[SPECIAL INTERVIEW]パク・ウンテ<前編>

 

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韓劇.comのオープニングを飾る、インタビュー第1回は韓国ミュージカル界屈指の人気と実力を兼ね備えた若手俳優パク・ウンテさんが登場。前・後編の2回に分けてお送りします。

今年最高の話題作、ミュージカル「フランケンシュタイン」でビクター・フランケンシュタイン博士を支える友人アンリと博士が創造する生命体“怪物”の二役を演じているウンテさん。役柄へのハマり具合が尋常ではない素晴らしさで、この作品は“パク・ウンテを見に行く作品”と言っても過言ではありません。まずは開幕直前に伺った、作品への思いをじっくり語ってもらった前編をどうぞ。

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●「フランケンシュタイン」ではアンリ/怪物と二役を演じられると知ったときは驚きました。実際演じてみていかがですか?
「怪物の役はすーっごく大変です。『フランケンシュタイン』の原作ではビクター・フランケンシュタイン博士が怪物を創り出すところから始まりますよね? でもこのミュージカルでは怪物を創造するのは2幕のストーリーで、1幕は博士とアンリの話なんです。なぜ博士が生命を創造するに至ったか? その理由をフィクションで作って、2幕では怪物がなぜ、博士や人間に対して復讐心を抱くしかなかったのか? というストーリーなんです」

●2幕では決闘場のシーンがあるそうですね。
「僕が制作発表会で『私は怪物だ』という曲を歌いましたよね? あの時は演技もしていなかったし、どんな状態で歌わなきゃいけないのか知らずに歌ってたんですよ。だけど、実際に演技しながら歌うと、絶対にあんな風には歌えない曲だった。歌にならないんです(笑)。実は、日本のコンサート(4/26-28開催『MUSIC MUSEUM』⇒リンク参照)でも歌いたいと思ってたけど、芝居のなかで演技しながら歌ってこそ、本当の醍醐味が味わえる曲なんです。歌だけ歌っても十分に表現できないというか……。もし作品を日本で上演することがあれば、そのシーン自体をお見せしたいです。なので、いま歌おうかどうしようか迷ってるんです」

8L6B3348a ●そんなに制作発表のときと違うんですか?
「ぜんぜん、ぜんっっっぜん!違います! 自分でコントロールできないくらいです。『ウワーーーッ!!!』と叫びながら歌う曲なので。だから稽古では自分がどこまでいけるのかやってみて、本公演が(歌や演技を)思うままコントロールできるようになるための時間になると思います。だけどそれがうまくいかないんです。怪物がものすごく可哀想で、役にハマりきってしまう。もっと客観的になって歌わなきゃいけないのに、舞台に出ると役から抜けられないんです」

●「ジーザス・クライスト=スーパースター」のジーザスみたいに?
「ジーザスよりもっとしんどいです。ジーザスも凄く大変でしたが……。両方ともフォーマットは同じですよ。ジーザスは神に『毒杯を受けてください』(注:劇中曲「ゲッセマネ」の歌詞の一節)と言うし、怪物は創造者に『なぜ、自分を創ったのか?』と訴えます。でも対象は似ていても内容が違うんです。ジーザスの場合は“(毒杯を)お受けしましょう”だけど、怪物の場合は“私はお前を殺すだろう”と、質問を投げかけたあとの行動(答え)が全く違う。ジーザスはもちろん号泣するし悲しいけど、受け入れられた後は心を整えてから逝くので。一方、怪物は復讐まで行きつくのでさらに変えないといけないんです。身体もすごく辛いし、もう死にそうなくらいです。2幕では怪物が復讐に至る物語が展開されます」

●何だか、壮大なストーリーになりそうですね。感動して泣いてしまうかも。
「(芝居のなかで)“僕が”いっぱい泣きますね。観客の皆さんも僕に共感してくださったら、泣けるでしょう。でもビクターもビクターで責任を免れられない哀しさがある。だから僕は、お客さんが見ていて辛くなるんじゃないかな? と半ば心配しています。よく芸術的な映画などで、あまりにもリアルすぎて観るのが辛い作品ってありますよね? そんな感じで『もう2度と見たくない』と思われたらどうしよう(笑)。演じてる僕らもかなりしんどいんですよ。特にビクターとアンリはとても大変な役だと思います」

●相手役、ビクターを演じる先輩3人のキャラクターはどんな感じですか?
「お三方ともすべてが違いますね。日々進行形で共演する瞬間、瞬間で印象が変わっています。もともとお三方とも違うイメージをお持ちですが、キャラクターとともに生きて、新しい表現を探っていらっしゃるので、公演が開幕したらもう少しはっきりと先輩方のキャラクターを掴めるようになると思います。これは僕のキャラクターについても同じですね」

●アンリ/怪物を演じるハン・チサンさんとウンテさんもまったく違う?
「うん、全然違うでしょうね。チサンさんのほうが母性本能を刺激する感じもあるし、よりパワフルなところもあるし。チサンさんの怪物もとても魅力的ですよ」

8L6B3359a●日本のファンの方々に、この作品のどういう部分を見てほしいですか?
「日本語字幕があったらよかったんですけど、セリフのなかにとても切ない部分が多くて、怪物はどの役柄よりも哲学的なようです。例えば『俺は誰なのか?、なぜ生まれてきたのか?』というように、人間に対してずっと問いかけるんです。キーポイントは何かと言えば、1幕は“ビクターがなぜこうせざるを得なかったか?”、2幕はなぜ怪物が復讐せざるを得なかったのか?”ということです。さらに見どころは、2幕の闘技場のシーンでみんな一人二役になるじゃないですか、そのシーンでは怪物が人間らしく見えて、闘技場にいる人間たちが怪物のように見える。そこから初めて誕生した生命が怪物に変わっていく過程が描かれるんです」

●公式資料には「人間のなかに元来秘めている暗部が表現される」というような説明がありました。
「そうそう、その通りです。一人二役で、2幕ではビクターが(闘技場主)ジャックになるし、エレンはジャックの妻エヴァになる……というふうに、表向きには貴族的で清いイメージがある人たちが、闘技場では怪物を苦しめる悪人になる。そういう部分が魅力だと思います。怪物が本当は優しくて……みたいな概念じゃなくて、ひとつの命なのに、人間(アンリ)という部分を怪物という部分がぶち壊す過程が徹底して描かれるので、キャラクターに完全にハマって演じてみると酷いですよ。ワン演出家が苦しめる過程をかなり非情に作られたようです。原作にある博士に復讐する物語も古典的で素晴らしいけど、ミュージカルではもっと直接的なきっかけを作り出されたので、より分かりやすくなっていると思います。そこを理解されれば面白味が増すし、作品の重みも感じていただけるんじゃないかと思います」

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怪物の話を始めると、スッと役が降りてきたかのように思わず話に力が入っていたウンテさん。直々に教えてくれた作品のポイントを読んで観劇すれば「フランケンシュタイン」をより深く堪能できるのではないでしょうか?
後編では、ウンテさんのセルフバイオグラフィーについて、そしてスペシャルゲストとして出演するミュージカルコンサート「MUSIC MUSEUM」(4月26日~28日 東京・AiiA Theater Toyko)についてお伺いしています。スペシャルプレゼントもありますので、後編もお楽しみに!

⇒後編記事はこちら