イヤギショー

[REPORT]豪華ゲスト出演!『ミュージカル イヤギショー』10周年記念公演、盛大に開催

[REPORT]豪華ゲスト出演!『ミュージカル イヤギショー』10周年記念公演、盛大に開催

 

17

ソウルの劇場街大学路(テハンノ)の小劇場で開催されているミュージカル俳優のトークショー『ミュージカル イヤギショー イ・ソクジュンと共に』(以下、『イヤギショー』)。
MC(司会)の俳優イ・ソクジュンが、舞台から降りた素顔の俳優たちの魅力や作品づくりの裏話などを絶妙なトークを交えて紹介し、韓国の舞台ファンたちに愛されているトークショーだ。(イ・ソクジュンのインタビュー記事は⇒こちら) 2004年に始まった『イヤギショー』の10周年を記念したスペシャル公演が5月26日にLGアートセンターで開催された。

開演前、ステージの両サイドにあるスクリーンにはなぜかカカオトークの画面が。よく見るとMCイ・ソクジュンと、コ・ヨンビン、キム・ホヨンらゲストたちがリアルタイムチャット中で、まるで『イヤギショー』での会話のごとく展開される内容に観客は大爆笑! すでにショーはここから始まっていたのだった。

いよいよ本番! オープニング曲をイ・ソクジュンが自ら歌いながら登場。やや緊張気味な様子ながら、まずは『イヤギショー』恒例、俳優たちの幼いの写真を公開してウォーミングアップ。チョ・スンウをはじめ、いまや人気スターとなった俳優たちのあどけない写真が次々と公開された。そして一番最後に写真が映し出された『イヤギショー』の第1回ゲスト、イ・ゴンミョンと『ミス・サイゴン』で共演したキム・ボギョンががステージへ。2人歌ったのは「世界が終わる夜のように(Last Night of the World)」。久々のクリスとキムの再会という豪華な幕開けだった。続いてまもなく開幕する『モーツァルト!』のヴァルトシュテッテン男爵夫人役でも知られるシン・ヨンスクが、2013年の公演当時大反響を呼んだ『レベッカ』のナンバーを披露。圧倒的な歌唱力と存在感を見せつけた。

その後、懐かしのセルフカメラ映像を上映。『イヤギショー』のシーズン1(2004年~2007年)では、ゲスト俳優へ事前にビデオカメラを渡して撮影させ、ユニークなプライベート映像などを見せていたそう。ユン・ゴンジュ、キム・ムヨル、チョン・ソンファ、チョ・ジョンソクなどの懐かし映像が登場し、トップスターたちの初々しい時代を垣間見ることができた。

4

『女神様が見ている』は今年公演中のメンバーが出演

続いては最近大ヒットした創作ミュージカルのなかから、『女神様が見ている』と『風が吹いてくるところ』チームがそれぞれ代表曲を披露した。
『女神様が見ている』チームはチョン・ソンウ、シン・ソンミン、イ・ジェギュンとスンホ役の3人が並んで歌うというスペシャルな演出もあり観客を楽しませた。
一方、歌手の故キム・グァンソクの曲をフィーチャーした小劇場ミュージカル『風が吹いてくるところ』は、メンバーが歌番組に出演して公演の存在が知られると、チケットが瞬く間に完売して驚異的なヒットを記録した作品だった。名曲「あの日々(그날들)」「埃になって(먼지가 되어)」などを同作に主演したミュージシャンのパク・チャングンが歌い上げ、観客たちはキム・グァンソクの歌世界に酔いしれた。

そして過去、飛び入り参加も含めて歴代最多出演との呼び声高いキム・ホヨンが登場! 兵役から除隊して間もない彼は「お勤めして帰ってきました~!♥」と挨拶。怒涛のソロトークを展開後『イヤギショー』名物のひとつである“個人技(特技)”を披露するコーナーにつなげた。そのなかでも最強の個人技マスターに選ばれた万能コメディ王、イム・ギホン(『ディセンバー』『バンジージャンプする』などに出演)がハードル、走り幅跳び、水泳など“一人オリンピック選手”のネタを繰り広げて大大大爆笑となった。

7

マーガレットマスター、チェ・ジェウン先生は静かに入場して美味しい食べ方を指南した

次に登場したのが、『スリル・ミー』日本公演にも出演経験のあるチェ・ジェウン。普段はクールな二枚目イメージの彼が、昨年のゲスト出演時にマーガレットというロッテのビスケットを「牛乳と一緒に食べると美味しい」と力説して大反響となり、ファンたちが競ってマーガレットを買ったという『イヤギショー』ならではの伝説を残していたのだ。記念公演ではイ・ソクジュン、コ・ヨンビンと、ミュージカル俳優ユン・ヨンソクの愛息ユン・イェダン君、『ビリー・エリオット』で活躍したタン・ジュンサン君、そしてマーガレットマスター、チェ・ジェウン先生の5人でマーガレット試食会が行われた。由緒あるLGアートセンターのステージでビスケットを食べたのは彼らが最初で最後であろう。ちなみに個人技を披露した2人はそれで終わったわけではなく、チェ・ジェウンは『ラ・マンチャの男』の「見果てぬ夢」を、イム・ギホンは出世作となった『キム・ジョンウク探し』の「アジャアジャインディア」を歌ってしっかりと本領も発揮していた。2人による本番前のバックステージトーク動画(⇒こちら)が面白いので要チェックを。

続き 『イヤギショー』では定番の新人紹介コーナーに。同コーナーに出演後ブレイクした俳優も多く、シーズン1ではまだ新人、もしくは若手だったオム・ギジュン、オ・マンソク、チョ・ジョンソク、シン・ソンロク、キム・ムヨルなどの貴重な映像も公開された。歴代の新人のなかから代表して現在『ヘドウィグ』に出演中のイ・ヨンミと、まもなく『ブラッド・ブラザーズ』で舞台復帰するチョ・ジョンソクがソロステージを披露。またユ・リア、チョン・ダヒ、チェ・ヒョンソンの新人3人が、ミュージカル『プリシラ』の「It’s Raining Men」を歌い、着実に次世代俳優が台頭してきていることも感じさせた。

11

LGアートセンターを所狭しと暴れた『TRACE U』チーム

そしてこの日、最も会場を盛り上げたのがミュージカル『TRACE U』チーム! キム・デヒョン、ムン・ソンイル、ソ・ギョンス、イ・ジホ、チェ・ソンウォンの5人がステージを飛び出して客席にも乱入し、普段の公演さながらの“トライ(또라이=クレイジー)”な暴れっぷりを見せて会場を沸かせた。

加えて、観客たちを感無量にさせたのが久々にステージに上がった『モビーディック』と『ストーリー・オブ・マイライフ』のキャストたちだった。
俳優やミュージシャンで構成されたキャスト全員が楽器を演奏しながら演じるという斬新な作品性でヒットした『モビーディック』はオリジナルメンバーが2年ぶりに集結。リハーサルを重ねてこの日に臨んだそうで、かつてのステージを見事に甦らせていた。一方の『ストーリー・オブ・マイライフ』チームは、まず歌手のKAIが名曲「蝶(나비)」を澄んだ歌声で聞かせ、子役のユン・イェダン&タン・ジュンサン~イ・ソクジュン&コ・ヨンビンへとシンクロさせて、幼なじみが成長していく劇中の主人公エルヴィンとトーマスの物語をリアルに再現するという心憎い演出を見せてくれた。この2作は人気、作品性も高い良作だっただけに、また再演を見たいと思ったファンも多かったことだろう。

15

会場にいるすべての人を圧倒的な歌声で魅了したユン・ボッキ

そしてオーラスを飾ったのは、かつて『ピーターパン』などに主演し、海外でも活動、韓国ミュージカルの黎明期から活躍する大ベテランのユン・ボッキ。ステージの両サイドにはこの日出演した俳優が全員登場し、後輩たちに見守られながら自身の代表曲である「みなさん(여러분)」を爆発的な声量と圧倒的な存在感で歌い上げた。会場は感動に満ち溢れ、『イヤギショー』の記念公演を締めくくるにふさわしいフィナーレとなった。

終演後には観客全員にマーガレットとパック牛乳のお土産セットまで用意され、最後までいつもと変わらない手作り感覚のアットホームな雰囲気だった10周年記念公演。この『イヤギショー』がもつ温かさや、それを支えるファンの存在こそが、韓国舞台シーン全体の魅力ではないかと感じた一夜だった。

⇒Facebook 『ミュージカル イヤギショー』10周年記念公演フォトギャラリー

 ■公演情報■

「ミュージカル イヤギショー イ・ソクジュンと共に シーズン2」⇒公式サイト
毎月2回(不定期)月曜日20時 大学路・プティツェルシアター
※チケットはCJ E&Mチケットのみで販売
あと40回を残したシーズン2は、7月から再開予定。

[SPECIAL INTERVIEW]イ・ソクジュン<前編>

[SPECIAL INTERVIEW]イ・ソクジュン<前編>

 

lsj1

いま目覚ましい急成長を遂げている韓国ミュージカル界を俳優としてのみならず“トークショーのMC(司会)”として長年支えている人がいます。その名はイ・ソクジュン。彼は常に舞台の第一線で活躍する俳優でありながら、ミュージカル俳優や制作陣をゲストに迎えるトークショー「ミュージカル イヤギショー イ・ソクジュンと共に」⇒公式サイト(以下、「イヤギショー」)で2004年から司会を務めています。どんなゲストを迎えても俳優の魅力を引き出せる抜群の話術で毎回楽しいショーに仕上げ、観客を楽しませてくれているソクジュンさん。もはやライフワークになっている「イヤギショー」の10周年記念公演を前に、10年間の裏話を伺いました。

 ※イヤギ(이야기)とは、韓国語でお話、物語のこと。イヤギショー=トークショーの意。

*      *      *

●「イヤギショー」はいま2011年から再開したシーズン2を現在公演中ですが、2004年にシーズン1を始めた当初はこうして10年も続くと思っていらっしゃいましたか?
「いいえ。シーズン1のときはただ100回やろうと言って始めたんです。当時はミュージカル俳優が100人くらいにはなるだろうと、そして彼らを好きなファンたちが100人はいるだろうと考えたんです。1回当たり100人ずつ参加した観客が、1人の俳優につき100人ずつファンになっていけば100回は行けるだろうと。しかも毎週やってたから、1年で50回公演なので2年目に終わると思ったんです。でもシーズン1を100回やるのは容易ではなかったですね。僕がちょっと勘違いしていたのは、ファンの方たちはいろんな俳優を好きだろうと、そして仕事がある月曜日の夜でも俳優を見に来る人が100名を超える、と。でもミュージカル俳優のトークショーを100人以上の観客が見に来るには、普段の公演で1000人以上の観客を呼べるくらいの影響力を持っていれば可能なことだったんです。だけどそんな俳優はあまりいなかった。もっとたくさんいるかと思ってたけど、それで赤字になってしまって、あ~(考え方を)間違ってたようだ、と」

●最初に劇場はどこで?
「僕がワイフ(女優チュ・サンミ)とよくデートしてた建物があって(笑)。弘大(ホンデ)にお義父さん(演劇俳優・故チュ・ソンウン)の名前をつけた“テアトル チュ”という100席くらいの劇場があったんです。トークショーをやるにはちょうど良い環境で、こういうトークショーをやってみたらどうか? という話がどこからともなく出てきたときに、あ、ここでやりたい、と思ったんです。正直、自分の利益よりも僕が好きな人たちを紹介したいという気持ちのほうが強かったんですよ。僕はファンの子たちも好きだし、(俳優とファンに)格差をつけるのは好きじゃないから、区別なく俳優たちと話をしたいのに難しいって言ってるのを聞いて、じゃぁ僕が代わりに訊けるじゃん、くらいの感じで始めたんです」

lsj3●とはいえ、それまでMCというのはやったことがあったんですか?
「1回だけ。『若きウェルテルの悩み』をクリスマスのときに公演ではなく、コンサートをやったんですよ。企画するときに僕がいちばん年上だったから『俺がMCやるよ』って感じで司会をしたんだけど、す~ごく反応が良かったんです。自分が芝居で拍手されるのは照れ臭いのに、誰かを注目させて拍手をもらうのはすごく気分が良かったんですよね」

●今でこそミュージカル俳優のトークショーは増えましたけど、当時は全くなかったですよね?
「全世界。世界初ですよ。でも僕はよく分からなかったんだけど、ある評論家の先生が世界でもこんなミュージカルのトークショーはないよって言われて、『あ、そうか』って。なぜなら他の国のミュージカルは作品が中心になるけど、韓国は俳優のインフラがすごく良い国だから俳優の力がいつも中心になる――それで他の国ではやろうとしてなかった俳優たちとファンが一緒に過ごす時間を作りたかったんです」

●初回はどうやって準備されたんでしょうか? 韓国ではファンクラブの会員がファンミーティングやイベントを本格的に実施したりしますが、そんな感じですか?
「アマチュアリズムでしたよ。最初はそういうファンミーティングみたいな感じもあったのは確かです。でもファンミーティングは俳優が話したいことを話して歌を歌って、質疑応答があって、みたいな感じだけど、それとは違ってミュージカル俳優は自分の話をする機会があまりないから、生まれた時から今までの話をしよう、と。子供の時の写真を持ってきてもらって観客に写真を見せながら、なぜ、どうやってミュージカルを始めたのか? 失敗したことあるか、など観客たちが知りたいエピソードを訊いたんです。ほとんど全部公開するレベルで(笑)。もともと僕の同僚たちだし、僕が知ってることも多いからお互いけなし合いながら話したりしてましたね」

●シーズン1の第1回ゲストはやはり、「イヤギショー」で毎回名前が登場するお友達のイ・ゴンミョンさんたちだったんですね。
「1回目は最初だし、どうやってやったらいいか分からなかったから、僕が一番信頼のおける人たちに頼んだんです。ゲストの3人はソウル芸術大学91学番の同期で、ゴンミョンさんは知ってると思うけど、いまファン・ヒョンジョンさんはシンシカンパニーで振付家やってるし、アン・ソンジンさんは劇作家です。でも当時は有名な俳優だったんですよ。大学時代からいつも4人でつるんでたから、学生時代の話やアンサンブルの話だけでも充分面白かったから子供のころの話なんかは全部飛ばしたほどでした」

●お話を伺っていると内容はいまやっているスタイルとほとんど変わってないんですね。
「うん、変える必要もないでしょう。俳優が舞台に立って繰り広げる話は無尽蔵にありますよ。そこで、どんな話を組み合わせるかが、僕らにとっての肝でしょう。シーズン1では有名な俳優を呼んで人物にフォーカスしていたとしたら、シーズン2では作品と、作品に関わった俳優やスタッフ、新人俳優も含めて話を訊いています」

lsj5●それと毎回、公演の収益金は難病の子供たちを救うためのチャリティーにされているのが凄いなと思います。
「当初は制作費くらいを捻出できればいいなと思っていました。お金を儲けようなどとは思ってなかったけどシーズン1のときは50回くらいやったところで制作費が何千万ウォンかの赤字になりました。それで俳優に重きを置いてはダメだ、と考え直して、紹介したい作品の俳優たちが何人か出演すれば有名な俳優じゃなくても観客が飽きずに進行できるだろうと、毎週から隔週公演に変えて、回ごとに内容を企画・制作するスタイルに変えていったんです。すると「イヤギショー」が面白いと言われはじめ、固定ファンがついてきたんです。興収も上がっていって、100回に至るときには1000万ウォンくらい余った。本来は僕たちが自由に使っていいわけだけど、金儲けで始めたことじゃないからみんなで分けるかチャリティーにするか、と相談して『美しい財団』というところに寄付することにしたんです。それを観客も俳優もいいね、と言ってくれたのでシーズン1を終えるときに観客に約束したんです。実はすごくしんどかったからシーズン2をやる予定はなかったんだけど、万が一戻ってきたら観客の皆さんからいただいたお金を支援に使える環境を作ります、と。でもその後、シーズン2をやってほしいという話が3年を過ぎても聞こえてくるんです。最後に僕の心を動かしたのは、厳しい環境にいる人たちを俳優と観客が一緒になって助けたらどうか? と言われたこととか、『すごく出たかったのに終わってしまった』と恋しがる俳優たちもすごく多かったんだな、というのが分かって、もう一回やってみるかと」

●シーズン1から現在まで、忘れられないエピソードがあれば教えてください。
「すごくたくさんあるけど……チョン・スギョン先輩(シーズン1の第13回に出演)の双子のお子さんが当時1、2歳ぐらいで家に置いておけないから会場に連れていらしたんです。スタッフに預けて出演してたんだけど、ママに会いたがって舞台に上がってきたので、『大丈夫、みんな拍手して~』と舞台に上げたら、突然お漏らししちゃって一時中断したこととか(笑)。パク・カリン音楽監督(シーズン1の第20回に出演)のときは、観客にマフィンを食べさせたいと100個ぐらい焼いて持っていらして、みんなで食べながら公演したことがありました」

●シーズン1では何度か出演していたけど、いまでは「イヤギショー」でなかなかお目にかかれないチョ・スンウさんやオム・ギジュンさんなどはどうでしたか?
「彼らは出演しないというよりも、例えばチョ・スンウさんの場合はトークショーみたいなものに出るのが苦手な人なんですよ。元々苦手なのに、僕と仲が良いから、兄貴がやるものには出なきゃでしょ、と自分から進んで出てくれたんです。お願いするたびに申し訳ないなと思ってたけど、3回くらい出てくれたはずですよ」

●先月「ヒストリーボーイズ」の回に出ていたイ・ジェギュンさんみたいに(注:当日、ジェギュンさんはうまく話ができずソクジュンさんにいじられていました)、話すのがあまり得意じゃないゲストもいるじゃないですか。そういう時は進行が大変ではないですか?
「僕はむしろ、司会者の話を聞かず、自分のスタイルを押し付けるように話す人のほうがずっと大変です(笑)。ジェギュンさんみたいな人は愛らしいくらいで、話の上手い下手は問題じゃないんですよ。うまく説明できなくてもそれを僕がどう持っていくかが重要でしょう」

lsj7●ほかに、面白いエピソードを思い出す方はいらっしゃいますか?
「昨年イ・ゴンミョンさんがプロポーズした回(シーズン2の第44回に出演)があったでしょ? (はい、驚きました!)観客の方たちが戸惑うんじゃないかと緊張したんだけど、実は前の日に2人はケンカしてて、奥さんが来ないんじゃないかと心配だった(笑)。どうするんだよ全部準備終わってるのに! 奥さんには『見に行かないって言ってるのに何でしつこく見に来てって言うの?』って、言われるし(笑)。でも無事にプロポーズできたから、完全に仲直りできたでしょう」

●あの時はどれくらい前から準備してたんですか?
「1カ月くらい前かな? プロポーズしてないって言うから、『じゃぁ、イヤギショーでやる?』って言って。ゴンミョンさんは「イヤギショー」第1回のゲストで僕にとっては格別な人でもあるし」

●あの時ゴンミョンさんは日本で「三銃士」の公演を終えて「イヤギショー」に出演されましたよね。で、プロポーズされたことをツイートしたら、日本のファンの方たちから「失恋した」と残念がる反応が結構ありました(笑)
「ファンになった日本のファンの方には残念だったけど、僕からしたらずっと前から望んでいたことだったから。早く結婚すればいいのに何で結婚しないんだ? 長年付き合っている素敵な彼女がいるのに、わざとなのか? って(笑)」

*      *      *

「イヤギショー」では“陰の主役”と言っても過言ではないほど毎回お名前が話題にのぼるソクジュンさんの親友、イ・ゴンミョンさんのお話がここでも登場しました(笑)。まさかあのロマンチックな電撃プロポーズの裏にはこんな秘話があったとは!

続いて<後編>では、「イヤギショー」10周年公演について、現在上演中の初演出作「サム・ガール(ズ)」などについて伺っています。

⇒インタビュー<後編>を読む

■SPECIAL INTERVIEW アーカイブ■
Vol.1 パク・ウンテ <前編><後編>

[SPECIAL INTERVIEW]イ・ソクジュン<後編>

[SPECIAL INTERVIEW]イ・ソクジュン<後編>

 

lsj2

イ・ソクジュンさんは今年、演劇「ステディ・レイン」「M.Butterfly」にミュージカル「共同警備区域JSA」と立て続けに主演したうえ、演劇「サム・ガール(ズ)」の演出にも挑むという超過密スケジュール。加えて唯一の休演日である月曜日に「ミュージカル  イヤギショー」のMCを毎月2回務めていらっしゃるんです。さまざまな作品への主演を並行しながらMCを10年続けるというのがどれほど大変か、お分かりいただけるのではないでしょうか。インタビュー後半では、その集大成となる10周年記念公演について、韓国の公演界の未来についても伺いました。

*      *      *

●5月26日に開催される10周年公演はどんな内容になりそうですか?
「歴代の出演者のなかから、意義があったエピソードを10個選んだんです。それは作品でもあるし、歌だったり、イメージだったり、新人俳優だったり。有名な俳優だけを集めてやることもできるけど、個人的にはそういうイベントで大きな感動を得られることはあんまりないんですよね、自分の歌だけ歌って終わるから。「イヤギショー」でも代表曲ばかり歌って2時間進行するようなスタイルは聞いてても疲れるから、最初の2、3回だけやって止めたんですよ。それよりも「イヤギショー」ならではの特色がある人たちを集めよう、と。だから、超Aクラスの俳優は何人かしか出演しないけど、有名な俳優が外でパンフレットを売ってたり、客席で案内係としているかもしれないですよ。そういう計画をして、みんなで一緒に楽しめるよう準備しています」

lsj4●普段「イヤギショー」を見ていると、出演した俳優の多くが「一度出てみたかった!」とおっしゃいます。10年間やってきて韓国の公演界に何か影響を及ぼしたと思いますか?
「う~ん、公演界にどんな影響力があったかどうかは分からないです。それは全部終わった後で長い時を経て分かることのような気がするけど……。僕が満足している唯一のワケは、観客に対して不足していた1%をここで補おう、と。たくさんの公演によって観客たちは癒しや慰め、幸福感を得られると思うけど、公演は一方的な疎通ですよね? でも「イヤギショー」では舞台の上の人ではなく、舞台の下にいる人たちが気になっていることを僕が代わりに聞ける唯一の場所だから、観客たちにも快さがあるんだと思う。ミュージカルにより深い愛情を注いでもらえるような空間になればいいだけで、それ以上のことは望んでいないです」

●記念公演を終えた後も「イヤギショー」は続けられるんですか?
「はい、シーズン2も100回まではやります。100回までやって一旦幕を下ろします。次があるかどうかは分からないけど、とりあえず100回」

●韓国までミュージカルを見に来ている日本の方たちも「イヤギショー」を見てみたいという方は多いと思うんですよ。でも月曜日公演というのがネックで。昨年「宝塚スペシャル」(2013年4月、シーズン2の第37回)などもありましたけど、日本でも「イヤギショー」をやりたいという話をされていましたよね?
「うん、僕たちがやりたいことのひとつですね。「イヤギショー」の観客たちに約束したというのもあるけど、条件が合わないから行けないだけのか……。韓国では劇場を借りるのも出演する俳優も後援(=無償)なんです。だけど日本に行けば劇場を借りるお金やスタッフへのギャラ、出演者の渡航費用もかかればチケットの単価も上がる。それに日本の観客に来てもらうには有名な俳優の出演が不可欠でしょ? だけど、そういうことをやらないようにしようとしてるのが「イヤギショー」だから、僕を信じてついて来てくれれば大丈夫、という風にはいかない。日本の俳優と一緒にコンサート形式でやることも考えたけど、「イヤギショー」のスタイルを守らなければ面白さが伝わらないようだと思ったし」

●いつか、日本でも「イヤギショー」ができるといいですね。
「良い考えをお持ちの劇場があったらぜひ教えてください。例えば僕と俳優数名が出演するようなショーは1、2回だったら可能だと思うんですよ。だけど僕が考えているのは2カ月でも3カ月に1回でもいいから長いスパンでできる何か、なんですよ。そうすれば日本との橋渡しになれるでしょう? ただ日本に数回行くだけでは満足できないし、意味もないと思うんですよ」

lsj6●ええ、私も同感です。このインタビューを読んで「イヤギショー」に興味を持ってくださった日本の方々にショーの魅力を伝えるとしたら、どういう部分でしょうか?
「観客たちにとって「イヤギショー」は俳優がカツラや衣装を脱いだ場面。俳優が衣装や役柄を脱いだ、その人自身の姿を舞台で見せるものです。舞台裏ではその俳優がどうやって生きているのか、知りたいファンは多いですよね。大学路(テハンノ)で僕がコーヒーでも持って歩いていると『あ、イ・ソクジュンだ』ってなる。『あの人もコーヒー飲んでたからコーヒー飲もう』という風に一日中話題にしてますよ。ある俳優は舞台の上では華のようなイメージだけど、あの人も私たちと同じ人間でトイレにも行くでしょ(笑)と。またある俳優はスマートな演技をする人なのに食事するときいつもボロボロこぼすとか。昔はみんな俳優に神秘的なイメージを持っていてそれを守ろうと努力していたと思うんですよ。日本でもそうでしょう? 神秘性を維持するために俳優がどれほど努力しているか、と同時に私たちと同様にいかに日常生活に溶け込んでいるか。そういうことが僕はその俳優が舞台に立っていることに対して大きな感動を呼ぶと思います。私生活ではごはんをボロボロこぼしても掃除しないような人でも、舞台の上でどうやって役作りをしたか訊くと、どんな過程を経たか背景が全部見えるようなんですよ。舞台の上でドキュメンタリーを見ているというか、バックステージを見ているような感じ? その人の人物像が見えるようになると、公演を見るときに全く新しい視点で見えるようになるんですよ」

●確かに、「イヤギショー」で俳優さんたちの素顔を見て、その人や作品に興味がわいて、舞台を見に行ったことが何度もあります。
「そういう風に見に行かれて、「イヤギショー」で面白い姿を見せていた俳優がシリアスな作品に出ていると台無しにしそうだと思うけど、そうじゃないでしょう? 観客たちはとても賢明で芸術を理解する気概がありますよ。ある程度変化した姿を見せてもそれを理解してくれる観客が多いということですよ」

●いま、初めて演出に挑戦された「サム・ガール(ズ)」が公演中ですが、個人的には初演のときに見て、すごく面白かったのでずっとまた見たいと思っていたんです。どうやって今回演出をされることになったんですか?
「すごく大好きな作品で、僕が本格的に演劇俳優としての道も歩き始めた初めての作品だったんです。今回で上演は4回目だけど、前の3回はずっと主人公として出演していてもうやり尽した感もあった。そこに劇団メンシアターの代表に『作品を一番よく分かっているから、あなたが演出したら?』と突然言われて、演出することになったんです」

somegirls

演劇「サム・ガール(ズ)」プレスコールより

●プレスコールでは「演出という役を演じている」とおっしゃっていましたが、俳優としてではなく、演出家として俳優たちと稽古してみていかがでしたか?
「僕は俳優として稽古するときも、ちょっと離れたところから見るタイプなんですよ。演出にそれはそういう風にしたらダメじゃない? とか(笑)、かなり(客観的に)見るほうで。それを維持しようとしてますけど、初めてのことだからそれが良いのか悪いのかよく分からないですね。とにかく自分が舞台に立ったら、と仮定して俳優たちと議論しながら一緒に創り上げる感じです。その代わり、彼らが一番動きやすいように、僕が演じるときに不便だったことは全部無くすようにしています(笑)。最もシンプルにして俳優だけを見るように心がけました」

●最後に、韓国の公演界の変化をずっと見てこられたわけですが、今後はどうなっていけばいいと思われますか?
「公演市場は成功したと思いますよ。以前はよちよち歩きの段階だったから、何をやっても楽しいし面白かった。でも時間が経つにつれて、あまりにも急成長したからこれが建築物だとしたら基礎があまり良くなかった。長い時間をかけて基礎となるインフラを積み上げて舞台に上げなくてはいけない作品を、基礎が弱いもんだから制作する環境は悪くないのに外国の作品よりも面白くない。海外のライセンス作品はしっかりしてるのに、僕らの作品は何? と創作ミュージカルがもたつき始めたんですよ。それで市場は大きくなったけど中身が空っぽの不安定な建物みたいに感じていて、僕がずっと創作ミュージカルの舞台に立つ理由は中身がしっかりした作品をお見せしたいからなんです。でも今年すごく驚いているのは、創作ミュージカルがライセンスミュージカルに並び始めた。基礎がしっかりした作品が上演され始めたんですよ。「フランケンシュタイン」「共同警備区域JSA」「グルーミーデイ」「アガサ」「女神様が見ている」とか、どれ一つとってもつまらないと聞いたことがない。今までのものすべてが崩れたからインフラが出来たというか、卵の状態から基礎が必要だと制作陣が気づき始めて、CJなどの文化財団の支援プログラムからもひとつずつ作品が舞台に上がり始めたんです。優れた作品を選定して良い作家や演出を投入し、発展させて……と、そういう良い作品が上演されてきた期待感があります。また、しっかりした作品を海外に持っていこうともしている。日本でも中国でもいいけど、本場でも勝負できる作品ができるように。俳優だけじゃなくクリエイターもそうで、韓国のアンドリュー・ロイド・ウェバーが出てくればいいですよね。チェコミュージカルや『ノートルダム・ド・パリ』みたいなフランスミュージカルのように韓国も代表的な作品がひとつでも生まれればいいな、というのが僕の願いです」

*      *      *

■公演情報■

「ミュージカル イヤギショー イ・ソクジュンと共に シーズン2」⇒公式サイト
毎月2回(不定期)月曜日20時 大学路・プティツェルシアター
※チケットはCJ E&Mチケットのみで販売
(残念ながら日本から直接買える方法はありませんが、ほとんど毎回当日券が出るため劇場で購入可。事前にチケットを購入されたい方は韓劇.comチケット&グッズ情報ツイッターなどにお問い合わせください)
韓国語がよく聞き取れなくても、会場にいるだけで十分楽しいので機会があれば、日本の皆さんにもぜひ一度見てほしいです!
豪華ゲストが多数登場する10周年記念公演のリポートも後日掲載予定です。ご期待ください!

インタビュー前編を読む

■SPECIAL INTERVIEW アーカイブ■
Vol.1 パク・ウンテ <前編><後編>