ピンキーとクランジョ

[PLAY]CJ文化財団が大学路に新劇場「CJ Azit大学路」をオープン

[PLAY]CJ文化財団が大学路に新劇場「CJ Azit大学路」をオープン

 

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CJ Azit大学路 外観

2006年に設立され、2010年からミュージカル、演劇の若手制作者の発掘・支援事業を本格的に行ってきた「CJ文化財団」が、設立10周年を迎えて大学路(テハンノ)の旧SMアートホールを改装し、この4月から専門劇場「CJ Azit大学路」をオープンした。

ミュージカルや演劇の作品公募から、制作支援、ショーケース公演などを行う「CJ CREATIVE MINDS」や、音楽ライブなど、これまでは麻浦(マポ)区にある多目的ホール「CJ Azit広興倉(クァンフンチャン)」で、主に公演を行ってきたが、公演のメッカ大学路に舞台専門劇場と制作スペースを設けて、さらに事業の拡大と充実をはかる。

入口からモダンに改装された劇場は、同ビルの地下1、2階にある。席数は200席程度と小規模ながら、2階には客席としても、ステージとしても使えるベランダのようなスペースが設けられ、1階の舞台と客席は可変式となっており、制作者が作品に合わせ、自由に創作できるよう設計されているという。

4月24日に若手舞台俳優によるミュージカルコンサート「UNSUNG(언성)」でこけら落とし公演を行った後、「CJ CREATIVE MINDS」2016年の演劇部門の作品が2作品連続で上演されている。

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ピンキーとクランジョ姉弟を演じた、イ・ヒョンジュ(左)とキム・ヨンテク

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『ピンキーとクランジョ』ポスター

まず、5月3日~15日まで上演されたのは『ピンキーとクランジョ』(핑키와 그랑죠)。この作品は、新鋭シン・チェギョン脚本家がアウトサイダー・アートの代表的作家とされる、ヘンリー・ダーガーが遺した『非現実の王国で』にインスパイアされて創作戯曲として執筆。『蜘蛛女のキス』など多数の演劇を手がけたベテラン、ムン・サムファが演出した。

モチーフとなった『非現実の王国で』は、幼いころに孤児となり、晩年まで貧しい掃除夫として孤独な生涯を送ったヘンリー・ダーガーが少女戦士たちの戦闘記を60年にわたって人知れず挿絵とともに執筆し続けた長編小説。本作では、ダーガー自身の実話と、小説のストーリーを織り交ぜ、掃除夫ヘンリーが孤児院から引き取った姉弟を自身が執筆する小説の主人公に仕立てて物語が展開する。14年もの間、いわば幽閉され、子供のまま成長が止まったような姉ピンキー。8年前に家を飛び出し戻ってきた弟クランジョとの葛藤。そして二人の人生を結果的に狂わせたヘンリーの狂気など、原作の世界観を随所に生かした作品となっていた。

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脚本のシン・チェギョン(左)と、演出のムン・サムファ

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掃除夫ヘンリー役は、演劇界の重鎮キム・ジェゴンが演じた

そして6月4日まで上演中の『クレシェンド宮殿』は弟を亡くし、両親に対する負担を一人背負うことになった「女」が主人公。新たに家庭をもつ勇気もなかった彼女が、SNSを通じて知り合った、ある「男」と関係を持ち始めたことで、母が築いた一見平和に見える宮殿のような家庭の呪縛から逃れようとする姿を描く。

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母親役には過去に「CJ CREATIVE MINDS」に選定され、国立劇団でも上演された『少年Bが住む家』での演技が高く評価され2014年度の「大韓民国演技大賞・演技賞」も受賞したカン・イェシム。娘役には、ミュージカル『あの日々』『月光妖精と少女』や、演劇『プライド』『晩秋』など話題作にひっぱりだこの実力派キム・ソジン。演出は、近年韓国演劇界で注目を浴びた『木蘭姉さん』『黄色い封筒』のチョン・インチョルが担当し、二人の名女優とともに、一段と深みのある作品に仕上げている。

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SNSを通じてモーテルで出会った「男」役のクォン・イル(左)と、「女」役のキム・ソジン

CJ Azit大学路では、今後も「CJ CREATIVE MINDS」のミュージカル制作支援選定作のショーケースや、外部劇団、制作者の作品も含め、韓国オリジナルのミュージカル、演劇作品も上演していくとのこと。劇場ひしめく大学路の新たなランドマークとなることに期待したい。


CJcmposter2【公演情報】
演劇『クレシェンド宮殿』(크레센도 궁전)
2016年5月24日~6月4日 CJ Azit 大学路(旧SMアートホール)

<出演>
母役:カン・イェシム
娘役:キム・ソジン
男役:クォン・イル
息子役:キム・ミンハ

脚本:キム・スルギ/演出:チョン・インチョル

写真提供:CJ文化財団 ©韓劇.com All rights reserved. 記事・写真の無断使用・転載を禁止します。

[PLAY]2015 CJクリエイティブマインズ演劇部門2作品が選出

[PLAY]2015 CJクリエイティブマインズ演劇部門2作品が選出

 

2015cjcmposter脚本を公募し、新人舞台制作者の育成を支援して多数の創作ミュージカル、演劇を世に送り出してきたCJ文化財団の「2015クリエイティブマインズ」演劇部門最終審査が、さる9月21日CJ文化財団AZIT(ソウル市麻浦区)で開催された。

今年、4月7日から6月5日までの約2カ月間の募集期間で、計124作の応募があったなかから、『クレッシェンド宮殿』(作:キム・スルギ、演出:チョン・インチョル)と、『ピンキーとクランジョ』(作:シン・チェギョン、演出:ムン・サムファ)の2作が最終的に選ばれた。

『クレッシェンド宮殿』は、IMF、いじめ、就職難、世代間の葛藤など、現代社会を生き抜くうえで体感する多くの痛みを、ひとつの家族の話にまるごと盛り込んだ作品。脚本家キム・スルギの優れた文章力と繊細なセリフを通じて、現代人の不安と希望の境界を表現している。

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『クレッシェンド宮殿』リーディング公演の様子

『ピンキーとクランジョ』は、日本ではアウトサイダーアートの代表的作家として知られるヘンリー・ダーガーの半生をモチーフにしている。ダーガーは生涯孤独に自身の妄想を描き続け、死後評価されたアーティストだが、本作では幻想と現実のはざまで、心の傷を乗り越えていこうとする二人の子供の壮絶な成長談をつづる。 いつまでも子供のようでいたり、もしくは子供としてとどまるよう強要される、この社会で、彼らの話を通して、傷ついたすべての人生を応援して慰めようとする作品だ。

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『ピンキーとクランジョ』リーディング公演の様子

今回の審査には「クリエイティブマインズ」演劇部門の芸術監督であり、韓国公演界を代表する演出家チョ・グァンファとペ・サムシク脚本家に加え、『ハムレット』『14人(in)チェーホフ』『かもめ』などが好評だったオ・ギョンテク演出家など多彩な各分野の専門家が参加した。

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(写真左から)『クレッシェンド宮殿』の脚本家キム・スルギと演出家チョン・インチョル、『ピンキーとクランジョ』の演出家ムン・サムファと脚本家シン・チェギョン

CJ文化財団の関係者は「新人の脚本でも専門家によるアドバイスと、ベテラン演出家の力を合わせれば、韓国演劇界に新しい風を起こす素晴らしい作品が誕生すると期待している」と語り、今後も創作コンテンツ開発と文化人材育成に積極支援していくことを表明している。

CJクリエイティブマインズでは、演劇部門の公募を2012年から始め、昨年までに9作品を選定して作品開発および公演制作を支援してきた。 今回、最終選定された2作品も、さらなる制作準備を経て、2016年3月に舞台化される予定だ。

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