[REPORT]豪華ゲスト出演!『ミュージカル イヤギショー』10周年記念公演、盛大に開催

 

17

ソウルの劇場街大学路(テハンノ)の小劇場で開催されているミュージカル俳優のトークショー『ミュージカル イヤギショー イ・ソクジュンと共に』(以下、『イヤギショー』)。
MC(司会)の俳優イ・ソクジュンが、舞台から降りた素顔の俳優たちの魅力や作品づくりの裏話などを絶妙なトークを交えて紹介し、韓国の舞台ファンたちに愛されているトークショーだ。(イ・ソクジュンのインタビュー記事は⇒こちら) 2004年に始まった『イヤギショー』の10周年を記念したスペシャル公演が5月26日にLGアートセンターで開催された。

開演前、ステージの両サイドにあるスクリーンにはなぜかカカオトークの画面が。よく見るとMCイ・ソクジュンと、コ・ヨンビン、キム・ホヨンらゲストたちがリアルタイムチャット中で、まるで『イヤギショー』での会話のごとく展開される内容に観客は大爆笑! すでにショーはここから始まっていたのだった。

いよいよ本番! オープニング曲をイ・ソクジュンが自ら歌いながら登場。やや緊張気味な様子ながら、まずは『イヤギショー』恒例、俳優たちの幼いの写真を公開してウォーミングアップ。チョ・スンウをはじめ、いまや人気スターとなった俳優たちのあどけない写真が次々と公開された。そして一番最後に写真が映し出された『イヤギショー』の第1回ゲスト、イ・ゴンミョンと『ミス・サイゴン』で共演したキム・ボギョンががステージへ。2人歌ったのは「世界が終わる夜のように(Last Night of the World)」。久々のクリスとキムの再会という豪華な幕開けだった。続いてまもなく開幕する『モーツァルト!』のヴァルトシュテッテン男爵夫人役でも知られるシン・ヨンスクが、2013年の公演当時大反響を呼んだ『レベッカ』のナンバーを披露。圧倒的な歌唱力と存在感を見せつけた。

その後、懐かしのセルフカメラ映像を上映。『イヤギショー』のシーズン1(2004年~2007年)では、ゲスト俳優へ事前にビデオカメラを渡して撮影させ、ユニークなプライベート映像などを見せていたそう。ユン・ゴンジュ、キム・ムヨル、チョン・ソンファ、チョ・ジョンソクなどの懐かし映像が登場し、トップスターたちの初々しい時代を垣間見ることができた。

4
『女神様が見ている』は今年公演中のメンバーが出演

続いては最近大ヒットした創作ミュージカルのなかから、『女神様が見ている』と『風が吹いてくるところ』チームがそれぞれ代表曲を披露した。
『女神様が見ている』チームはチョン・ソンウ、シン・ソンミン、イ・ジェギュンとスンホ役の3人が並んで歌うというスペシャルな演出もあり観客を楽しませた。
一方、歌手の故キム・グァンソクの曲をフィーチャーした小劇場ミュージカル『風が吹いてくるところ』は、メンバーが歌番組に出演して公演の存在が知られると、チケットが瞬く間に完売して驚異的なヒットを記録した作品だった。名曲「あの日々(그날들)」「埃になって(먼지가 되어)」などを同作に主演したミュージシャンのパク・チャングンが歌い上げ、観客たちはキム・グァンソクの歌世界に酔いしれた。

そして過去、飛び入り参加も含めて歴代最多出演との呼び声高いキム・ホヨンが登場! 兵役から除隊して間もない彼は「お勤めして帰ってきました~!♥」と挨拶。怒涛のソロトークを展開後『イヤギショー』名物のひとつである“個人技(特技)”を披露するコーナーにつなげた。そのなかでも最強の個人技マスターに選ばれた万能コメディ王、イム・ギホン(『ディセンバー』『バンジージャンプする』などに出演)がハードル、走り幅跳び、水泳など“一人オリンピック選手”のネタを繰り広げて大大大爆笑となった。

7
マーガレットマスター、チェ・ジェウン先生は静かに入場して美味しい食べ方を指南した

次に登場したのが、『スリル・ミー』日本公演にも出演経験のあるチェ・ジェウン。普段はクールな二枚目イメージの彼が、昨年のゲスト出演時にマーガレットというロッテのビスケットを「牛乳と一緒に食べると美味しい」と力説して大反響となり、ファンたちが競ってマーガレットを買ったという『イヤギショー』ならではの伝説を残していたのだ。記念公演ではイ・ソクジュン、コ・ヨンビンと、ミュージカル俳優ユン・ヨンソクの愛息ユン・イェダン君、『ビリー・エリオット』で活躍したタン・ジュンサン君、そしてマーガレットマスター、チェ・ジェウン先生の5人でマーガレット試食会が行われた。由緒あるLGアートセンターのステージでビスケットを食べたのは彼らが最初で最後であろう。ちなみに個人技を披露した2人はそれで終わったわけではなく、チェ・ジェウンは『ラ・マンチャの男』の「見果てぬ夢」を、イム・ギホンは出世作となった『キム・ジョンウク探し』の「アジャアジャインディア」を歌ってしっかりと本領も発揮していた。2人による本番前のバックステージトーク動画(⇒こちら)が面白いので要チェックを。

続き 『イヤギショー』では定番の新人紹介コーナーに。同コーナーに出演後ブレイクした俳優も多く、シーズン1ではまだ新人、もしくは若手だったオム・ギジュン、オ・マンソク、チョ・ジョンソク、シン・ソンロク、キム・ムヨルなどの貴重な映像も公開された。歴代の新人のなかから代表して現在『ヘドウィグ』に出演中のイ・ヨンミと、まもなく『ブラッド・ブラザーズ』で舞台復帰するチョ・ジョンソクがソロステージを披露。またユ・リア、チョン・ダヒ、チェ・ヒョンソンの新人3人が、ミュージカル『プリシラ』の「It’s Raining Men」を歌い、着実に次世代俳優が台頭してきていることも感じさせた。

11
LGアートセンターを所狭しと暴れた『TRACE U』チーム

そしてこの日、最も会場を盛り上げたのがミュージカル『TRACE U』チーム! キム・デヒョン、ムン・ソンイル、ソ・ギョンス、イ・ジホ、チェ・ソンウォンの5人がステージを飛び出して客席にも乱入し、普段の公演さながらの“トライ(또라이=クレイジー)”な暴れっぷりを見せて会場を沸かせた。

加えて、観客たちを感無量にさせたのが久々にステージに上がった『モビーディック』と『ストーリー・オブ・マイライフ』のキャストたちだった。
俳優やミュージシャンで構成されたキャスト全員が楽器を演奏しながら演じるという斬新な作品性でヒットした『モビーディック』はオリジナルメンバーが2年ぶりに集結。リハーサルを重ねてこの日に臨んだそうで、かつてのステージを見事に甦らせていた。一方の『ストーリー・オブ・マイライフ』チームは、まず歌手のKAIが名曲「蝶(나비)」を澄んだ歌声で聞かせ、子役のユン・イェダン&タン・ジュンサン~イ・ソクジュン&コ・ヨンビンへとシンクロさせて、幼なじみが成長していく劇中の主人公エルヴィンとトーマスの物語をリアルに再現するという心憎い演出を見せてくれた。この2作は人気、作品性も高い良作だっただけに、また再演を見たいと思ったファンも多かったことだろう。

15
会場にいるすべての人を圧倒的な歌声で魅了したユン・ボッキ

そしてオーラスを飾ったのは、かつて『ピーターパン』などに主演し、海外でも活動、韓国ミュージカルの黎明期から活躍する大ベテランのユン・ボッキ。ステージの両サイドにはこの日出演した俳優が全員登場し、後輩たちに見守られながら自身の代表曲である「みなさん(여러분)」を爆発的な声量と圧倒的な存在感で歌い上げた。会場は感動に満ち溢れ、『イヤギショー』の記念公演を締めくくるにふさわしいフィナーレとなった。

終演後には観客全員にマーガレットとパック牛乳のお土産セットまで用意され、最後までいつもと変わらない手作り感覚のアットホームな雰囲気だった10周年記念公演。この『イヤギショー』がもつ温かさや、それを支えるファンの存在こそが、韓国舞台シーン全体の魅力ではないかと感じた一夜だった。

⇒Facebook 『ミュージカル イヤギショー』10周年記念公演フォトギャラリー

 ■公演情報■

「ミュージカル イヤギショー イ・ソクジュンと共に シーズン2」⇒公式サイト
毎月2回(不定期)月曜日20時 大学路・プティツェルシアター
※チケットはCJ E&Mチケットのみで販売
あと40回を残したシーズン2は、7月から再開予定。