2年ぶりの再演が開幕したミュージカル『風月主』(プンウォルジュ)を、観客が舞台の感動と余韻を写真や映像にそのまま記録できるスペシャルイベント「雲楼(ウンル)主人コール」が9月11日に開催された。
物語の舞台となっている古代新羅時代には花郎(ファラン/화랑)という眉目秀麗な青年を集めた集団があり、なかでも精鋭は風月主と呼ばれていた。文芸にも秀で、美しい容姿をもつ男性の象徴となっていた風月主は、のちの時代には妓生のような存在の呼称にもなっていたという。そのような史実をベースにしている本作は、男性の妓生、風月(プンウォル)たちが主人公だ。雲楼とは、彼らが身分の高い女性客をとるために身を置く場所のこと。つまり、今回のイベントは観客が雲楼の客人となれる特別な1日となった。
主人公は、容姿端麗な男たちが集う雲楼で、幼いころから兄弟のようにすべてを共にしてきたヨルとサダム。雲楼で一番人気のヨルを寵愛していた孤独な真聖(チンソン)女王が彼の子を懐妊。待ち望んでいた妊娠に喜び、愛するヨルを王の座に迎えようとする女王だが、かたくなに拒むヨルの背後にはサダムの存在があることを知り、サダムに圧力をかけはじめるのだ。
美しい男たちの切ない愛が交錯する物語に2012年の初演から大ヒット。翌年の再演を経て日本公演も行われた。3度目の再演を記念して開催されたこのイベントのチケットは発売と同時に即完売するほどの圧倒的な人気を見せていただけに、客席にはカメラ、ビデオレコーダーなどをもつファンで超満員。試演が始まったとたん、すさまじいシャッター音のなか、ヨル、サダムと各トリプルキャストを中心に、全キャストが登場して9曲のハイライトシーンが上演された。
3度目の再演では、前2回の無機的なイメージとは異なり、雲楼の建物のなかにいるようなセットが組まれている。キム・ドンヨン演出家は「初演、再演でも多くの観客から愛された作品なので、プレッシャーも大きかったですが、前2回とまったく違うようにしようという考えはなく、台本を読んで、曲を聴いて浮かんだ風景を舞台に移そうと思いました。最も重要だと考えたのは作品のなかにいる主人公たちの心情をどう表現するかで、それに集中したように思います。雲楼という空間で、互いに得られないものを求める人たち、それぞれに誰かの生きがいとなっている相手を得ることができないという哀しい想いを、美しい背景のなかに込められれば、というのが私の演出の方向だったと思います。制作中に冗談で話していたのですが、実際に美しい木々に囲まれ、風の音が聴こえるような野外で公演ができたらいいなと言っていたほど、美しい場所で、美しいけど哀しく、哀しいからこそ美しい感性豊かな公演になればと思います。なぜ彼らはそうなってしまうのか、と説明するよりも切ない感情が美しい一枚の絵のように心に残る作品になればいいなと思っています」と語り、登場人物たちの心情にフォーカスした演出になっていると解説していた。
初演でヨル役を演じて人気沸騰したソン・ドゥソプとイ・ユルのカムバックや、サダム役のキム・ソンチョル、クングム役のソン・グァンイルなど注目の新人も出演し、再び大学路に旋風を巻き起こしている『風月主』は11月22日まで上演される。
【公演情報】
ミュージカル『風月主』(풍월주)
2015年9月8日~11月22日 プティツェルシアター(大学路)
出演:ソン・ドゥソプ、イ・ユル、キム・デヒョン、キム・ジフィ、ユン・ナム、キム・ソンチョル、チョン・ヨン、イ・ジスク、ユン・ソグォン、シム・ジェヒョン、チャン・イジュ、チェ・ユジン、ソン・グァンイル
脚本:チョン・ミナ/作曲:パク・ギホン/演出:キム・ドンヨン/音楽監督:グ・ソヨン/舞台:パク・サンボン/照明:イ・ドンジン/音響:ヤン・ソクホ/衣装:キム・ウニョン/ヘアメイク:キム・ユソン/小道具:チェ・へジン
ポスター写真提供:CJ E&M ©韓劇.com All rights reserved. 記事・写真の無断使用・転載を禁止します。
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