韓ドラ温故知新 第2回 「2023-24配信韓ドラチェック」②Lemino&WATCHA編

②Lemino編

『財閥家の末息子~Reborn Rich~』
貧しい出自ながら巨大財閥企業に献身して地位を固めつつあった男が、不慮の死を経て80年代財閥家の末孫に転生。自身を陥れた一族をじりじりと追い詰めていく。ソン・ジュンギ、イ・ソンミン、シン・ヒョンビン、ユン・ジェムン、チョ・ハンチョル、キム・ナムヒ、キム・シンロク出演。
さいき
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昨年のマイベストドラマは『財閥家の末息子』。このドラマ韓国放映は2022年末だったのですが、日本では4月のLeminoサービス開始に合わせて配信されました。ですが、2023年を通して日本で配信開始された作品をいろいろ見ても、自分的にはこれを超えるものはなかったです。

杉本
杉本

ソン・ジュンギ、イ・ソンミン共に、出演作を必ずヒットさせる不敗神話を見事更新しましたよね。

『財閥家の末息子』
(原作漫画はNAVERウェブトゥーンで70話まで無料公開中)
さいき
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主人公ユン・ヒョヌが、死後転生して1987年の財閥スニャングループ一族の末孫チン・ドジュンになるんですが、ソン・ジュンギは高校生や大学生を演じても何の違和感もないのが凄かった。今年38歳、驚異のアラフォーですよ(笑)。現代と35年前を無理なく演じられたのは究極の童顔ソン・ジュンギだからでしょう。

ソン・ジュンギ、イ・ソンミン、シン・ヒョンビンによる『財閥家の末息子』1、2話コメンタリー映像
杉本
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1987年以降、韓国で起こった政治、経済史を実写映像を交えてドラマの中に盛り込んであるのが面白かったです。昔、チャ・インピョやチョン・グァンリョルの出演で、漢江の奇跡を描いていた『英雄時代』(2004年MBC)ってドラマありましたよね? この作品も実録タッチの物語なんですが、モデルとなった財閥といい、描く時代といい、『英雄時代』の続きの世界が描かれるような感じがして個人的にワクワクしました。

『英雄時代』(2004-05MBC)“漢江の奇跡”と呼ばれる近代韓国経済史を描いた歴史ドラマ。財閥、現代グループの創業者をモデルにした主人公チョン・テサンをチャ・インピョら世代別に3人の俳優が演じた。YouTubeで「영웅시대」と検索すると全70話の公式動画が視聴できる。TSUTAYAでは日本語字幕付きDVDがレンタル可
さいき
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そう! まさに私も『英雄時代』を思い出しながら見てましたよ(笑)。いま改めて見比べてみたら面白いかもしれないですね。1988年のソウルオリンピック、1997年のIMF危機、2001年の9.11アメリカ同時多発テロなど、近代史の節目的な出来事も絶妙にストーリーに絡めてある。ソン・ジュンギとシン・ヒョンビンのロマンスの鍵となるのが、ソ・テジのカムバックだったというのも面白かった。

杉本
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さすがは文化大統領(笑)。韓国でソ・テジのカムバックは歴史的事件と並ぶくらい重要な出来事だったってことなんでしょうね。

ソ・テジ関連シーンをまとめたメイキング映像。チン・ドジュンの兄ヒョンジュン役のカン・ギドゥンが劇中でソ・テジの真似をするコミカルなシーンが話題になった
さいき
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ドラマのオープニングでは毎回「実在の人物とは関係ありません」的なクレジットが出るんですけど、スニャン一族はサムスン家をベースに、現代とか実在する財閥家のエピソードを色々混ぜてストーリーに盛り込んである。だから韓国の人たちは暗に「あの家の話だな」と皆分かって見ていたわけです。唯一未来で起きる出来事を知っているソン・ジュンギが、財閥家の横暴をかわしつつも着実にのし上がっていくので、サイダードラマ的な痛快さもあったと思います。

杉本
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イ・ソンミンは百想芸術大賞で最優秀演技賞を受賞してましたが、一代で財閥を築き上げたチン・ヤンチョル会長のカリスマ性と、その後の老いていく姿まで演じきっていたのがさすがでした。会長の子息役も、ユン・ジェムンとかキム・シンロクとか演技派な方々がいっぱい出てたし。曲者揃いでしたね。

さいき
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ソン・ジュンギのライバルとなる長孫ソンジュン役のキム・ナムヒが大人気になって、MBCのトークバラエティ「ラジオスター」に出て話題になったりもしてました
とにかく今回改めて思ったのは、『英雄時代』とか『ジャイアント』(2010年SBS)とか、これまでも韓国の高度成長期を舞台にした作品ありましたけど、この時代自体がすごくドラマチックなんですよね。久々にダイナミックな見ごたえある作品を見た、という感じでした。

財閥家の一人娘チン・ファヨン(キム・シンロク)とその夫チェ・チャンジェ(キム・ドヒョン)カップルのQ&A映像
ソン・ジュンギと後継者争いを繰り広げる財閥家の長孫チン・ソンジュン(キム・ナムヒ)とその妻モ・ヒョンミン(パク・ジヒョン)カップルのQ&A映像
『パク・ハギョンの旅行記』
「消えてしまいたいときに出かけるたった1日の旅」というコンセプトで、日常から逃げ出すように毎週地方へ向かうヒロイン、ハギョンの旅路や出会いを温かく描く。イ・ナヨン、ハン・イェリ、ク・ギョファン、チョ・ヒョンチョルや、シム・ウンギョン出演。
さいき
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実は『財閥家の末息子』と並ぶくらい、昨年イチオシしたかったドラマが『パク・ハギョンの旅行記』でした。ソウル在住の高校教師が、週末ごとに地方へ一人旅に出かけるんですけど、海南(ヘナム)から始まって、釜山とか済州島とか毎話違う地方都市が舞台になってるんです。その土地の名物を食べたり、観光地を訪れたりするので見ていると自分も地方旅に行きたくなってくる(笑)。なんでも、制作陣は日本の『孤独のグルメ』を参考にしたらしいです。確かに、イ・ナヨンは劇中でいつもホンパプ(혼밥=一人ごはん)やってます(笑)。

『パク・ハギョンの旅行記』イ・ナヨンのモクパン集
杉本
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イ・ナヨンもドラマ出演は4年ぶり、と何気にひさびさの主演作ですよね。それに『D.P.』のク・ギョファンチョ・ヒョンチョルや、シム・ウンギョンハン・イェリ……と1話ごとに登場するゲスト俳優の顔ぶれが魅力的!

イ・ナヨン『パク・ハギョンの旅行記』「初見でやりたいと思った作品」(JTBCニュースルーム インタビュー映像)
さいき
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1話には韓国でカリスマ的な人気を誇るシンガー、ソヌ・ジョンアが出てきたりと、毎話ゲストスターが個性的で、みな一癖あるキャラクターで登場するのが面白いんですよ。全体的にほんわかとした温かい雰囲気がありながら、妙齢独身女性の生きづらさ、みたいなシビアな部分も盛り込んであるので、特に女性は共感する部分がたくさんあると思います。
私はLeminoの回し者ではないですが(笑)、いま5話まで無料解放してあるので、これはぜひ見ておいてほしいですね。

『パク・ハギョンの旅行記』劇中歌「光 Light」のミュージックビデオ。歌っているのは『こうなった以上、青瓦台に行く』『ムービング』などに出演していたペク・ヒョンジン
『輝くウォーターメロン~僕らをつなぐ恋うた~』
幼い頃から聴覚障がい者の両親と兄を支えてきたウンギョル。学校でいじめられた彼を助けた楽器店の老店主にギターを習い才能を見出される。6年後、高校生になり親に内緒で路上ライブを続けていたのがバレてギターを諦めようとしていたが……。リョウン、チェ・ヒョヌク、ソル・イナ出演。
杉本
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私は『輝くウォーターメロン~僕らをつなぐ恋うた~』を楽しく見ました。『コッソンビ熱愛史』のリョウンと『弱いヒーロー Class1』『D.P.』シーズン2のチェ・ヒョヌクというライジングスター2人が共演してるのがいいですね。

さいき
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脚本は『太陽を抱く月』『キルミー・ヒールミー』のチン・スワンですが、彼女は元々KBSの『学校』シリーズという青少年ドラマで名を挙げた人なので、こういう青春ものが上手いんですね。私はこの作品で聴覚障害の両親をもつ子供のことをCODA(コーダ)と呼ぶというのを知りましたが、幼い頃から両親を支えて頑張ってきた主人公ウンギョルが、ギターの才能に目覚めて自分を解放していくところにグッときました。

杉本
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ウンギョルが突然1995年にタイムスリップして、当時高校生だった父と出会う。いってみれば映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』みたいな展開なんですけれど、真面目一辺倒の現在の姿とは違う、ヤンチャな同級生だった父親とバンドを組むことになる、恋のライバルにもなっちゃう、爽やかな青春ドラマとしても楽しめましたよね。

ファッション誌「ELLE KOREA」のケミ工作所インタビュー。リョウン(INFP)とチェ・ヒョヌク(ENFP)は対照的な性格ながら抜群の”ケミ=相性”を見せている
さいき
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リョウン25歳、チェ・ヒョヌク22歳。いま彼ら世代の新人が次々と登場していますが、そのなかでも2人は一歩抜け出している感があるので、今後もっと活躍しそうですよね。

『復讐代行人2〜模範タクシー』
チーム解散後もチャン社長の下に残り、一般タクシーの運転手となっていたキム・ドギ。ある事件の被害者を知り、社長と2人で調査を始めていたが、その動きを嗅ぎ付けたゴウン、エンジニア2人も復帰し、フルメンバーで復讐代行業を本格再始動する。イ・ジェフン、キム・ウィソン、ピョ・イェジン、シン・ジェハ出演。
さいき
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『復讐代行人〜模範タクシー』は、シーズン1を見たときに、まず思い出したのが80年代のアメリカドラマ『ナイトライダー』で。イ・ジェフンが乗っているちょっとアナログ感ある内部スペック満載の模範タクシーが、『ナイトライダー』で人工知能を搭載した”ナイト2000”っていうスーパーカーぽいんですよ。タクシーが疾走するシーンのBGMも『ナイトライダー』風(笑)。なので、『ナイトライダー』ファンには『模範タクシー』シリーズをぜひ見てほしいし、その逆も、ですね。ちなみに韓国で『ナイトライダー』は『電撃Z作戦(전격Z작전)』というタイトルだそうで、ちょっと衝撃を受けました(笑)。※注:『ナイトライダー』はHuluで見放題配信中

杉本
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秘密基地の地下に格納されている模範タクシーが出動するシーンは『サンダーバード』みたいですもんね(笑)。脚本家さん、米ドラママニアかな?(笑)

イ・ジェフン、キム・ウィソン、ピョ・イェジン、チャン・ヒョクジン、ぺ・ユラム「ムジゲ運輸」5人衆による『~模範タクシー』2 1~4話コメンタリー映像
さいき
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米ドラマテイスト+『必殺仕事人』シリーズみたいに、チームで社会的弱者の無念を晴らすという、みんな大好き勧善懲悪ストーリーが好評を受けてのシーズン2です。昨年末SBS演技大賞をイ・ジェフンが『悪鬼』のキム・テリと共同受賞してましたね。2023年の金土ドラマ(SBS、MBC)作品の中でもダントツの視聴率でした。

杉本
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シーズン1よりトーンが明るく痛快度が増したのも好調の理由かも。アクションもかっこいいんですけど、事件ごとに変装するイ・ジェフンが見事で! 主人公のドギは陸軍特殊部隊出身の凄腕なんですが、もともとは役者志望だったというキャラ設定が本当に効いてると思います。まさに「当たり役」ですよね。

ユ・ジェソク&チョ・セホMCのトークバラエティ「ユ・クイズ ON THE BLOCK」にイ・ジェフンがゲスト出演。『~模範タクシー』シリーズの撮影秘話を明かしています
さいき
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イ・ジェフンって、これまでどちらかというとシリアスなキャラクターを多く演じてきた人なので、ここまでコミカルな演技が上手いとは思ってませんでした。本人もすごく楽しんで演じてるのが伝わってくる。それに、上に貼った「ユ・クイズ~」のインタビューで「実際に被害に遭われた方に恥ずかしくない作品にしようと思った」と言ってるんですが、そういう彼のスタンスがシリーズの人気にもつながっていると思います。

杉本
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演出のパク・ジョンウ監督はドキュメンタリー出身。実在する事件をモチーフにしているからこそ、単純な娯楽として軽く扱うことはしないと決めていたとか。バランスが見事でしたね。シーズン2ではゲストスター的に『イルタ・スキャンダル~恋は特訓コースで~』で注目されていたシン・ジェハが出ていて良いアクセントになっていましたよね。既にシーズン3制作も決まっているので、次はどんな俳優が客演するのかも楽しみです。

『運の悪い日』
幸運の前触れと言われている豚の夢を見た、タクシー運転手のオ・テク。次々と幸運な出来事が続いた日の最後に、長距離運転を高価で依頼する男性客を乗せ、木浦に向かうことになるが……。イ・ソンミン、ユ・ヨンソク、イ・ジョンウン出演。
さいき
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Leminoではほかに、こちらもタクシーがらみの作品なんですが、昨年日韓同時配信された『運の悪い日』はイ・ソンミン、ユ・ヨンソク、イ・ジョンウン、と名優が揃ったスリラー。お人よしなタクシー運転手が、謎めいた男を客として乗せたばっかりに最悪な状況に巻き込まれていくんですが、普段は温厚ないい人イメージが定番のユ・ヨンソクが血も涙もないシリアルキラーを演じているのがとても新鮮です。

『運の悪い日』イ・ソンミン&ユ・ヨンソクがゲスト出演したコメディアンのチャン・ドヨンMCのトークプログラム「サロン・ドリーム」。イ・ソンミンが初めての海外旅行で日本に行った裏話も。
『奇跡の兄弟』
小説家志望のドンジュと謎多き青年カンサン。交通事故を機に人生が一変し、兄弟のような縁を結んだ2人が、27年前に起きた殺人事件の真実を解き明かすことになる。チョンウ、ぺ・ソンヒョン、パク・ユリム、オ・マンソク、イ・ギウ出演。
さいき
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『奇跡の兄弟』『復活』『魔王』『サメ~愛の黙示録』『記憶~愛する人へ~』のパク・チャンホン監督&キム・ジウ脚本家コンビの最新作です。私は以前からこの制作コンビのファンなんですが、脚本家さん独特の詩的な表現や緻密なストーリー展開は本作でも堪能できます。そして、監督さんが演技の上手い俳優がお好きなので以前から舞台出身俳優を積極的に起用するんです。この作品でもオ・マンソク、カン・マルグムをはじめ、演技派俳優がたくさん出演しているのでチェックしてほしいですね~。

チョンウ、ぺ・ヒョンソンがゲスト出演したSBSラジオ「チェ・ファジョンのパワータイム」映像。ドラマ撮影裏話が聞けます

③WATCHA編

『今日は少し辛いかもしれない』
大腸がんで余命宣告された妻ダジョン。夫チャンウクは、だんだんと食が細くなっていく妻へ、何か少しでも口にできるものをと厨房に立ち続ける。ハン・ソッキュ、キム・ソヒョン、チン・ホウン、ヤン・ギョンウォン出演。
さいき
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他では見られない個性的なオリジナル作品が魅力のWATCHAですが、そのなかでも昨年の個人的イチオシは『今日は少し辛いかもしれない』でした。
出演作選びにはかなり慎重だと言われているハン・ソッキュが、始めて配信作品に出演したヒューマンドラマです。原作は、人文学者カン・チャンレが闘病中の妻のために食事を作り続けた日記をノベライズ化したもの。著者は当初ラーメンくらいしか作れないほど料理経験がなかったそうです。それもあって、前半ではハン・ソッキュがネットでレシピを探したりしてはぎこちない手つきで料理する姿が、長年のファンなら萌えどころではないかと(笑)。回を追うごとに料理のスキルも上がっていくのですが、劇中ハン・ソッキュの温かい声のナレーションで淡々と手順が説明されるのもいいんですよね。
一方、クールでカッコいい役を演じることが多いキム・ソヒョンが、末期がんの妻の葛藤や苦痛を抑えた演技で見せていて、胸に迫るシーン多数。夫婦関係はすっかり冷えきっていたはずの2人が、食事を通じて互いを見つめなおす過程を静かに描いてあって、毎回ジーン……としながら見ていました。
WATCHA以外にも、FODや、Amazon プライム・ビデオでも視聴可能なので、見られる環境にある人はぜひ見てほしいです。

『今日は少し辛いかもしれない』メイキング映像
ハン・ソッキュ、キム・ソヒョン、チン・ホウンとイ・ホジェ監督による『今日は少し辛いかもしれない』オンライン制作発表会映像

⇒2023年のAmazon プライム・ビデオ作品は?


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