韓国演劇界を牽引する劇団のひとつで、日韓共同制作公演なども多数上演している劇団コルモッキル(극당 골목길)が、11月に代表作「青春礼賛(청춘예찬)」の来日公演を行う。
劇団コルモッキルは、劇団を主宰する劇作家・演出家パク・グニョンを中心に結成。韓国語で路地を意味する劇団名のごとく、市井の人々に光を当て、その日常を鋭く切り取ったような作風に定評がある。「代々孫々」「キョンスクとキョンスクのお父さん」など、再演を繰り返す名作も多い。なかでも1999年に初演した「青春礼賛」はその年の各演劇賞を総なめするほど評価を得た作品。この初演で、主人公の青年を演じていたのがパク・へイルで、本作での好演で注目を浴び、いまや韓国映画界を背負う人気俳優へ羽ばたくとなるきっかけとなった。以降も、キム・ギドク「一対一」など映画界でも活躍するキム・ヨンミン、映画「牛と一緒に7泊8日」主演のキム・ヨンピルなど青年役を経験した俳優は、舞台を超えて活動の幅を広げている。また、“てんかん”役を初演から演じていたのは鄭義信作品「焼肉ドラゴン」をはじめ、数々の作品で名演を披露しているコ・スヒ。ほかにも、近年はドラマにも多数出演しているユン・ジェムンが父親役を演じるなど、コルモッキル作品では、確かな演技力をもつ俳優によるリアリティ溢れる物語を堪能できるのが最大の魅力だ。
「青春礼賛」は無職で酒浸りの父と暮らす青年が主人公。ある日てんかんの発作をもつ彼女と一夜をともにしてしまい、やがてその彼女が貧乏長屋の青年の部屋に転がり込んできて、奇妙な3人暮らしが始まる……というストーリー。
来日公演で青年役を演じるのはつかこうへいの「熱海殺人事件」を韓国キャストで2012年に上演した「熱い海」主演や、「赤いバス」「満州戦線」など、近年パク・グニョン作品への出演が続くキム・ドンウォン。てんかん役には今年5年ぶりに再演された映画「殺人の追憶」の原作舞台「私に会いに来て」で“シーンスティーラー”と呼ばれる熱演を見せたイ・ボンリョンが演じる。 韓国現代演劇史に名を残す名作を日本で見られる貴重な機会となりそうだ。
●来日韓演劇週間Vol.2
劇団コルモッキル「青春礼賛」(韓国)/温泉ドラゴン「桜」(日本)/ゲキバカ「男の60分」(日本)
11月19日~24日 東京 上野ストアハウス ⇒公演詳細
「青春礼賛」出演:イ・ギュフェ(父役)、チョン・ウンギョン(母役)、キム・ドンウォン(青年役)、イ・ボンリョン(てんかん役)、キム・ドギュン(先生役)、イ・ホヨル(ヨンピリ役)、シン・サラン(イゥプニ役)、ナ・ヨンボム (コジリ役)
※「青春礼賛」の上演は11月19日(水)5時半/20日(木)7時/21日(金)1時、8時半/22日(土)1時、6時/23日(日)2時半/24日(月・祝)4時半
また、この来日公演に先がけ、大学路のヨヌ(演友)小劇場にて9月17日から「路地裏での秋の遠足(골목길로의 가을소풍)」と題して劇団コルモッキルと、ゆかりのある2劇団による3作品を連続上演中。
日本からは、俳優、劇作家・演出家として活躍するシライケイタ(白井圭太)作・演出による、温泉ドラゴン「birth」をが来韓公演を行う。以降も9月30日~10月12日まで劇団コルモッキル「青年チョン・テイル『火種』」、10月23日~11月2日には大邱市の劇団「ハンウリム」による「強い隙間風が吹く日」が上演される。
●温泉ドラゴン「birth」(ソウル公演)
9月17日(水)~21日(日) 大学路・ヨヌ(演友)小劇場
出演:筑波竜一 いわいのふ健 白井圭太 阪本篤
※韓国公演後、東京・上野ストアハウスにて、10月6日、7日に凱旋公演「birth Final」もあり。⇒公演詳細