[SPECIAL INTERVIEW]パク・ウンテ<後編>

 

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現在ミュージカル「フランケンシュタイン」で“美しすぎる怪物”を演じて、各方面から絶賛の嵐! ミュージカル俳優として一段とグレードアップした姿を私たちに披露しているパク・ウンテさん。
長らくお待たせしました! インタビュー後編は、これまでの出演作を振り返るセルフバイオグラフィーと4月26日から開催されるコンサート「MUSIC MUSEUM」について語ってもらいました。

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●ウンテさんは当初歌手を目指していたと伺っています。ミュージカルに出演するきっかけは何だったのでしょうか?
「2007年に劇団四季が韓国で『ライオン・キング』を初めて上演したときに公開オーディションでアンサンブルに合格したんです。“男5番”という役でミュージカルを始めました。その時はミュージカル俳優になるのが夢ではなかったんです。夢だなんて言うのも恐れ多いくらいで歌をやりたくても活動できる場所がなかったんです。2006年から声楽の勉強を初めてもう8年目になりますけど、当時は歌のクオリティがまだまだだったってことでしょうね。それで歌が歌える仕事を探して、『ライオン・キング』のオーディションを受けたので、このときが初めて受けたオーディションでした。幸運にも演技、ダンス、歌と別々にオーディションがあったんですよ。演技もダンスも上手くできないけど、歌に長所を見出してもらって、僕を選んでくださったんです。本当に運が良かったですね」

8L6B3443a●初めて舞台に立った時の感触はいかがでしたか?
「とにかくミュージカルのミュの字も知らずに始めたので、とても幸せでした。悩んだり考える余裕もないくらいだったけど、毎回見に来てくださるような方も何人かいらっしゃったし。それと最初に劇団四季の日本の俳優の方からはアンサンブルでも自負心と責任感をもつということを教えていただけたのが、ミュージカルを始めた僕にとってはとても良い導きになったと思います」

●これまでさまざまな話題作に出演されてきましたが、なかでも「ノートルダム・ド・パリ」のグランゴワール役(07~09年に出演)はいまだに“歴代最高のグランゴワール”という声をよく聞きます。
「あら、褒めすぎでしょう、それは(笑)。また出演できるといいですよね。『ライオン・キング』が僕とミュージカルの世界との縁結びになった作品だとしたら、僕にとって最初のターニングポイントになったのが『ノートルダム・ド・パリ』です。僕のソロがあって、僕の名前が知られるようになった作品です。この時にファンクラブが出来て、今も会員でいてくださる方々がたくさんいらっしゃるんですよ。当時はアンサンブルから助演になって、何も分からない恐怖心もあってアワアワしたまま過ぎていったような感じでした」

●次のターニングポイントといえばやはり『モーツァルト!』ですか?
「そうですね。パク・ウンテという俳優が初めて(大舞台の)主人公という席に就いた作品です。初日の舞台に立ったときは“感激”でしたね。でも開幕前はとても困難なことが多かったんです。キム・ジュンスさん、イム・テギョンさん、パク・コニョンさんと凄い顔ぶれが並ぶなかでの出演でした。僕の出演回数は多くなかったけど、約3000席もある韓国で一番大きい劇場である世宗文化会館では僕がコケたら1回の公演だけでも制作会社にとっては大きな損害になる危険性がありました。周りには躊躇したり心配する方もいたんですけど、それでも会社の代表が出演する機会をくださったんです。幸いに初演がうまくいって、本当にありがたかったです。主演することに対しての自信にもなりました」

●「モーツァルト!」初演はキム・ジュンスさんが初めてミュージカルに挑戦した作品でもありますが、その時に一番力になってあげたのがウンテさんだったというのは有名なエピソードですね。
「そうやって言ってくれるのは有難いですよね(照れ笑い)。でもジュンスさんが元々とても良い方で、すごく上手だったんですよ。もちろん彼は僕より若いし、ミュージカル俳優としては僕が先輩にあたりますが、舞台に立つという意味では僕よりも遥かに多くの数をこなしてきた人ですから、僕が助けなくても上手くやっていたと思います。あのときは他のスケジュールが入っていてあまり稽古に参加できないような状態だったんです。それで僕が稽古したことを見せてあげたり、演出家の先生はこういう風におっしゃっていた、というような話をしたことが彼にとって助けになった、ということだと思います。ジュンスさんも僕も主演は初めてで緊張していた状態でしたし、お互いの為になったような気がします」

8L6B3418a●そして昨年主演された『ジーザス・クライスト=スーパースター』は本当に素晴らしかったです。
「僕の3番目のターニングポイントになりました。舞台へ向かう姿勢が変わった作品です。以前は、舞台でどうやってパフォーマンスをお見せするか? というところへの悩みが多かったとしたら、『ジーザス~』を通じて作品に完全に嵌る自分を発見したというか、どう見せるかということよりも俳優としていかに真情性(率直な誠実さ)があるように演じるか、という視点が生まれた気がします」

●ジーザスはこれまで演じてこられた役柄とはまったく違いましたよね。
「そうですね、演出家のイ・ジナ先生がたくさん助けてくださったのですが、“ジーザスは何かをしてを表現するのではなく、何もしなくても表現していなくてはならない”と。客席にいる方々が“あの人は内面に孤独がある”と感じられるような方法を追及するように言われて、はじめはどうしたらいいか分からなくて……。で、この時に分かったんですよ。“あ~心に真情性があれば表現できるんだな、何かをしようとするんじゃなくて(役やその状況に)集中すればするほど、観客の皆さんに伝わるんだなということが。それがこれから僕の俳優人生はこういう方向に発展していかなければいけないんだな、ということも気づかせてくれた作品でした」

●昨年、ファンクラブ主宰のファンミーティングでは「また出演したい」とおっしゃっていました。
「うん、演りたいですけどね。でも俳優って自分がやりたいって言ってもできるもんじゃないんですよ。演りたいけど、縁というか、運を天に任せるというか(笑)。また僕とマイケル(・リー)兄さんも一緒に出来たらいいですね」

●これら3作以外に記憶に残っている作品はありますか?
「『蜘蛛女のキス』ですね」

●公演当時とても評判になった作品でした。今後は「蜘蛛女のキス」のような演劇には出演しないのですか?
「舞台に立つ人間としてはやらなくてはいけないと思います。演劇の舞台に立てば演技力がつくと言いますし、『蜘蛛女のキス』に出演したときもいろんないい経験を積めたので、いつか機会があればまた小劇場演劇やミュージカルにも出演したいです。客席から舞台が遠ければ遠いほど歌をしっかりと、近ければ近いほど自然でリアリティある演技をしなくてはいけないですからね」

●さて、4月に日本で初めてコンサートに出演されるわけですが、日本には一度ミュージカルを見に行かれたことがありましたよね。
「井上芳雄さんの『ルドルフ~ザ・ラスト・キス~』を2012年に見に行きました。韓国で『皇太子ルドルフ』を上演する前だったので、勉強のために。だから今回が本当に初めて日本の舞台に立つコンサートですね」

●日本版の「ルドルフ」をご覧になったときはどうでしたか?
「す~~っごく良かったし、面白かったです。舞台に立つ俳優さんたちの実力にも驚いたし。日本のミュージカルはとても繊細な感じが良かったです。オーストリア版の映像を見てから日本に行ったんですけど、井上(芳雄)さんの繊細な演技とか音楽的にもたくさんのことを学べました。もちろん僕は日本語が分からないので、アクションやニュアンス、手や足さばきなど全体のイメージでしか掴めなかったけど、感情的な部分までしっかりと伝わってきました。ルドルフ役を演じるにあたって、僕もそういう感情や表現力を身に着けなければいけない、と感じました。音楽も歌も完成度が高くて、『僕もこれくらいちゃんと歌えるかな?』と心配になったほどです」

8L6B3572a●それから約2年を経て、今回「MUSIC MUSEUM」に出演を決めた理由は?
「僕を見るために韓国まで足を運んで下さる日本のファンの皆さんにいつもすごく感謝しているんです。韓流スターに比べたら、それほど多くの方ではありませんが、繰り返し韓国に来てくださるのが最初は大きな衝撃でした。自分が役者という立場ではなく、個人的に日本とかアメリカとか、外国に俳優を見に行くとしたら大きな決心が必要だし、準備する時間も必要ですよね? それくらい僕に関心と愛を注いでくださることに対して有難く思っていることを伝えたくて、僕が日本に行けたらいいなとずっと思っていて……。今回のような機会を得て、皆さんの応援に応えられたら。そして僕をまだ知らない方には自己紹介になればいいなと思ったんです」

 

●日本のファンの皆さんもとても楽しみにしていらっしゃいますよ。
「いまから本当にワクワクしています。でももし僕がダメだと韓国のミュージカル俳優全体が悪く思われるかもしれないけど(笑)、そういう看板を背負って行くというよりも、韓国ミュージカル俳優の“良い部分”を少しでも多くお見せできるようにしたいです。期待とワクワク感、不安感が同時にありますね」

●関係者もたくさん見にいらっしゃるのでは?(笑)
「気楽に行きたいので、本当はあまり見にいらっしゃらないといいけど……(笑)。実はそういうお話は日本のスタッフの方からも伺ったんですけど、僕はどうしたらいいでしょ?(笑)。なので、すごくプレッシャーもありますけどね」

●どんな曲を歌う予定ですか?
「(取材の時点では)まだいま調整しているところで、具体的には言えないんですけど(坂元)健児さん、(新妻)聖子さんと歌うデュエット曲もあるし、ソロで歌う曲は今まで僕が出演してきた作品のなかから歌う予定です」

●うわ~!めちゃくちゃ期待できそうですね!
「いやいや、あまり期待しないでいてくださると有難い(笑)。期待が大きいと失望も大きいでしょ? 期待せずに見ると『わー良かった!』となるかもしれないけど、期待がこんなに(と言いながら両手を広げる)大きかったらとんでもないことに……(笑)。
日本で『ルドルフ』を見たときは残念ながらその時は(坂元)健児さんや(新妻)聖子さんの舞台を見れなかったし、他に日本の作品をいろいろと見たわけでもないので、日本の俳優さんたちがどんな歌をどう歌われるのかも楽しみで、僕自身が見てみたいんです」

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いつお会いしても誠実で、素敵な笑顔に優しいお人柄がにじみ出ているウンテさん。筆者の下手な韓国語にも我慢強く耳を傾け、分かり易い言葉でゆっくりと話す気遣いまで見せてくださり、感謝、感謝のインタビューでした。
約2週間後に迫った「MUSIC MUSEUM」でウンテさんがついに日本にいらっしゃいます! このタイミングでウンテさんの歌を日本で聴けるのは本当に奇跡的!!! 期待しないでと言われても期待するしかありません!(笑)。日本の皆さんには万難を排して駆けつけていただきたいと思います。これからもコンサートなどで日本のファンの方にお会いする機会をもっと作りたいとおっしゃっていたので、皆さん、今後の展開も楽しみにしていてくださいね!

■「MUSIC MUSEUM」 ⇒公式サイト
4月26日(土)~28日(月) AiiA Theater Tokyo(全4回公演)
出演:新妻聖子、坂元健児
岡田亮輔、内藤大希、岡村さやか、佐野まゆ香
スペシャルゲスト:パク・ウンテ

⇒インタビュー前編を読む