ムン・ジョンウォン

[MUSICAL]踊り子から紅の女スパイの物語へ-進化した『マタ・ハリ』再演

[MUSICAL]踊り子から紅の女スパイの物語へ-進化した『マタ・ハリ』再演

 

宿命に逆らい惹かれ合うマタ・ハリ(チャ・ジヨン)とアルマン(オム・ギジュン)

韓国からブロードウェイ上演作の誕生を目指し、2016年に初演された韓国オリジナルミュージカル『マタ・ハリ』の再演が、今年は世宗文化会館 大劇場に劇場を移して開幕した。
19世紀末にオランダの裕福な家庭で生まれたものの、家業の没落により紆余曲折を経てパリに移住し“マタ・ハリ”の名でダンサーに。その後、エキゾチックな美貌を武器に第一次世界大戦下に仏・独で諜報活動をしたことから、女スパイの代名詞となった実在の女性をモチーフに、彼女の劇的な半生を描いた作品だ。

総製作費250億ウォン、約4年の準備期間を経て昨年お披露目された『マタ・ハリ』は、『ジキル&ハイド』などの作曲家として知られるフランク・ワイルドホーンを中心に、ブロードウェイで大作を手掛けた強力なクリエイティブチームを揃えて制作された。この豪華なスタッフに加え、主演のオク・ジュヒョンを筆頭にトップクラスのミュージカル俳優の出演もあり、昨年の新作ミュージカルのなかでは最も大きな期待と注目を集めた作品となった。今年は、初演時の課題とされていたドラマ性を強化するため、ロイヤル・シェイクスピアカンパニー出身のスティーブン・レインを演出に招き、リニューアルすることを予告していた。

マタ・ハリと知り合った直後、アルマン(オム・ギジュン)は戦地に向かうことになる

そしてその予告以上に、今年の『マタ・ハリ』再演は全く新しい作品と言っても過言ではないほど、大胆な変身を遂げていた。初演のマタ・ハリが「ムーランルージュ」の“踊り子”のイメージを前面に打ち出していたとすれば、今年は“女スパイ”の側面に重きを置いた人間ドラマとして描く方向に舵を切ったのだ。
アンサンブルによる重厚なナンバーのモブシーンからスタートし、オープニングから舞台は第一次世界大戦下にあることを示唆。マタ・ハリに目を付けたラドゥ大佐、町中でのトラブルをきっかけに出会ったマタ・ハリとアルマン……などストーリーのキーポイントとなるシーンは残しつつ、無駄なセリフやシーンはそぎ落として物語をぐいぐいと進めていく印象を受けた。また、観客の緊張感と集中力を切らさないように展開するスピーディーなセットチェンジと演出は白眉だった。多くの演出家が頭を悩ませる世宗文化会館の大舞台をここまでスムースに活用できた人はなかなかいないだろう。

ゴージャスなドレスやワンピースなど、次々と変わる深紅の衣装は見どころのひとつ

マタ・ハリの劇的すぎるエピソードの何を活かすか、取捨選択は難しかったと思うが、スパイとしての活動に葛藤し、心を通わせた運命の男性に命がけの恋をする、一人の女性の生き様を描いた作品として十分に完成度を上げていた。結局、セットも衣装もほとんど新規で制作することになったようだが、一度出来上がっている作品を解体し再構築する作業は、容易ではなかっただろうと思われる。

観劇した日のキャストは、マタ・ハリ役にチャ・ジヨン、アルマン役オム・ギジュン、ラドゥ役ミン・ヨンギ、アンナ役キム・ナユンであった。

表面的にはマタ・ハリ(チャ・ジヨン)への思いを見せないラドゥ(ミン・ヨンギ)

プライベートでの結婚・出産を経て、満を持して本作で舞台復帰を果たしたチャ・ジヨンは、人間性を浮き彫りにした今年のマタ・ハリを演じるにはまさに適役。近寄る男たちをしたたかにあしらうクールネスと強さをもちながらも、アルマンの前では穏やかで優しい素顔を見せるヒロイン像を見事に消化していた。1幕、2幕の各クライマックスで辛い心情を切々と歌い上げる様は、彼女だからこそ見せられたマタ・ハリの姿であろう。

精悍な青年兵士のイメージとなり、魅力倍増のアルマン(オム・ギジュン)

そして初演では純粋さの残るマタ・ハリの“年下彼氏”のイメージが強かったアルマンは、毅然とした男らしいキャラクターに変貌していた。彼は上官ラドゥの命令のもと、監視していたマタ・ハリに魅了されてしまった自己矛盾と葛藤することになるのだが、コミカルなシーンを一切排除したことで、オム・ギジュンの持ち味である演技力が際立ち、一段と魅力的なアルマンに仕上げていた。同役はチョン・テグン(VIXXレオ)とイム・スロン(2AM)とのトリプルキャストだが、若い彼らがこのキャラクターをどう演じているのか、気になるところだ。

アルマンをイム・スロン(左)とチョン・テグン(右)がどう演じているか見比べるのも一興

また、今年はラドゥ大佐が徹底的に“悪役”と化している点も見逃せない。手駒としてマタ・ハリ、アルマンを利用する非情なキャラクターだが、冷酷さの裏で二人の仲への嫉妬も匂わせる。ラドゥがアルマンと正面対決するシーンでは、オム・ギジュン―ミン・ヨンギの競演は、気心の知れた二人だからこその息の合ったデュエットが堪能できる名場面のひとつだった。ほかにもラドゥ役はキム・ジュンヒョン、ムン・ジョンウォンと個性の違う3人が演じるため、ラドゥVSアルマンのシーンは、キャストの組み合わせによって全く違った印象になることだろう。

初演よりも悪役に徹した役柄となったラドゥ(ミン・ヨンギ)

今回の再演で驚いたのが、マタ・ハリの身の回りの世話をするアンナの活かし方だった。初演に続き出演しているキム・ナユンは、過去の出演作でも見せて来たコミカルなイメージが強い人だが、それを極力抑え、マタ・ハリの苦悩を受け止める母親のようなキャラクターとなっていた。劇中2曲あるアンナのソロナンバーを温かくも丁寧に歌い上げ、彼女の新たな魅力を発見したシーンとなった。

マタ・ハリとアルマン(チョン・テグン)のロマンスがどう変化しているかも見もの

実在した人物がモデルとなっているだけに、波乱万丈なマタ・ハリの人生を舞台に落とし込むには今年のようなリニューアルは必然だった。だが一方で、きらびやかなダンサーとしての描写は大幅にそぎ落とされ、観劇中一息つけるような遊びのシーンもなかったように思われた。言葉を換えれば、それだけ緊張感があり、ストーリーに集中できるようになっているのだが、初演にあったような華やかさを求める観客は多少の息苦しさを覚えるかもしれない。

演出も俳優たちの演技も、さまざまなミッションをクリアしてかなり見ごたえある再演になっているのは間違いなく、多くの観客がカーテンコールにスタンディングオベーションで出演者を迎える姿が、今年の出来を象徴していた『マタ・ハリ』は8月7日まで、ソウル・光化門(クァンファムン)の世宗文化会館 大劇場で上演される。


【公演情報】
ミュージカル『マタ・ハリ』(마타하리)
2017年6月16日~8月6日 世宗文化会館 大劇場

<出演>
●マタ・ハリ役:オク・ジュヒョン、チャ・ジヨン
●アルマン役:オム・ギジュン、イム・スロン(2AM)、チョン・テグン(VIXX レオ)
●ラドゥ大佐役:ミン・ヨンギ、キム・ジュンヒョン、ムン・ジョンウォン
●アンナ役:キム・ナユン、チェ・ナレ

総括プロデューサー:オム・ホンヒョン/プロデューサー:キム・ジヒョン/芸術監督:パク・ヨンジェ/脚本:アイヴァン・メンチェル/作曲:フランク・ワイルドホーン/作詞:ジャック・マーフィー/演出:スティーブン・レイン/編曲・オーケストレイション:ジェイソン・ハウランド/韓国語歌詞・協力演出:クォン・ウナ/音楽監督・指揮:キム・ムンジョン/ドラマターグ:イ・ダンビ/振付:ホン・セジョン/美術:オ・ピリョン/衣装:ハン・ジョンイム/ヘアメイク:キム・ユソン/照明:グ・ユニョン/音響:キム・ジヒョン/映像:ソン・スンギュ/小道具:チョ・ユニョン/技術:イ・サンチュン、キム・ジョンムン/舞台監督:イ・ジノ/制作技術:イ・ヨンギュ/制作監督:チョン・ウニョン/制作:チョン・ドンソン

写真提供:EMKミュージカルカンパニー

[MUSICAL]オム・ギジュン、チョ・スンウ、キュヒョン音源収録『ウェルテル』15周年記念OST発売

[MUSICAL]オム・ギジュン、チョ・スンウ、キュヒョン音源収録『ウェルテル』15周年記念OST発売

 

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12月24日発売! 『ウェルテル』OST(3枚組)イメージ

2015年冬に熱い興行旋風を巻き起こしているミュージカル『ウェルテル』が、12月24日にファン待望の「15周年記念OST」を発売開始する。

『ウェルテル』のOSTは、2003年以来、13年ぶりに新たに発売されるもので、2015年プロダクションの全俳優が参加している。特に、ウェルテル役のオム・ギジュン、チョ・スンウ、キュヒョンの3人3色のウェルテルの歌声をすべて収録した、3枚組構成による究極のスタジオ録音盤OSTとなっている。
「禁断の花」「足を離すことができなければ」など、劇中の主要ナンバーはもちろん、2013年公演から追加された「磁石山の伝説」「いつかその日」など、各CDごとに計28曲が収録されている。ピアノやストリングスなど11人編成のオーケストラが聴かせる叙情的な室内楽の旋律と、俳優たちの優美な歌声により、作品の余韻と感動を呼び起こす内容になると期待を集めている。

今回のOST発売は、過去15年の歴史を作ってきた制作陣が現在も参加しているからこそ可能であった。クラシックを専攻し、美しい旋律を生み出したチョン・ソンミン作曲家。そして、多くのミュージシャンからのラブコールが絶えない、アレンジャーでもあり、15年間音楽監督を務めてきたグ・ソヨンを中心に全キャストが参加して、約1カ月間にわたりレコーディングが行われたという。

今回のOST発売は、長い間『ウェルテル』にたゆまぬ愛を注ぎ続けてきた観客の声援に報いる意味ももっている。海外に比べると、ミュージカルのOST市場が大きくない韓国で、本格的に創作ミュージカルのOSTをリリースすることは、改めて韓国創作ミュージカルの力を確認するうえでも大きな意味を持っている。

『ウェルテル』15周年記念OSTは、12月24日から劇場での直販のほか、Mnetほか韓国の各音楽サイトからのダウンロード購入、韓国インターパークの書籍通販サイトでも販売開始される。(注:韓国音楽サイトおよびインターパーク書籍通販サイトは、日本からの直接利用不可)

去る11月10日に開幕し、オム・ギジュン、チョ・スンウ、キュヒョンと歴代最高のキャストで15周年記念公演を実施中の『ウェルテル』は、2016年1月10日まで、芸術の殿堂 CJトウォル劇場で上演される。


 

2015werterposter【公演情報】
ミュージカル『ウェルテル』(베르테르)
2015年11月10日~2016年1月10日 芸術の殿堂CJトウォル劇場

<出演>
●ウェルテル役:オム・ギジュン、チョ・スンウ、キュヒョン
●ロッテ役:チョン・ミド、イ・ジヘ
●アルベルト役:イ・サンヒョン、ムン・ジョンウォン
●オルカ役:チェ・ナレ
●カインズ役:カン・ソンウク、キム・ソンチョル

脚本:コ・ソンウン/作曲:チョン・ミンソン/演出:チョ・グァンファ/音楽監督・協力演出:グ・ソヨン/振付:ノ・ジヒョン/舞台:チョン・スンホ/衣装:ハン・ジョンイム/照明:チョン・テジン/音響:ヤン・ソクホ/ヘアメイク:キム・ユソン/小道具:ノ・ジュヨン/チャン・ギョンジン

写真提供:CJ E&M ©韓劇.com All rights reserved. 記事・写真の無断使用・転載を禁止します。

[MUSICAL]『ウェルテル』15周年記念公演にチョ・スンウ、オム・ギジュン、キュヒョン出演!

[MUSICAL]『ウェルテル』15周年記念公演にチョ・スンウ、オム・ギジュン、キュヒョン出演!

 

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(写真左から)ウェルテル役のオム・ギジュン、チョ・スンウ、キュヒョン 写真提供:サイダスHQ/グッドマンストーリー/SMエンターテインメント

初演から韓国の観客たちが変わらぬ愛情を注いでいる創作ミュージカル『ウェルテル』が今年で15周年を迎え、歴代最高ともいえる豪華キャストを発表した。

ミュージカル『ウェルテル』は、18世紀ドイツの文豪、ゲーテが自身の体験をもとに創作した代表作「若きウェルテルの悩み」が原作。2000年に劇団カッカジ(갖가지 さまざま)が、演出キム・グァンポ、脚本コ・ソンウンなど現在も演劇界の第一線で活躍する制作陣を揃えて上演した。ウェルテル役には『マン・オブ・ラ・マンチャ』『ロビン・フッド』などの出演で知られるソ・ヨンジュ、アルベルト役には『三銃士』『明成皇后』などに出演したキム・ボムレが初演キャストを務めている。以降も定期的に再演を重ね、過去ウェルテルを演じた俳優はチョ・スンウ、オム・ギジュン、キム・ダヒョン、ミン・ヨンギなどトップ俳優がずらりと揃う。また、韓国で初めて作品のファンクラブが誕生するほどのシンドロームを巻き起こした、エポックメイキング的作品としても知られている。

15周年を迎える今年は、ウェルテル役経験者のオム・ギジュンとチョ・スンウ、そして今回初挑戦となるキュヒョン(SUPER JUNIOR)という記念公演にふさわしい究極のキャストで上演される。
“ウェルテルの姿そのもの”と言われているオム・ギジュンは、劇的な復活を果たした2013年公演に引き続き、2年ぶりの出演。そして、注目は2002年以来、13年ぶりにウェルテルを演じることになるチョ・スンウの出演だ。また『あの日々』『ロビン・フッド』など話題作に次々と主演してきたキュヒョンは、悲恋に葛藤するウェルテル役を通じて新たな姿を披露することになるだろう。

そして助演陣もウェルテル役に劣らぬ豪華メンバーばかりだ。ウェルテルが一目ぼれし、抑えられぬ熱い想いを抱くロッテ役には、『マン・オブ・ラ・マンチャ』出演中のチョン・ミドと、『ジキル&ハイド』『ドラキュラ』で好演していたイ・ジヘ。二人は2013年公演でも同役を務めている。また、ウェルテルの恋路に大きな壁となるロッテの婚約者アルベルト役には、同役を演じるのは4回目となるイ・サンヒョンと『レ・ミゼラブル』の韓国初代ジャベール役や『ノートルダム・ド・パリ』クロパン役で知られるムン・ジョンウォンが初挑戦。そして恋に悩むウェルテルの最大の理解者となる酒場の女主人オルカ役は初演から何度もこの役を演じてきたチェ・ナレ。ウェルテルと同様に道ならぬ恋に苦悩する庭師カインズ役は『ファントム』でフィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵を演じたカン・ソンウクと『風月主』『思春期』のキム・ソンチョルという、注目の新鋭二人が演じる。

制作陣は大リニューアルした2013年公演のスタッフが再集結。豪華キャストとともに15年の節目となる記念公演をどのように仕上げてくれるのか期待が膨らむ。韓国最高のキャストとスタッフが揃った『ウェルテル』15周年記念公演は、11月10日から2016年1月10日まで、劇術の殿堂トウォル劇場で上演される。


2015werterposter【公演情報】
ミュージカル『ウェルテル』(베르테르)
2015年11月10日~2016年1月10日 芸術の殿堂CJトウォル劇場

<出演>
●ウェルテル役:オム・ギジュン、チョ・スンウ、キュヒョン
●ロッテ役:チョン・ミド、イ・ジヘ
●アルベルト役:イ・サンヒョン、ムン・ジョンウォン
●オルカ役:チェ・ナレ
●カインズ役:カン・ソンウク、キム・ソンチョル

脚本:コ・ソンウン/作曲:チョン・ミンソン/演出:チョ・グァンファ/音楽監督・協力演出:グ・ソヨン/振付:ノ・ジヒョン/舞台:チョン・スンホ/衣装:ハン・ジョンイム/照明:チョン・テジン/音響:ヤン・ソクホ/ヘアメイク:キム・ユソン/小道具:ノ・ジュヨン/チャン・ギョンジン

写真提供:CJ E&M ©韓劇.com All rights reserved. 記事・写真の無断使用・転載を禁止します。