韓国で、いま一番忙しい演出家とも言われているキム・グァンポが、昨年LGアートセンターと初コラボした『社会の柱』に続き、第2弾となる演劇『少しはみ出て殴られた』を11月に上演決定。バラエティに富んだ出演者が発表された。
『少しはみ出て殴られた』は、京都を活動拠点にしている劇団MONOの代表を務める、劇作家・演出家、俳優の土田英生(つちだひでお)が2012年に発表した戯曲が原作。土田は数々の演劇のみならず、「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」「斉藤さん」など、多数のドラマ脚本も手掛けている人気作家だ。今回の公演で、土田作品が初めて韓国に上陸することになる。
物語の舞台は、軽犯罪の常習犯を収監しているある刑務所。6人の囚人と2人の看守が、ある日お遊びで刑務所内に一本の線を引いて国境をつくったところ、それまで平和的に刑務所生活を送っていた彼らが、この線のために不自由を強いられ始めるというシニカルなブラック・コメディだ。「政治的、社会的システムについて語るまえに、人間自体に興味を持ちたい」という土田の言葉どおり、たった一本の線により変わっていく人間関係をコミカルかつ辛辣に描いている作品だ。
このシュールな作品を韓国で舞台化するにあたり、キム・グァンポ作品ではおなじみの男優を中心に、8人が集結した。
ユ・ヨンス、ユ・ソンジュ、ハン・ドンギュ、イ・ソクジュン、キム・ヨンミン、イ・スンジュは昨年、LGアートセンターが制作・上演した『社会の柱』や、ドゥサンアートセンターで上演していた演劇列伝作品『M.Butterfly』にも出演していた、“キム・グァンポ組”とも呼べる常連俳優たちだ。加えて、今回キム・グァンポ作品に初参加するユ・ビョンフンは、『青い日に』『ホンド』や、ミュージカル『アリラン』など話題作を次々と世に送り出している劇作家・演出家のコ・ソンウンが代表を務める劇工作所「魔方陣(マバンジン)」の作品や、劇団ドリームプレイを率いるキム・ジェヨプが東亜演劇賞を受賞した『アリバイ年代記』など、近年の話題作に出演してきた俳優だ。そして、イム・チョルスはミュージカル『女神さまが見ている』『共同警備区域JSA』と、北朝鮮兵役を好演して一躍人気を集めた、いま注目の若手俳優だ。
国やジャンルを問わず、バラエティに富んだ戯曲を観客に分かりやすく分析、演出し、手掛けた作品は軒並みヒットさせているキム・グァンポ。勝手知ったる実力派俳優たちとともに、土田作品の世界を韓国の観客にどう見せていくのか、その手腕が期待される。
韓国版『少しはみ出て怒られた』は、11月5日~18日にLGアートセンターで上演される。
【公演情報】
演劇『少しはみ出て怒られた』(살짝 넘어갔다가 얻어맞았다)
2015年 11月5日~18日 LGアートセンター
出演:ユ・ヨンス、キム・ヨンミン、ユ・ビョンフン、イ・ソクジュン、ユ・ソンジュ、ハン・ドンギュ、イ・スンジュ、イム・チョルス
原作:土田英生/演出:キム・グァンポ/翻訳:イ・ホンイ/脚色:キム・ウンソン
チケットは、インターパーク、YES24、LGアートセンターホームページなどで発売中。
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