韓国の舞台情報サイト、ステージトーク(STAGE TALK)http://www.stagetalk.co.kr/ で、観客投票のみで優秀作品/俳優を選定するアワード「2019 STAGE TALK AUDIENCE CHOICE AWARDS」(以下「2019 SACA」)の投票結果が去る12月末に公開された。
「2019 SACA」は2019年11月15日~21日まで事前候補調査を通して作品/俳優を選定後、12月4日~11日までステージトーク会員を対象に本投票を受け付けた。
各賞は演劇とミュージカルに部門を分けて選定されているが、投票は演劇部門で3452人、ミュージカル部門で33110人の投票をもとに集計されている。
以下の投票結果は、ステージトークで発表されたデータを参照。寸評は、投票結果をもとに韓劇.comで独自の解説を執筆した。当ページでは俳優部門を紹介する。
●各部門投票結果1位まとめページ(STAGE TALK サイト ※韓国語)
●投票結果の詳細データページ(STAGE TALKサイト ※韓国語)
【2019最高の俳優部門】
●演劇女優主演 ●演劇男優主演
1位 チェ・ユハ 1位 キム・ギョンス
2位 キム・ジヒョン 2位 パク・ウンソク
3位 チョン・ウンソン 3位 パク・ジョンボク
4位 ペク・ウネ 4位 カン・ヨンソク
5位 イ・ギョンミ 5位 イ・ヒョヌク
●演劇女優助演 ●演劇男優助演
1位 ソン・ジユン 1位 カン・ギドゥン
2位 チョン・スヨン 2位 カン・スンホ
3位 ムン・ジナ 3位 ソン・ユドン
4位 カン・ミョンジュ 4位 オ・ジョンテク
5位 イム・ガンヒ 5位 イ・ガンウ
●演劇女優新人 ●演劇男優新人
1位 チェ・スジン 1位 ムン・ユガン
2位 チョ・イン 2位 チェ・ジョンウ
3位 チェ・ハユン 3位 ヨン・ジュンソク
4位 チョン・ウヨン 4位 ぺ・フン
演劇俳優部門は、作品の評価と比例した結果となっている。
女優は『オーファンズ』で“ジェンダー・フリー・キャスティング”の象徴となったチェ・ユハが主演賞を、本作で演劇に初挑戦したチェ・スジンが新人賞を受賞。また『プライド』で好演していたソン・ジユンが助演賞を受賞している。3人とも小劇場ではベテランの域に入りつつある実力派だが、それぞれにこれまでとは異なる作品やキャラクターに挑んだことが評価に結び付いている。
男優は主演賞に『ヒストリー・ボーイズ』『プライド』と2019年は人気作の再演に初出演して好演していたキム・ギョンス。助演賞は『僕を溶かしてくれ』など近年はドラマでも名脇役として活躍しつつ『R&J』『ヒストリー・ボーイズ』『報道指針』と舞台へも精力的に出演していたカン・ギドゥン。新人賞は1位のムン・ユガンをはじめ、上位4人すべてが『アナザー・カントリー』で鮮烈デビューを飾った新人俳優で占められているのは、観客がいかに“新しい顔”を求めているかが良く分かる結果となっている。
●ミュージカル女優主演 ●ミュージカル男優主演
1位 キム・ソヒャン 1位 キム・ジュンス
2位 キム・ソヒョン 2位 チョ・スンウ
3位 オク・ジュヒョン 3位 パク・ウンテ
4位 シン・ヨンスク 4位 ホン・グァンホ
5位 キム・ソニョン 5位 チョ・ヒョンギュン
●ミュージカル女優助演 ●ミュージカル男優助演
1位 チャン・ウナ 1位 パク・ガンヒョン
2位 ミン・ギョンア 2位 ソン・ジュノ
3位 シン・ヨンスク 3位 イ・ジフン
4位 イ・イェウン 4位 パク・ミンソン
●ミュージカル女優新人 ●ミュージカル男優新人
1位 キム・ヨンジ 1位 ファン・ミンヒョン
2位 ナ・ハナ 2位 シウミン
3位 キム・へイン 3位 ドギョム
4位 キム・スヨン 4位 ヤン・ヒジュン
5位 キム・スハ 5位 ユン・ジソン
●ミュージカルアンサンブル:『マリー・アントワネット』
ミュージカル俳優部門は大劇場作品の出演者に集中した結果となった。
女優主演のキム・ソヒャン、女優助演のチャン・ウナ、男優助演のパク・ガンヒョン、女優新人のキム・ヨンジ、男優新人のファン・ミンヒョン、そしてアンサンブルまで『マリー・アントワネット』の出演者が上位を占めたのは、投票期間中に上演していたことも大きいが、2018年度の新作『笑う男』から『エクスカリバー』まで続くEMKミュージカルカンパニー制作作品の常連俳優たちが、観客に広く支持されていることがよく分かる結果だ。
また、男優新人はアイドル歌手が名を連ねるなか『スワッグエイジ:叫べ、朝鮮!』のヤン・ヒジュンが4位に入り健闘している。演技力、歌唱力ともに新人とは思えぬスキルを持ち、その評判が口コミで広がり、後半は出演日が連日完売するなど驚異的なデビューを飾った。彼を発掘したのは、名優チョ・スンウを育てたPLエンターテインメントの代表だ。今後ミュージカル界を担う次世代俳優となれるのか? スーパールーキーの動向に注目しよう。
2019年の韓国舞台シーンで特徴的だったのが、各カンパニーごとに出演者が固定化する“劇団化”がより進んだことだった。そんななか、以前から自社作品に所属俳優中心のキャスティングをしていたR&D Worksが19年末にコンテンツ制作劇団「R&D Works STUDIO」の設立を発表するなど、2020年以降もこの動きはますます加速していくと予想される。これは、カンパニー側としては実力とチケットパワーを併せ持つ俳優をキープでき、俳優側も仕事が途切れないメリットがある反面、出演俳優の固定ファン以外の観客を呼び込みづらいデメリットも併せ持っている。いち観客としては、ベテランから新人まで所属を問わず柔軟にチャンスを与え、キャスティングの妙を楽しむ機会をもっと増やしてほしいところだ。
文:さいきいずみ(韓劇.com)
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