韓国ミュージカル界を代表するトップ俳優として長年君臨し、“皇帝”の異名をもつリュ・ジョンハンが、来年のデビュー20周年に、ミュージカルの制作者として新作2作品を準備中だ。
1997年に俳優デビューしたリュ・ジョンハンは、『ウエスト・サイド・ストーリー』の主人公トニー役でデビューし、これまで『オペラ座の怪人』『ジキル&ハイド』『ラ・マンチャの男』『フランケンシュタイン』など、韓国の大型ミュージカルには欠かせない看板役者として活躍を続けてきた。加えて『スリル・ミー』『ストーリー・オブ・マイライフ』などには小劇場作品ながら初演から出演し、彼の名演と作品性の高さもあいまって、いまもなお観客に愛されている定番作品として再演が繰り返されているほど、圧倒的な存在感とともに多くの足跡を残してきた屈指の名優だ。
俳優として長年舞台の上で過ごしてきた経験と、国内外のさまざまなクリエイターとの交流から、優れたパフォーマンスを披露するためには、俳優の力に頼るのではなく、舞台内外において俳優やスタッフたちと調和を保ち、チームワークを生む、という概念が自然と身についたという。そのチームワークをもとに作品制作を決意したという彼は、3年前からアンドリュー・ネイダーマン(Andrew Neiderman)の同名小説を原作にした『悪魔の弁護人』(Devil’s Advocate)を2017年冬の開幕を目標に、英国ウエストエンドの作曲家、脚色家とともにオリジナル作品として準備しているという。なお、1990年に発表され、ベストセラーとなった原作小説は過去1997年にアル・パチーノとキアヌ・リーヴスの競演で、『ディアボロス/悪魔の扉』(邦題)で映画化されているスリラー作品だ。
そして、『マタ・ハリ』『ドラキュラ』など、近年は韓国で精力的に新作ミュージカルの作曲を手掛けているフランク・ワイルドホーンは、かつて2009年に鹿賀丈史主演で日本版を初演したこともあるミュージカル『シラノ』を韓国初演するにあたり、主人公シラノ役をリュ・ジョンハンに依頼。台本と楽曲の魅力に感銘を受けたという彼は、自ら制作者として作品に携わることになったという。
「 プロデューサーとして華やかでカッコよくデビューしなくては、という欲ではない。ただ、これまで一緒に作業してきたスタッフ、俳優たちと意気投合して暖かく楽しい舞台を作りたいという小さな希望があるだけだ」と、短いコメントを伝えたリュ・ジョンハンは、俳優として多忙なスケジュールをこなしながらも、『シラノ』と創作ミュージカル『悪魔の弁護人』の2017年上演を目標に準備に拍車をかけているそうだ。
この2作品を皮切りに、リュ・ジョンハンは才能ある若手作家、作曲家や演出家との作業を通じて、今後もプロデューサーとして継続的に質の高い作品を創作することに努力を惜しまないと抱負を明らかにしている。俳優から制作者へと華麗な転身を遂げようとしている彼の動向に目が離せなくなりそうだ。
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