ソウル芸術団による歌舞劇「風の国-ムヒュル」のプレスコールが5月12日、芸術の殿堂CJトウォル劇場で行われた。
「風の国」は漫画家キム・ジンが1992年から連載した歴史ファンタジーコミックが原作。舞台作品だけでなく、ゲームやソン・イルグク、パク・コニョンらの出演で2008年に制作されたドラマ「風の国~Land of Wind~」など、多方面にメディアミックスされた人気作だ。舞台版では、戦争を通して強国を創り上げようとする高句麗の第3代王・大武神王(ムヒュル)に対し、父を慕いながらも平和な社会を望む息子ホドンとの葛藤を中心に描かれる。幻想的かつ独創的なセットと衣装、そしてソウル芸術団ならではの高度で美しいダンスが堪能できる作品だ。
ソウル芸術団が2006年に初演し、今回5年ぶり4回目となる上演には、初演時からムヒュル役を演じているコ・ヨンビンと、ホドン役にはミュージカル「西便制」の出演を終えたばかりのMBLAQジオが客演して話題となった。
演出のイ・ジナは「学生時代に愛読していたコミックで作品やキャラクターへの思い入れが人一倍あっただけに、イメージキャスティングにこだわった」と初演からコ・ヨンビンを起用した理由を語った。コ・ヨンビンも「再演のたびに起用していただけるのは光栄ですし、今後も声をかけていただければいつでも出演したい。年齢を重ねるごとに作品への接し方も変わってきたが、今回は格好良く見せるよりも、より自然に自分の内面から出てくるものをお見せしたい」とこの作品への愛着を見せた。
一方のジオも「ソウル芸術団の方々と同じ舞台に立てて光栄です。歌手として舞台に立つときは4分くらいの短い時間に全力を尽くしますが、公演では2時間以上も集中して牽引していかなくてはならないので大変だけどそれさえも楽しい。でもヒゲが濃いので1日2回公演の時にヒゲが伸びてこないか心配で、3枚刃のカミソリを用意した(笑)」と純粋なホドンのイメージを維持するための裏話も披露して笑いを誘った。
ハイライトとなる戦闘シーンは、ソウル芸術団作品の最大の長所である舞踏を中心に構成。国立舞踏団の芸術監督アン・イェスンによる難易度の高い振付もこなせるダンスチームによる群舞や、コ・ヨンビンの剣舞、ケユ役のパク・ヨンス、ソリュ役チャ・エリヤによるソロなど、その迫力と美しさに息をのむはずだ。
前回の2009年バージョンから、CGを駆使してより幻想性を高めたいわゆる商業ミュージカルとは一線を画した芸術性の高い舞台と、ハイレベルな俳優たちによる舞踏劇が楽しめる「風の国-ムヒュル」は5月20日まで上演される。