映画『殺人の追憶』の原作として知られ、名優たちとともに再演を繰り返してきた演劇『私に会いに来て』が、初演から20周年を迎える2016年に特別公演を実施する。
『私に会いに来て』は、京畿道・華城(ファソン)市で、1986年からの5年間に10人もの女性が殺害された未解決事件「華城連続殺人事件」をモチーフに、劇作家・演出家のキム・グァンリムがシナリオを執筆。1996年に劇団ヨヌ舞台により文芸会館小劇場(現、アルコ芸術劇場小劇場)で初演された。以降10年間、キム・グァンリムが演出も務め、その後は劇団パークの代表でもあった、俳優の故パク・クァンジョンの演出で2度上演されたこともある。この間、数公演で助演出を務めたビョン・チョンジュが2006年から昨年まで演出を引き継ぎ、着実に再演を行ってきた。
ちなみに『私に会いに来て』とは、劇中にも登場する、事件当時流行していた歌謡曲の題名だ。
物語は次々と起こる猟奇的殺人事件の捜査を担当するため、ソウルからエリートの若手キム刑事が華城警察署に派遣される。怪しい人物を次々と取り調べていくが、決定的な証拠がつかめず焦りはつのるばかり。そんななか、キム刑事に惚れる茶房の従業員ミス・キムとの恋愛や、チョ刑事とパク記者の秘めた関係など、捜査本部の人間模様も絶妙に盛り込まれたヒューマン・ミステリーになっている。
事件の資料をもとに創作された、犯行の残酷性や猟奇性を鋭く描き出したセンセーショナルな内容と、捜査に当たる刑事たちのビハインドストーリー、それを演じる俳優たちのウイットに富んだ演技は観客や評論家からも高い評価を得た。同年の百想芸術大賞で戯曲賞(キム・グァンリム)と、新人賞(イ・デヨン)を受賞。さらに、ソウル演劇祭では作品賞と演技賞・人気賞(リュ・テホ)を受賞している。以降も、チェ・ジョンウ、ソン・セビョク、チェ・ジェウンなど、舞台からドラマや映画へも活動の幅を広げる多くのスターたちが出演してきた。
ポン・ジュノ監督は、本作をもとに2003年に映画『殺人の追憶』を制作。観客500万人を突破して、当時としては記録的な大ヒットとなった。主演のソン・ガンホ、キム・サンギョン、パク・ヘイルらはこの作品で一躍映画界のトップスターの座を得た記念すべき作品でもある。
このようなヒストリーを経て、2016年に20周年を迎える『私に会いに来て』の記念公演にはOBとYBの2チームに分けた、新旧の豪華キャストが揃っている。
OBチームは2006年の10周年記念公演を最後に、この作品を後にした初演メンバー、クォン・ヘヒョ、キム・レハ、ユ・ヨンス、リュ・テホ、ファン・ソクジョン、コン・サンアが復帰する。加えて百想芸術大賞で新人賞を受賞したイ・デヨンが、捜査チームの責任者キム班長を演じる。また映画『思悼(サド)』やドラマ『ヨンパリ』など映像界でも活躍するチャ・スンべが容疑者の友人役など一人多役のマルチマン役となる。
一方のYBチームは、2006年以降の再演に出演したメンバーで構成されている。キム班長役がはまり役のソン・ジョンハクを筆頭に、『ピローマン』でもソン・ジョンハクと共演したキム・ジュンウォンとイ・ヒョンチョル、2014年公演に出演したイ・ボンリョン、イ・ウォンジェ、ヤン・テクホに、今回唯一の新人であるミス・キム役のイム・ソラが参加している。
この豪華メンバーに加え、作・演出家のキム・グァンリムが10年ぶりに演出に復帰して、さらに期待を高める『私に会いに来て』20周年特別公演は、1月22日から国立劇団 明洞芸術劇場で上演される。
【公演情報】
演劇『私に会いに来て』(날 보러와요)
2016年1月22日(金)~2月21日(日) 明洞芸術劇場
<出演>
●キム班長役:イ・デヨン(OB)、ソン・ジョンハク(YB)
●キム刑事役:クォン・ヘヒョ(OB)、キム・ジュンウォン(YB)
●チョ刑事役:キム・レハ(OB)、イ・ウォンジェ(YB)
●パク刑事役:ユ・ヨンス(OB)、キム・デジョン(YB)
●容疑者役:リュ・テオ(OB)、イ・ヒョンチョル(YB)
●パク記者役:イ・ハンナ(OB)、ウ・ミファ(YB)
●ミス・キム役:コン・サンア(OB)、イム・ソラ(YB)
●ウチョル役ほか:チャ・スンべ(OB)、ヤン・テクホ(YB)
●ナム氏夫人役:ファン・ソクジョン(OB)、イ・ボンリョン(YB)
作・演出:キム・グァンリム/音楽:イ・ナリメ/舞台:パク・ドンウ/照明:グ・クンヒ/衣装:パク・ジヘ/ヘアメイク:キム・グニョン/プロデューサー:ホン・ユンギョン
写真提供:Pro’s LAB ©韓劇.com All rights reserved. 記事・写真の無断使用・転載を禁止します。
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