[PLAY]人気作家が突然の失踪…その理由は?『盗まれた本』開幕

 

人気脚本家ソ・ドンユン役のイ・シフ(左)と彼を拉致した元アシスタント、チョ・ヨンラク役のチョ・サンウン

『ピローマン』『私に会いに来て』『報道の指針』などの話題作を手掛け、韓国の演劇ファンに支持されているビョン・チョンジュ演出家が実力派俳優を揃えておくる『盗まれた本』が4度目の再演初日を前にプレスコールを開催した。

ビョン・チョンジュ演出家

『盗まれた本』は映画『コ死-二番目の話』『ミスター主婦クイズ王』などを作・演出したユ・ソンドン監督が、2011年に「大韓民国ストーリー公募」で大賞を受賞した同名映画シナリオが原作となっている。
長らくスランプに陥っていた脚本家ソ・ドンユンが、才能ある作家志望の若者チョ・ヨンラクが書いたシナリオを盗んだことから巻き起こる拉致事件と、その背景を描き出したスリラー作品だ。

劇中映し出されるアニメーションを芝居とシンクロさせたユニークな演出も見どころの本作。ビョン・チョンジュ演出家は、9月に上演した3度目の再演からさらにバージョンアップし、今回の上演をVer.3.5と呼んでいる。「前回と大きな変化はありませんが、一番最後のシーンにアニメーションを追加しました。原作にはなく、この原作を基にしたウェブトゥーン(ウェブ漫画)にあるシーンですが、原作とウェブトゥーン、演劇が互いに影響を受けつつ構成できて個人的には満足しています」と今回のバージョンに手ごたえを感じているようだった。

確かな演技力で存在感を見せるイ・シフ

長年の沈黙を破って脚本を執筆した映画が大ヒットしたものの、映画賞の授賞式後に拉致され、で一気に栄光から奈落の底に落ちるソ・ドンユン役には今年ソウル芸術団から独立後、ミュージカル、演劇と精力的に出演しているイ・シフが新たに加わった。
「ドンユン役はほとんど出ずっぱりで退場するシーンがないので、稽古に入る前は“ああ、どうやって進行させよう?”と強迫観念に囚われていましたが、一旦芝居が始まってヨンラクとやり取りし始めたら、ある瞬間からそんな心配は忘れて芝居に入り込んでしまいます」と、体調管理に気を付けてひたすら役に没頭するだけだと語っていた。

穏やかな面持ちだが、時に狂気を見せるヨンラクを演じるカン・ジョンウ
劇中ではヨンラク以外のサブキャラクターを一人多役で演じるチョ・サンウン

自身が執筆した脚本を盗んだドンユンを拉致監禁し、脚本執筆をさせようとするチョ・ヨンラク役はトリプルキャスト。プレスコールでは、9月公演にも出演していたチョ・サンウンと今回初出演となるカン・ジョンウが出席した。

カン・ジョンウは「誰かを閉じ込めたり、傷つけたりしてみたいとちょっとでも思ったことがある人がいたら、悪いことはせずにこの作品を見に来てストレス発散してほしいです」とユニークな推薦コメントを。一方チョ・サンウンは「9月の公演よりもよりこなれた演技を舞台と近い距離で見られると思います。すべての俳優がそれぞれに違ったカラーを持っているので、すべてのペアの公演を見に来てくださればありがたいです」とアピールしていた。

芝居とアニメーションをシンクロさせた演出が見もの

9月の上演ではドンユンとヨンラクのペアを固定していたが、今回は2人のドンユン役と、3人のヨンラク役がランダムに出演し、組み合わせの妙が楽しめるとのこと。
拉致事件の裏に隠されていた秘密を紐解く醍醐味と、実力派俳優たちによる熱演が堪能できる『盗まれた本』は、大学路芸術劇場 木と水(旧、木と水(나무와 물)劇場)で、2月26日まで上演される。


【公演情報】
演劇『盗まれた本』(도둑맞은 책)
2016年12月16日~2017年2月26日 大学路芸術劇場 木と水

<出演>
●ソ・ドンユン役:パク・ホサン、イ・シフ
●チョ・ヨンラク役:カン・ジョンウ、イ・ギュヒョン、チョ・サンウン

プロデューサー:チョン・ユラン/原作:ユ・ソンドン/演出・脚色:ビョン・チョンジュ/音楽:オム・ブレ/イラスト:イ・ギュヒ/映像:シン・ジョンヨプ/舞台・小道具:チョン・スギャン/照明:イ・ジュウォン/衣装:オ・ヒョニ/音響:チャン・ギヨン/写真:チェ・ヨンソク/助演出:パク・ジュニョン

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