「イ・ジェフン映画『番人』GVに4年ぶりに登壇!」
久々のコラム更新は映画ネタです。
映画『建築学概論』やドラマ『秘密の扉』の主演で知られるイ・ジェフンさんが、彼の出世作となった映画『番人(파수꾼/Bleak Night)』(⇒公式ブログ)の上映会でGVに立つというので、6月6日に見に行って来ました。
映画『番人』予告編映像(Daum Movieより)
映画『番人』は、2010年の釜山映画祭でプレミア上映され、翌2011年に劇場公開されました。日本では福岡のアジアフォーカスで上映されたのみかと思うのですが、公開当時韓国の劇場で見たときの衝撃といったら……近年見た韓国インディーズ映画のなかでは、例えばヤン・イクチュン監督・主演の『息もできない(똥파리)』を見たときのインパクトに並ぶほど、個人的ベスト5に入る素晴らしい作品でした。日本で劇場公開されていないのがとても残念な作品のひとつです。
高校生の息子ギテが突然の自殺。その理由が分からず苦悩している父親が、息子のクラスメイトたちひとりひとりに、手がかりを探るべく話を聞いていくのですが、そのなかに過去のギテたちの様子をフラッシュバックさせて織り込みながら、答えを紐解いていきます。派手な展開があるわけではないものの、劇中のギテのようにジリジリと追い詰められていくような緊迫感で胸が締め付けられるよう……観終わった後で、心の中にズシリとした何かが残る作品でした。DVDが韓国でリリースされているようですので、もし見つけたらぜひ入手して見てほしいです。
イ・ジェフンさんは本作で大鐘賞、青龍賞の2大映画賞で新人男優賞を受賞し、まさしく映画界期待の新星となったのはその後の活躍を見ても分かる通り。しかし、この作品で注目されたのは彼だけではありません。ギテの父役、チョ・ソンハさんはは長年ドラマや映画の助演俳優としておなじみですが、数々のインディーズ映画にも出演してきた方。なかでも本作は大きな飛躍のきっかけになったと思います。昨年ソンハさんはドラマ『ワン家の家族たち』で“花中年”と呼ばれて大人気となり、ミュージカル『プリシラ』にも挑戦して話題を呼びましたよね。
ギテのクラスメイト役にはドラマ『魔王』や映画など数々の作品で子役時代から安定した演技を誇るソ・ジュニョンさんと、演劇『キサラギミキちゃん』の初代スネーク役や、ドラマ『君たちは包囲された』にも出演していたパク・ジョンミンさんなどなど。主要キャラを演じていた俳優はみな現在まで着実にキャリアを積んでいます。
『番人』を上映した「INDIE SPACE」(⇒公式サイト)は、もともと明洞に劇場があったそうですが、その後光化門の元ミロスペースという劇場で運営していたアートシアターです。そして今回、鍾路3街の老舗劇場「ソウル劇場」内に移転オープンとなり、6月5日~7日まで「Indie’s Face」と題してこけら落としイベントが実施されました。
その目玉となったのが今回のイ・ジェフンさんとユン・ソンヒョン監督参加による『番人』上映だったのですが、な、な、なんと、上映開始20分くらいでブチッと映像が切れ、電気系統のトラブルで上映不可となり、結局映画は見ることができずじまいでした(苦笑)。
その後、劇場に駆けつけた2人によりGVのみが行われるという異例の事態になったのですが、災い転じて…というわけでGVは約1時間にわたり行われました。
劇場は若い女の子ファンで埋め尽くされていたのですが、質問ひとつひとつに真摯に答えていたイ・ジェフンさん。
この作品は彼にとって原点のような、「初心に返れる作品」だと言っていました。しかし、監督との仲は「今は良好です(笑)」と言っていましたが、撮影中は役柄のせいもあってか、なかなか大変な作業だったようです。
こういうインディーズ映画にまた出る気はないかという質問には「良い作品があれば出演したい」というジェフンさんに対し、監督が「ジェフンさんが出ると決まった時点で、投資がつくので独立映画ではなくなるだろう」(確かに)とシビアな意見も言っていました。長編デビューとなった本作で一躍若手監督の旗手となったユン監督ですが、年内クランクインを目標に長編2作目を準備中とのこと。新作、楽しみに待ちたいと思います。
イ・ジェフンさんはかつて「INDIE SPACE」の広報大使を務めていたそうで、その義理もあり今回登壇してくれたと思うのですが、肝心の映画上映が出来なかったのは残念でした。(後日再上映をするそうです)。以前にも一度、別のアートシアターで機材トラブルにより映画が見れないというのを経験したことがあったのですが、ソウル劇場は建物や施設自体も古いので、今後の上映にも支障がないといいなと思います。それにしてもお客さんたち、みな辛抱強く待っていて、よく怒らないなと思いましたが(笑) それもイ・ジェフンさんのお蔭だったかなと。