韓ドラ温故知新 第2回 「2023‐24配信韓ドラチェック」③Amazonプライムビデオ編

■ Amazonプライムビデオ編 ■

Amazonプライムビデオで独占配信中!『私の夫と結婚して』
杉本
杉本

Amazonプライムは、有料会員になるとショッピング特典以外にも音楽配信電子書籍映像配信など多様なサービスを受けられます。映像配信のプライムビデオ、通称「アマプラ」は見放題コンテンツに加えて新作や独占配信作品などの有料コンテンツもあって、特に映画はここでしか見られない作品も多いです。

『私の夫と結婚して』
末期がんで闘病中だったカン・ジウォンは夫と親友の不倫現場に遭遇し、2人によって命まで奪われてしまう。気が付くと10年前、2013年に戻っていたジウォンは人生をやり直すことを決意する。パク・ミニョン、ナ・イヌ、イ・イギョン、ソン・ハユン出演。
杉本
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『私の夫と結婚して』はアマプラで独占配信している韓ドラのなかでも圧倒的人気作になりましたね。パク・ミニョンもナ・イヌも来日ファンミーティングは即完! ナ・イヌはAmazonジャパンに会社訪問までしていて、スタッフの皆さんもめっちゃ盛り上がってました(笑)

Amazon東京本社を訪問して大歓迎を受けたナ・イヌ(ORICON公式YouTubeチャンネルより)
さいき
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最近タイムリープもの、ホントに多いですが、過去に戻って人生やり直す物語っていうのは一定のニーズがあるんでしょうね。このドラマの原作はNAVERのウェブ小説で、ウェブトゥーン版は日本のLINEマンガでも公開されています。

『私の夫と結婚して』原作ウェブ小説のコンセプト映像。ドラマ序盤のカン・ジウォンのルックスはかなり忠実に再現されているのが分かる
さいき
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このドラマを観た人は、みんな「ブジャンニム(部長様)」こと、ユ・ジヒョクに持っていかれたと思うんですけど、劇中シリアスな顔のナ・イヌがどうもピンとこなくって(笑)。これまでバラエティ番組で天然キャラを披露しまくってましたから。下に貼った「ラジオスター」のトークが最高に笑えるんですが、SM→JYP→CUBEと大手事務所を渡り歩いてアイドルになり損ねた人だったんですね。しかもデビュー作は『僕らのイケメン青果店』というミュージカルだった! 私、完全スルーしてました(笑)

MBCのトークバラエティ「ラジオスター」ナ・イヌとイ・イギョンの各出演時のダイジェスト映像。KBSの長寿バラエティ番組「1泊2日」のナ・イヌ魅力集も要チェック
杉本
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先日のナ・イヌのファンミーティングに行ってきたんですが、ユ部長人気が本当~にすごいんですよ!! 沼落ち民の多さたるや! 人気を改めて実感しました。
実は私、本名のナ・ジョンチャン名義で長編ドラマに出ていたころから見ていたので、こんなにミニシリーズで活躍するようになるなんて、なんだか感慨深いです。

さいき
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パク・ミニョンは相手役男優の魅力を引き出すのが本当に上手いですよね。彼女自身は、職種は多様ながら、近年の作品では常に明るく前向きなワーキングウーマンを演じてきたのも同性の視聴者に支持されている理由かな? と思っています。

杉本
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ところで、ナ・イヌが演じているジヒョクって、かつてのミニシリーズでは二番手男子の役割じゃないですか。『美男ですね』におけるシヌ(ジョン・ヨンファ)、『花より男子』におけるジフ(キム・ヒョンジュン)みたいに、先回りしてヒロインを支えてる。それが一番手になって、彼女の自立を手伝うスタイルが最近のトレンドだなって思います。

さいき
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不幸のどん底ヒロインと彼女のリセット人生を応援する騎士(ナイト)、っていう関係性は、以前は日日(イルイル)ドラマや週末ドラマでよくあったパターンでしたよね。

杉本
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昔は50話や100話で週末ドラマなどの台本を書いていた脚本家が『結婚作詞 離婚作曲』『ペントハウス』『再婚ゲーム』など、短い話数のドラマを書くようになってきた。それが世界配信されて、韓国式の”愛憎復讐劇”が海外でも十分通用することが分かってきたんでしょうね。このドラマは逆にミニシリーズを書いてきた脚本家が愛憎復讐劇の手法を取り入れると、ここまでポップになるのか! という発見でもあり、その完成系といえるのかも? と思えるくらいの衝撃でした。

さいき
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それと、近年のオフィスドラマはヒロインがパワハラ上司をやりこめる描写が必須。劇中でこてんぱんにされていたパワハラ課長役のキム・ジュンヒ(↓)は、コミカルな嫌われキャラが逆に大人気になっていました。『ムービング』『ボイス4~112の奇跡~』『ミスター・サンシャイン』と、別人のように違う役柄で出演していた過去作まで注目されて、今や「千の顔を持つ男」と呼ばれているんですよ。

CUBE公式YouTubeチャンネルで公開された『私の夫と結婚して』ナ・イヌ最終回撮影ビハインドとメッセージ
『誘拐の日』
白血病の娘のため手術費用を工面したい父ミョンジュン。元妻にけしかけられ、資産家の娘ロヒの誘拐に向かうが、突然車の前で倒れた少女がまさにロヒだった。ミョンジュンは記憶を失っていたロヒに自分の娘ヒエだと偽るが……。ユン・ゲサン、ユナ、キム・シンロク、パク・ソンフン出演。
さいき
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昨年の配信作のなかでは『誘拐の日』が韓国でめちゃくちゃ評判良かったんですよ。放送中はずっとコンテンツランキングの上位に入っていたほどの人気で。下のイメージポスターだけ見ると、誘拐もののサスペンススリラーかと敬遠されがちだと思うんですが。

杉本
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ポスターを見ても、どんな作品かちょっと想像つかないですよね。天才少女ロヒと間抜けな誘拐犯の異色バディによる逃亡&真相追及劇です。ユン・ゲサンが元妻に言われてしぶしぶロヒを誘拐するんですけど、当の誘拐相手は記憶を失ってるわ、生意気だわ、天才だわで、振り回されまくるんですが、その凸凹コンビぶりが絶妙なんですよ!

さいき
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ユン・ゲサンはお人よしキャラ、ハマってそうですね(笑)。賢い少女と不器用なおじさんのバディものというと、映画の『レオン』を思い出しました。

杉本
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超絶生意気な女王様キャラのロヒに翻弄されながらも、甲斐甲斐しくお世話するダメ男だけどいい父親で、愛すべき人。最後まで彼女のために奮闘するユン・ゲサンの姿を見てほしいですね。ロヒを演じているのはユナという新人で、Apple TVの『パチンコ』で注目された子なんですが、私はすっかりファンになりました。物語もメリハリがあって最後まで目が離せないと思います。

『誘拐の日』ロヒ役で百想芸術大賞新人賞候補に! オーディションでは500人の候補のなかから選ばれたという天才子役ユナの名場面集
さいき
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私はドラマを観るとき、舞台俳優をチェックするのが習慣化してるんですが(笑)。この作品、助演俳優はほとんど舞台出身ですね。パク・ソンフンやキム・シンロクは近年、いろんなドラマに出てますが、どんな役を演じても記憶に残っているのが凄い。ほかにもカン・ヨンソク、キム・ドンウォン、チョン・スンウォンなど小劇場時代から舞台を見てきた演技の上手い役者が揃ってるので注目して観てほしいです。

『ペイバック~金と権力~』
巨大資本の保有者だが、表の仕事はファンドマネージャーに任せ、現在はモンゴルの草原で悠々自適な暮らしを送るウン・ヨン。かつての恩人の娘ジュンギョンらの現状を知り、帰国して巨悪との闘いに挑む。イ・ソンギュン、ムン・チェウォン、カン・ユソク、パク・フン出演。
さいき
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『ペイバック~金と権力~』は奇しくも、この作品がイ・ソンギュン最後のドラマ出演作になってしまいましたね……。映画『悪人伝』のイ・ウォンテ監督と、『女王の教室』『マン・ツー・マン ~君だけのボディーガード~』のキム・ウォンソク脚本家のタッグということで、サスペンス、追跡ものが上手い制作陣が揃ってます。

イ・ソンギュン、ムン・チェウォン、カン・ユソク、パク・フンによる『ペイバック』ビハインドトーク
杉本
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金の力で結託する権力者たちに対して危険な勝負を挑む人たちの物語です。イ・ソンギュンが演じるのは、闇金あがりの金商人。彼が母と慕う人への弔い合戦として、財界のフィクサーや検察権力に「お金」を餌に頭脳戦を仕掛けていくんです。飄々とふるまいつつも揺るがない心をもつ反骨キャラクターがすごく似合っていました。

さいき
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イ・ソンギュンは俳優としての評価を上げた作品のひとつが『最後まで行く』という映画でしたが、どん底まで追い込まれたところから逆襲していく面白さがこのドラマにもありますよね。そしてそういう役がイ・ソンギュンはホントに上手い。

杉本
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この作品でも一度は負けた身なんですが、家族のような仲間とともに復讐という名の正義を果たす姿が痛快だし、カッコよかったです。そうそう、妹のような存在をムン・チェウォンが演じているのですが、徹底して「家族」として描いていて、変にロマンスに発展しないところもよかったです。敵である悪徳検事側の家族との対比も興味深かったですよ。

『もうすぐ死にます』
7年間就職浪人を続け、恋人にも振られ自暴自棄となったチェ・イジェは死を決意しビルから飛び降りる。だが、彼の前に“死”が現れ、死を軽んじた罰として12人の生死の体験を命じられてしまう。ソ・イングク、パク・ソダム、キム・ジフン、イ・ドヒョン出演。
さいき
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昨年末に配信開始されるやいなや大きな話題を呼んでいだのが『もうすぐ死にます』でした。
これまた人気ウェブトゥーン原作。ソ・イングク、パク・ソダムを筆頭に、近年の韓ドラで注目を浴びた俳優が多数出演しているので、もう俳優の顔ぶれを見るだけでも十分楽しい気がします(笑)

『もうすぐ死にます』
(原作漫画はNAVERウェブトゥーンで7話まで無料で読める)
杉本
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本当に豪華キャストでした。ソ・イングク演じる主人公イジェが、自死した罰として12回、別の人の人生を歩む。なので、イジェの心をもつ人物をそれぞれ別の俳優が演じるわけなんですが、彼らからイジェ、つまりソ・イングクの姿がだぶって見えてくるんですよ。なかでも特にイ・ジェウクが素晴らしかったです。

12名の豪華キャストが一堂に会した『もうすぐ死にます』制作発表会映像
さいき
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ソ・イングクはハードなアクションの多くを自分でこなしたそうですね。ほかにも、チャン・スンジョは大型免許を取って初めてオートバイアクションに挑戦したと言っていたし、ソンフンは命がけのスカイダイビングをやったと制作発表会で言っていました。VFXと組み合わせたアクションシーンも見どころですよね。

ソ・イングクの公式YouTubeチャンネルにゲスト出演したキム・ジフンとキム・ジェウク。2人は同時期に兵役に就き、合宿も経験した10年来の親しい仲だそう。
杉本
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キム・ジフンとキム・ジェウクの2大悪役対決のインパクトに驚かされますが、すべてのキャラクターが繋がる巧みな展開から目が離せませんでした。そして、他人の人生を送るなかで生まれるイジェの様々な感情、「生きること」を考えさせるセリフの数々、エンディングの歌まで、ソ・イングクが魅せてくれるので、最後まで見逃しNG作品です。

『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』
「恋愛には戦略が必要」と謳う人気恋愛コラムニストのデボラ。彼女の新刊を「恋愛には真心ありき」と考える出版企画者のイ・スヒョクが担当することになり、それぞれの恋愛観に変化が生じ始める。ユ・インナ、ユン・ヒョンミン、チュ・サンウク、ファン・チャンソン出演。
杉本
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ほかにAmazon プライム・ビデオで良かった作品は、『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』。ロマコメが似合うユ・インナの良さが出た作品でした。恥ずかしい失敗も、失恋から克服できない姿も、生々しいけど愛らしい。彼女は恋愛本を執筆しながら、自分自身を振り返っていくわけですが、一緒にリハビリしていく気分でした。ユ・インナの元カレ役のチャンソン(2PM)もいい味だしてましたよ。浮気男なんでちょっとムカつくキャラですが(笑)。愛に傷ついているのは自分だけじゃない、相手の痛みや傷にも気付くことができるようになる、そんな作品でした。

『私の彼はキューピッド』
ワケあって人間界に降臨し、長年縁結びに貢献してきたキューピッドのサンヒョク。ある日、破格の美貌をもつが、恋愛では不運続きのペクリョンと知り合い、“運命の人”に出会ったと信じる彼女にアプローチされてしまう。チャン・ドンユン、ナナ、パク・ギウン出演。
さいき
さいき

『私の彼はキューピッド』は、韓国国内では未配信で、Amazonプライムビデオで世界初配信されたという珍しい作品です。新作の制作競争が熾烈なので、今後こういう配信形態をとる韓ドラが増えてくるかもしれません。

杉本
杉本

主演のチャン・ドンユンは『オアシス』にはじまり『今日もあなたに太陽を ~精神科ナースのダイアリー~』『砂の上にも花は咲く』と、2023年かなり働きものでしたね。いろんなジャンルで活躍していますが、この作品では縁結びのキューピッド役。生まれ変わりとの運命的な愛を描く定番のファンタジーロマンスで、カトリックの「7つの大罪」をモチーフにしたサスペンスも盛り込まれています。全体的にライトなので、気軽に楽しめる“愛する勇気”の物語でしたね。昨年は重たい作品が多かったので、最後になんだかほっとしました。あの童顔に天使の羽も似合っていました。


⇒2023年のU-NEXT作品は?