力者たちに対して危険な勝負を挑む人たちの物語です。イ・ソンギュンが演じるのは、闇金あがりの金商人。彼が母と慕う人への弔い合戦として、財界のフィクサーや検察権力に「お金」を餌に頭脳戦を仕掛けていくんです。飄々とふるまいつつも揺るがない心をもつ反骨キャラクターがすごく似合っていました。
イ・ソンギュンは俳優としての評価を上げた作品のひとつが『最後まで行く』という映画でしたが、どん底まで追い込まれたところから逆襲していく面白さがこのドラマにもありますよね。そしてそういう役がイ・ソンギュンはホントに上手い。
この作品でも一度は負けた身なんですが、家族のような仲間とともに復讐という名の正義を果たす姿が痛快だし、カッコよかったです。そうそう、妹のような存在をムン・チェウォンが演じているのですが、徹底して「家族」として描いていて、変にロマンスに発展しないところもよかったです。敵である悪徳検事側の家族との対比も興味深かったですよ。
昨年末に配信開始されるやいなや大きな話題を呼んでいだのが『もうすぐ死にます』でした。これまた人気ウェブトゥーン原作。ソ・イングク、パク・ソダムを筆頭に、近年注目を浴びた俳優が多数出演しているので、もう俳優の顔ぶれを見るだけでも十分楽しい気がします(笑)
本当に豪華キャストでした。ソ・イングク演じる主人公イジェが、自死した罰として12回、別の人の人生を歩む。なので、イジェの心をもつ人物をそれぞれ別の俳優が演じるわけなんですが、彼らからイジェ、つまりソ・イングクの姿がだぶって見えてくるんですよ。なかでも特にイ・ジェウクが素晴らしかったです。
VFXと組み合わせたアクションシーンも見どころですね。ソ・イングクはハードなアクションの多くを自分でこなしたそうです。チャン・スンジョは大型免許を取って初めてオートバイアクションに挑戦したと言っていたし、ソンフンは命がけのスカイダイビングをやったと制作発表会で話していました。
キム・ジフンとキム・ジェウクの2大悪役対決のインパクトに驚かされますが、すべてのキャラクターが繋がる巧みな展開から目が離せませんでした。そして、他人の人生を送るなかで生まれるイジェの様々な感情、「生きること」を考えさせるセリフの数々、エンディングの歌まで、ソ・イングクが魅せてくれるので、最後のシーンまで見逃しNG作品です。
ほかにAmazonプライムビデオで良かった作品は、『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』。ロマコメが似合うユ・インナの良さが出た作品でした。恥ずかしい失敗も、失恋から克服できない姿も、生々しいけど愛らしい。彼女は恋愛本を執筆しながら、自分自身を振り返っていくわけですが、一緒にリハビリしていく気分でした。ユ・インナの元カレ役のチャンソン(2PM)もいい味だしてましたよ。浮気男なんでちょっとムカつくキャラですが(笑)。愛に傷ついているのは自分だけじゃない、相手の痛みや傷にも気付くことができるようになる、そんな作品でした。
『私の彼はキューピッド』は、韓国国内では未配信で、Amazonプライムビデオで世界初配信されたという珍しい作品です。新作の制作競争が熾烈なので、今後こういう配信形態をとる韓ドラが増えてくるかもしれません。
主演のチャン・ドンユンは『オアシス』にはじまり『今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~』、『砂の上にも花は咲く』と、2023年かなり働きものでしたね。この作品では縁結びのキューピッド役。生まれ変わりとの運命的な愛を描く定番のファンタジーロマンスで、カトリックの「7つの大罪」をモチーフにしたサスペンスも盛り込まれています。全体的にライトなので、気軽に楽しめる「愛する勇気」の物語でした。昨年は重たい作品が多かったので、最後になんだかほっとしました。あの童顔に天使の羽も似合っていましたよ。
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