韓ドラ温故知新 第2回 「2023‐24配信韓ドラチェック」③Amazon プライム・ビデオ編

④Amazon プライム・ビデオ編

『誘拐の日』
白血病の娘のため手術費用を工面したい父ミョンジュン。元妻にけしかけられ、資産家の娘ロヒの誘拐に向かうが、車の前に突然飛び出し、倒れた少女がまさにロヒだった。ミョンジュンは記憶を失っていたロヒに自分の娘ヒエだと偽るが……。ユン・ゲサン、ユナ、キム・シンロク、パク・ソンフン出演。
さいき
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最初に言っておくと、私、プライム会員ではないので配信作品ほとんど視聴できてないんですよ……。だけど『誘拐の日』は韓国でめちゃ評判良かったので気になっていました。放送中はずっと配信作品ランキングの上位に入っていたんですよ。下のイメージポスターだけ見ると、サスペンスものかな? と思ってましたが。

杉本
杉本

ポスターを見ても、どんな作品かちょっと想像つかないですよね。天才少女と間抜けな誘拐犯の異色バディによる逃亡&真相追及劇です。ユン・ゲサンが元妻にいわれてしぶしぶロヒを誘拐するんですけど、当の誘拐相手は記憶を失ってるわ、生意気だわ、天才だわで、振り回されまくるんですが、その凸凹コンビぶりが絶妙で! 笑いあり恐怖あり、ほっこりありの良作です。

さいき
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ユン・ゲサンはお人よしキャラ、ハマってそうですね(笑)。賢い少女と不器用なおじさんのバディものというと、映画の『レオン』を思い出しました。

杉本
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確かに! でも『レオン』はハードボイルドなイメージだけど、こちらはもっとコミカルですね。超絶生意気な女王様キャラのロヒに翻弄されながらも甲斐甲斐しくお世話するユン・ゲサンがいいんですよ。ダメ男だけどいい父親で、愛すべき人。最後まで彼女のために奮闘する姿を見てほしいですね。ロヒを演じているのはユナという新人で、Apple TVの『パチンコ』で注目された子なんですが、私はすっかりロヒロスになりました。キム・シンロクを筆頭にそのほかの役者も曲者揃いですし、物語もメリハリがある! 最後まで目が離せないと思います。

『誘拐の日』ロヒ役オーディションでは500人の候補のなかから選ばれたという天才子役ユナの名場面集
さいき
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私はドラマを観るとき、舞台出身俳優をチェックするのが習慣化してるんですが(笑)。この作品、助演俳優はほとんど舞台出身ですね。パク・ソンフンやキム・シンロクは近年、もう多作すぎるくらいいろんなドラマに出てるけど、どんな役を演じても記憶に残っているのが凄い。ほかにもカン・ヨンソク、キム・ドンウォン、チョン・スンウォンなど小劇場時代から舞台を見てきた演技の上手い役者が揃ってるので、今度しっかり見てみようと思います!

『ペイバック~金と権力~』
巨大資本の保有者だが、表の仕事はファンドマネージャーに任せ、現在はモンゴルの草原で悠々自適な暮らしを送るウン・ヨン。かつての恩人の娘ジュンギョンらの現状を知り、帰国して巨悪との闘いに挑む。イ・ソンギュン、ムン・チェウォン、カン・ユソク、パク・フン出演。
さいき
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『ペイバック~金と権力~』は奇しくも、この作品がイ・ソンギュン最後のドラマ出演作になってしまいましたね……。映画『悪人伝』のイ・ウォンテ監督と、『女王の教室』『マン・ツー・マン ~君だけのボディーガード~』のキム・ウォンソク脚本家のタッグということで、サスペンス、追跡ものが上手い制作陣が揃ってます。

イ・ソンギュン、ムン・チェウォン、カン・ユソク、パク・フンによる『ペイバック』ビハインドトーク
杉本
杉本

金の力で結託する権力者たちに対して危険な勝負を挑む人たちの物語です。イ・ソンギュンが演じるのは、闇金あがりの金商人。彼が母と慕う人への弔い合戦として、財界のフィクサーや検察権力に「お金」を餌に頭脳戦を仕掛けていくんです。飄々とふるまいつつも揺るがない心をもつ反骨キャラクターがすごく似合っていました。

さいき
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主人公のウン・ヨン(은용)は今は投資家なんですよね? 発音似てるんで、名前は「運用(운용/ウンヨン)」とかけているのかなぁ? と思いました(笑)。
イ・ソンギュンは近年俳優としての評価を上げた作品のひとつが『最後まで行く』という映画でしたが、どん底まで追い込まれたところから逆襲していく面白さがこのドラマにもありそうですね。そしてそういう役がイ・ソンギュンはホントに上手い。

杉本
杉本

この作品でも一度は負けた身なんですが、家族のような仲間とともに復讐という名の正義を果たす姿が痛快だし、カッコよかったです。そうそう、妹のような存在をムン・チェウォンが演じているのですが、徹底して「家族」として描いていて、変にロマンスに発展しないところもよかったですね。敵である悪徳検事側の家族との対比も興味深かったですよ。

『もうすぐ死にます』
7年間就職浪人を続け、恋人にも振られ自暴自棄となったチェ・イジェは死を決意しビルから飛び降りる。だが、彼の前に“死”が現れ、死を軽んじた罰として12人の生死の体験を命じられてしまう。ソ・イングク、パク・ソダム、キム・ジフン、イ・ドヒョン出演。
さいき
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昨年末に配信開始されて大きな話題を呼んだのが『もうすぐ死にます』でしたね。
これまた人気ウェブトゥーン原作。ソ・イングク、パク・ソダムを筆頭に、近年の韓ドラで注目を浴びた俳優が多数出演しているので、もう俳優の顔ぶれを見るだけでも十分楽しい気がします(笑)。

『もうすぐ死にます』
(原作漫画はNAVERウェブトゥーンで7話まで無料で読める)
杉本
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本当に豪華キャストでした。ソ・イングク演じる主人公イジェが、自死した罰として12回、別の人の人生を歩む。なので、イジェの心をもつ人物をそれぞれ別の俳優が演じるわけなんですが、彼らからイジェ、つまりソ・イングクの姿がだぶって見えてくるんですよ。なかでも特にイ・ジェウクが素晴らしかったです。

12名の豪華キャストが一堂に会した『もうすぐ死にます』制作発表会映像
さいき
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ソ・イングクはハードなアクションの多くを自分でこなしたそうですね。ほかにも、チャン・スンジョは大型免許を取って初めてオートバイアクションに挑戦したと言っていたし、ソンフンは命がけのスカイダイビングをやったと制作発表会で言っていました。VFXと組み合わせたアクションシーンも見どころですね。

ソ・イングクの公式YouTubeチャンネルにゲスト出演したキム・ジフンとキム・ジェウク。2人は同時期に兵役に就き、合宿も経験した10年来の親しい仲だそう。
杉本
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年明けに公開された後半(パート2)では、キム・ジフンとキム・ジェウクの2大悪役対決のインパクトに驚かされますが、すべてのキャラクターが繋がる巧みな展開から目が離せませんでした。そして、他人の人生を送るなかで生まれるイジェの様々な感情、「生きること」を考えさせるセリフの数々、エンディングの歌まで、ソ・イングクが魅せてくれるので、最後まで見逃しNG作品です。

『私の夫と結婚して』
末期がんで闘病中だったカン・ジウォンは夫と親友の不倫現場に遭遇し、2人によって命まで奪われてしまう。気が付くと10年前、2013年に戻っていたジウォンは人生をやり直すことを決意する。パク・ミニョン、ナ・イヌ、イ・イギョン、ソン・ハユン出演。
さいき
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いま韓ドラと言えばこの作品、というくらいに新年早々からバズっていたのが『私の夫と結婚して』ですね。最近タイムリープもの、ホントに多いですが、過去に戻って人生やり直す物語っていうのは一定のニーズがあるんでしょうね。このドラマはNAVERのウェブ小説原作で、ウェブトゥーン版は日本のLINEマンガでも公開されています。

『私の夫と結婚して』原作ウェブ小説のコンセプト映像。ドラマ序盤のカン・ジウォンのルックスはかなり忠実に再現されているのが分かる。
杉本
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設定だけみると、このあとU-NEXTのページで紹介している『完璧な結婚のお手本』とそっくりなんですけれど、さすがスタジオドラゴンというか、パク・ミニョン作品というか、めちゃくちゃお洒落に軽快に描かれていますよね。リセット人生が始まってから、ヒロインが堂々と生きる姿が良かったです。それと、一度目の同じ事件が起きることが分かったとき、事件そのものをなくすことはできないけれど、うまく避ければ、その運命を他人が引き受けることになるという設定もなるほどなと。思いました。

さいき
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このドラマを観てる人はみんな”ブジャンニム(部長様)”こと、ナ・イヌに持っていかれてると思うんですけど、笑顔を封印してシリアスな顔してる彼がどうもピンとこなくって(笑)。これまで「1泊2日」とかバラエティ番組で天然キャラを披露しまくってましたから。だからいまナ・イヌの過去映像をまとめた動画がYouTubeに次々とUPされてるんですよ。下に貼った「ラジオスター」のトークが最高に笑えるんですが、SM→JYP→CUBEと大手事務所を渡り歩いてアイドルになり損ねた人だったんですね。しかもデビュー作は『僕らのイケメン青果店』というミュージカルだった! 私、完全スルーしてました(笑)

MBCのトークバラエティ「ラジオスター」ナ・イヌとイ・イギョンの各出演時のダイジェスト映像。KBSの長寿バラエティ番組「1泊2日」のナ・イヌ魅力集も要チェックを。
杉本
杉本

初期には本名のナ・ジョンチャンという名前で活動してましたからね。私はその時代に長編ドラマに出ていたころから見ていたので、こんなにミニシリーズで活躍するようになるなんて、なんだか感慨深いです。
ところで、ナ・イヌが演じているユ・ジヒョク部長って、かつてのミニシリーズでは二番手男子の役割じゃないですか。『美男ですね』におけるシヌ(ジョン・ヨンファ)、『花より男子』におけるジフ(キム・ヒョンジュン)みたいに、先回りしてヒロインを支えてる。それが一番手になって、彼女の自立を手伝うスタイルが最近のトレンドだなって思います。

さいき
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不幸のどん底ヒロインと彼女のリセット人生を応援する騎士(ナイト)、っていう関係性は、以前は日日(イルイル)ドラマや週末ドラマでよくあったパターンでしたよね。

杉本
杉本

昔は50話や100話で週末ドラマなどの台本を書いていた脚本家が『結婚作詞 離婚作曲』『ペントハウス』『再婚ゲーム』など、短い話数のドラマを書くようになってきた。それが世界配信されたりして、韓国式の”愛憎復讐劇”が海外でも十分通用することが分かってきたんでしょうね。このドラマを観ながら、逆にミニシリーズを書いてきた脚本家が愛憎復讐劇の手法を取り入れると、ここまでポップになるのか! という発見でもありました。『私の夫と結婚して』は、その完成系といえるのかも? と思えるくらいの衝撃を感じました。

さいき
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それと、オフィスのシーンではヒロインがパワハラ上司をやりこめる描写が近年は必須になってますね。ソウルで通勤時間帯に地下鉄やバスに乗ると、多くの人がスマホでドラマを見てるので、中心視聴者層はここらへんなんだなっていつも思ってて。職場でのストレスを発散できるようなシーンを盛り込むと、幅広い層が共感できるので視聴率が取れるんでしょうね。
パワハラ上司キム課長を演じたキム・ジュンヒは『ムービング』『ボイス4~112の奇跡~』『ミスター・サンシャイン』など作品ごとに全く違った顔を見せるカメレオン俳優だそうです。

杉本
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そういえば、ネタバレになりますけど、6話でパク・ミニョンとナ・イヌが、互いに10年後からタイムリープしてたことに気づくシーンがあるんです。そのきっかけがBTSの曲の話で、絶妙なタイミングで「ダイナマイト」がBGMとしてかかってくるんですよ。曲の使い方がすごく上手かったので噂を聞いたARMYはみんなドラマをチェックしに行ったはず(笑)。実際、7話以降視聴率が上がってたので、BTSの力は偉大ですよ(笑)

CUBE公式YouTubeチャンネルで公開された『私の夫と結婚して』ナ・イヌ最終回撮影ビハインドとメッセージ
『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』
「恋愛には戦略が必要」と謳う人気恋愛コラムニストのデボラ。彼女の新刊を「恋愛には真心ありき」と考える出版企画者のイ・スヒョクが担当することになり、それぞれの恋愛観に変化が生じ始める。ユ・インナ、ユン・ヒョンミン、チュ・サンウク、ファン・チャンソン出演。
杉本
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ほかにAmazon プライム・ビデオで良かった作品は、『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』。ロマコメが似合うユ・インナの良さが出た作品でした。恥ずかしい失敗も、失恋から克服できない姿も、生々しいけど愛らしい。彼女は恋愛本を執筆しながら、自分自身を振り返っていくわけですが、一緒にリハビリしていく気分でした。ユ・インナの元カレ役のチャンソン(2PM)もいい味だしてましたよ。浮気男なんでもちろんムカつきますが(笑)、一方で、恋愛と結婚の違いを語るセリフも態度もリアルで、なんか憎めませんでした。愛に傷ついているのは自分だけじゃない、相手の痛みや傷にも気付くことができるようになる、そんな作品でした。

『私の彼はキューピッド』
ワケあって人間界に降臨し、長年縁結びに貢献してきたキューピッドのサンヒョク。ある日、類まれな美貌をもつが、恋愛では不運続きのペクリョンと知り合い、“運命の人”に出会ったと信じる彼女にアプローチされてしまう。チャン・ドンユン、ナナ、パク・ギウン出演。
杉本
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『私の彼はキューピッド』に主演したチャン・ドンユンは2023年かなり働きものでしたね。『オアシス』にはじまり『今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~』『砂の上にも花は咲く』……。いろんなジャンルで活躍していますが、この作品は生まれ変わりとの運命的な愛を描く定番のファンタジーロマンス。カトリックの「7つの大罪」をモチーフにしたサスペンスも盛り込まれていますが、全体的にライトなので、気軽に楽しめる“愛する勇気”の物語でしたね。重たい作品が多い年だったので、最後になんだかほっとしました。あの童顔に天使の羽も似合っていました。


⇒2023年のU-NEXT作品は?