■ Amazon プライム・ビデオ編 ■
最初に言っておくと、私、プライム会員ではないので配信作品ほとんど視聴できてないんですよ……。だけど『誘拐の日』は韓国でめちゃ評判良かったので気になっていました。放送中はずっと配信作品ランキングの上位に入っていたんですよ。下のイメージポスターだけ見ると、サスペンスものかな? と思ってましたが。
ポスターを見ても、どんな作品かちょっと想像つかないですよね。天才少女と間抜けな誘拐犯の異色バディによる逃亡&真相追及劇です。ユン・ゲサンが元妻に言われてしぶしぶロヒを誘拐するんですけど、当の誘拐相手は記憶を失ってるわ、生意気だわ、天才だわで、振り回されまくるんですが、その凸凹コンビぶりが絶妙なんですよ!
ユン・ゲサンはお人よしキャラ、ハマってそうですね(笑)。賢い少女と不器用なおじさんのバディものというと、映画の『レオン』を思い出しました。
確かに! でもこちらは『レオン』よりもっとコミカルですね。超絶生意気な女王様キャラのロヒに翻弄されながらも甲斐甲斐しくお世話するユン・ゲサンがいいんですよ。ダメ男だけどいい父親で、愛すべき人。最後まで彼女のために奮闘する姿を見てほしいですね。ロヒを演じているのはユナという新人で、Apple TVの『パチンコ』で注目された子なんですが、私はすっかりロヒロスになりました。物語もメリハリがあって最後まで目が離せないと思います。
私はドラマを観るとき、舞台出身俳優をチェックするのが習慣化してるんですが(笑)。この作品、助演俳優はほとんど舞台出身ですね。パク・ソンフンやキム・シンロクは近年、いろんなドラマに出てますが、どんな役を演じても記憶に残っているのが凄い。ほかにもカン・ヨンソク、キム・ドンウォン、チョン・スンウォンなど小劇場時代から舞台を見てきた演技の上手い役者が揃ってるので、今度しっかり見てみようと思います!
『ペイバック~金と権力~』は奇しくも、この作品がイ・ソンギュン最後のドラマ出演作になってしまいましたね……。映画『悪人伝』のイ・ウォンテ監督と、『女王の教室』、『マン・ツー・マン ~君だけのボディーガード~』のキム・ウォンソク脚本家のタッグということで、サスペンス、追跡ものが上手い制作陣が揃ってます。
金の力で結託する権力者たちに対して危険な勝負を挑む人たちの物語です。イ・ソンギュンが演じるのは、闇金あがりの金商人。彼が母と慕う人への弔い合戦として、財界のフィクサーや検察権力に「お金」を餌に頭脳戦を仕掛けていくんです。飄々とふるまいつつも揺るがない心をもつ反骨キャラクターがすごく似合っていました。
主人公のウン・ヨン(은용)は今は投資家なんですよね? 発音似てるんで、名前は「運用(운용/ウンヨン)」とかけているのかなぁ? と思いました(笑)。
イ・ソンギュンは俳優としての評価を上げた作品のひとつが『最後まで行く』という映画でしたが、どん底まで追い込まれたところから逆襲していく面白さがこのドラマにもありそうですね。そしてそういう役がイ・ソンギュンはホントに上手い。
この作品でも一度は負けた身なんですが、家族のような仲間とともに復讐という名の正義を果たす姿が痛快だし、カッコよかったです。そうそう、妹のような存在をムン・チェウォンが演じているのですが、徹底して「家族」として描いていて、変にロマンスに発展しないところもよかったです。敵である悪徳検事側の家族との対比も興味深かったですよ。
昨年末に配信開始されて大きな話題を呼んだのが『もうすぐ死にます』でしたね。
これまた人気ウェブトゥーン原作。ソ・イングク、パク・ソダムを筆頭に、近年の韓ドラで注目を浴びた俳優が多数出演しているので、もう俳優の顔ぶれを見るだけでも十分楽しい気がします(笑)。
本当に豪華キャストでした。ソ・イングク演じる主人公イジェが、自死した罰として12回、別の人の人生を歩む。なので、イジェの心をもつ人物をそれぞれ別の俳優が演じるわけなんですが、彼らからイジェ、つまりソ・イングクの姿がだぶって見えてくるんですよ。なかでも特にイ・ジェウクが素晴らしかったです。
ソ・イングクはハードなアクションの多くを自分でこなしたそうですね。ほかにも、チャン・スンジョは大型免許を取って初めてオートバイアクションに挑戦したと言っていたし、ソンフンは命がけのスカイダイビングをやったと制作発表会で言っていました。VFXと組み合わせたアクションシーンも見どころですね。
年明けに公開された後半(パート2)では、キム・ジフンとキム・ジェウクの2大悪役対決のインパクトに驚かされますが、すべてのキャラクターが繋がる巧みな展開から目が離せませんでした。そして、他人の人生を送るなかで生まれるイジェの様々な感情、「生きること」を考えさせるセリフの数々、エンディングの歌まで、ソ・イングクが魅せてくれるので、最後まで見逃しNG作品です。
新年早々からバズっていたのが『私の夫と結婚して』でしたね。最近タイムリープもの、ホントに多いですが、過去に戻って人生やり直す物語っていうのは一定のニーズがあるんでしょうね。このドラマはNAVERのウェブ小説原作で、ウェブトゥーン版は日本のLINEマンガでも公開されています。
設定だけみると、このあとU-NEXTのページで紹介している『完璧な結婚のお手本』とそっくりなんですけれど、さすがスタジオドラゴンというか、パク・ミニョン作品というか、めちゃくちゃお洒落に軽快に描かれています。リセット人生が始まってから、ヒロインが堂々と生きる姿が良かったです。それと、一度目の同じ事件が起きることが分かったとき、事件そのものをなくすことはできないけれど、うまく避ければ、その運命を他人が引き受けることになるという設定もなるほどな、と思いました。
このドラマを観て、みんな”ブジャンニム(部長様)”こと、ナ・イヌに持っていかれたと思うんですけど、劇中シリアスな顔してる彼がどうもピンとこなくって(笑)。これまでバラエティ番組で天然キャラを披露しまくってましたから。下に貼った「ラジオスター」のトークが最高に笑えるんですが、SM→JYP→CUBEと大手事務所を渡り歩いてアイドルになり損ねた人だったんですね。しかもデビュー作は『僕らのイケメン青果店』というミュージカルだった! 私、完全スルーしてました(笑)
不幸のどん底ヒロインと彼女のリセット人生を応援する騎士(ナイト)、っていう関係性は、以前は日日(イルイル)ドラマや週末ドラマでよくあったパターンでしたよね。
昔は50話や100話で週末ドラマなどの台本を書いていた脚本家が『結婚作詞 離婚作曲』や『ペントハウス』、『再婚ゲーム』など、短い話数のドラマを書くようになってきた。それが世界配信されて、韓国式の”愛憎復讐劇”が海外でも十分通用することが分かってきたんでしょうね。このドラマは逆にミニシリーズを書いてきた脚本家が愛憎復讐劇の手法を取り入れると、ここまでポップになるのか! という発見でもあり、その完成系といえるのかも? と思えるくらいの衝撃でした。
それと、オフィスのシーンではヒロインがパワハラ上司をやりこめる描写が近年必須になっています。韓国で通勤時間帯に地下鉄やバスに乗ると、スマホでドラマを見てる人多いんですよ。だから職場でのストレスを発散できるようなシーンを盛り込むと、幅広い層が共感できるので視聴率にも反映されるのかな? と。
下に貼ったパワハラ課長を演じたキム・ジュンヒは『ムービング』、『ボイス4~112の奇跡~』、『ミスター・サンシャイン』など作品ごとに全く違った顔を見せていると話題になっていました。
そういえば、ネタバレになりますけど、6話でパク・ミニョンとナ・イヌが、互いに10年後からタイムリープしてたことに気づくシーンがあるんです。そのきっかけがBTSの曲の話で、絶妙なタイミングで「ダイナマイト」がBGMとしてかかってくるんですよ。曲の使い方がすごく上手かったので噂を聞いたARMYはみんなドラマをチェックしに行ったはず(笑)。実際、7話以降視聴率が上がってたので、BTSの力は偉大ですよ(笑)
ほかにAmazon プライム・ビデオで良かった作品は、『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』。ロマコメが似合うユ・インナの良さが出た作品でした。恥ずかしい失敗も、失恋から克服できない姿も、生々しいけど愛らしい。彼女は恋愛本を執筆しながら、自分自身を振り返っていくわけですが、一緒にリハビリしていく気分でした。ユ・インナの元カレ役のチャンソン(2PM)もいい味だしてましたよ。浮気男なんでもちろんムカつきますが(笑)、一方で、恋愛と結婚の違いを語るセリフも態度もリアルで、なんか憎めませんでした。愛に傷ついているのは自分だけじゃない、相手の痛みや傷にも気付くことができるようになる、そんな作品でした。
『私の彼はキューピッド』に主演したチャン・ドンユンは2023年かなり働きものでしたね。『オアシス』にはじまり『今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~』『砂の上にも花は咲く』……。いろんなジャンルで活躍していますが、この作品は生まれ変わりとの運命的な愛を描く定番のファンタジーロマンス。カトリックの「7つの大罪」をモチーフにしたサスペンスも盛り込まれていますが、全体的にライトなので、気軽に楽しめる“愛する勇気”の物語でしたね。重たい作品が多い年だったので、最後になんだかほっとしました。あの童顔に天使の羽も似合っていました。
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