[PLAY]米・気鋭の劇作家が描く社会の縮図『グロリア』再演が開幕

 

ニューヨークの雑誌出版社を舞台に、社会の縮図のような人間模様を描いたNONAME THEATER COMPANY制作の『グロリア』が昨年に続き再演されている。

同僚にグロリアの引っ越しパーティーの話をするディン(イ・ヒョンフン)

本作はアメリカの新進劇作家ブレンダン・ジェイコブス・ジェンキンスが2015年に発表し、2016年度のピューリッツァー賞ドラマ部門の最終選考まで残って注目を浴びた作品だ。

グロリア役のクァク・ジスク

 

タイトルにもなっている“グロリア”はニューヨーク、ミッドタウンにある雑誌編集部で働く最も社歴が長い女性社員の名前。会社と会社の人間関係がすべてだったグロリアは、長年貯金してようやく購入した自宅の引っ越しパーティーに同僚を招待するが、参加したのは男性社員のディン1人だけだった。パーティーの翌日、こわばった表情でオフィスに現れ、無言でたたずむグロリアをケンドゥラ、エニーら女性社員たちは無視同然の対応をする。やがて、再びオフィスに現れたグロリアが予想もできないような衝撃的な事件を起こし、同僚たちの人生を一変させるのだ。

グロリアを忌み嫌うケンドゥラ(ソン・ジユン)とエニー(コン・イェジ)

劇中グロリアの登場シーンは少ないが、同僚たちの会話から人物像を浮かび上がらせていく。地味だが真面目に働いているグロリアをあざ笑うような同僚たちの会話や態度は、学生時代には「いじめ」と称される特定の個人への迫害が一般社会においても同様に行われていることをまざまざと見せつける。

事件後、出版社を辞めて堕落した生活をおくるディン

2幕では舞台をコーヒーショップに移し、以前は社内で“勝ち組”的存在だったディンやケンドゥラがグロリアが起こした事件の後、堕落した“負け組”の人生を送っているさまが描かれる。そしてグロリアを唯一理解していたローリンは出版社を退社後、契約社員として入ったLAの出版社でグロリアの事件の当事者であることを明かすと、社員たちはその逸話を出版しようと躍起になるのだ。

契約社員のローリン(チョン・ウォンジョ)を出版社社員らは利用しようとする

本作はNYの出版社-コーヒーショップ-LAの出版社と3場で構成されている。1場ではグロリアを演じていたクァク・ジスクが、3場ではLAの出版社の編集長ナン役と対照的なキャラクターを演じて、社会の無常さをアイロニカルに際立たせている。

グロリア役から“勝ち組”の編集長ナン役に変身するクァク・ジスク

出版社というメディアの宿命とその中における人々の姿に、観客は自分の身の回りでも起きうる(起きている)ストーリーに共感しつつも何とも言えない葛藤が心に残るだろう。
NONAME THEATER COMPANY作品の常連である実力派俳優たちによる好演も光る『グロリア』は8月13日まで、大学路のアートワンシアター3館で上演される。

ローリン(チョン・ウォンジョ)の存在が、皮肉な物語を浮き彫りにする


【公演情報】
演劇『グロリア』(글로리아)
2017年7月14日~8月13日 大学路アートワンシアター3館

<出演>
●ローリン役:チョ・ウォンジョ
●グロリア/ナン役:クァク・ジスク
●ケンドゥラ/ジェンナ役:ソン・ジユン
●ディン/デヴィン役:イ・ヒョンフン
●マイルズ/ショーン/ラシャード役:オ・ジョンテク
●エニー/サーシャ/キャリー役:コン・イェジ

プロデューサー:ハン・へヨン/原作:ブレンダン・ジェイコブス=ジェンキンス/翻訳:イ・ジヒョン/演出:キム・テヒョン/脚色・ドラマターグ:イ・インス/舞台:シン・スンリョル/照明:イ・ドンジン/音響:ユン・ミンチョル/衣装:ホン・ムンギ

取材協力:NONAME THEATER COMPANY

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