韓国で2012年に初演し、当時はミュージカルとしては珍しい、スリラータッチの謎解きストーリーと完成度の高さで、観客に支持された『ブラック メリーポピンズ』の日本版が約2年ぶりに再演される。
物語の舞台は1920年代のヨーロッパ。著名な心理学者、シュワルツ博士の屋敷が火災で全焼し、博士は死亡するが、博士が養子として育てていた男女4人の子供たちは養育係のメリーによって救出される。だが、その後メリーは姿を消し、子供たちはバラバラに新たな家庭に引き取られていくが、成長後に4人が再会したことで、封印していたはずの衝撃的な過去が紐解かれていく。
本作は2014年に韓国の劇場街、大学路(テハンノ)の小劇場で初演。脚本、音楽、演出、ステージングまで、通常は分業される制作を作者のソ・ユンミが一人で担ったことも話題となった。初演には、現在ドラマ、映画でも活躍中のカン・ハヌル、チャン・スンジョや、ミュージカルファンに圧倒的人気を誇る、チョン・サンユン、チョン・ソンウなどの実力派俳優を揃えてスマッシュヒットとなり、以降2度の再演を行っている。
この作品を演出の鈴木裕美率いる日本のスタッフ、キャストとともに、アレンジを加えて2014年に日本版を上演。宝塚を退団後の初舞台となった音月桂や、韓国バージョンをベースにした日本版『スリル・ミー』に出演経験がある小西遼生や良知真次など、豪華キャストでチケットは完売日続出となった。
男性キャラのハンスが主人公の韓国版に対し、日本版ではヒロインのアンナを軸にしているのが最も大きな違いだが、日本版再演にあたり、アンナ役を中川翔子が演じることは大きな注目ポイントだ。歌手として長年着実に活動を続けてきた彼女だが、今回が意外にも初舞台。さらに日ごろから、映画、漫画などのホラーやスリラーものに造詣が深いことで知られるだけに、ファンならずとも期待せずにはいられないだろう。中川は、出演が決まったことに自分でもビックリしているそうだが、「作品を見て“面白い!”と思ったと同時に、アンナという女性に共感できる部分もあって、今はどんな舞台になるのか楽しみにしています。ミュージカルの世界は、歌もお芝居も毎回が生の戦いで、あらゆるスキルが必要となり心の強さも大切な世界。さまざまな先輩方を目指して学び、経験値を重ねて初めての世界に飛び込みたいと思います」と抱負を述べている。
新たな個性を迎えて、初演メンバーと共にどんなアンサンブルを見せるのか期待される『ブラック メリーポピンズ』は、2016年5月~6月 東京・世田谷パブリックシアターで上演後、兵庫、福岡 名古屋でも公演予定。東京公演のチケットは2016年3月に発売予定だ。
【公演情報】
ミュージカル『ブラック メリー ポピンズ』(日本版)
2016年5月~6月 東京・世田谷パブリックシアター
(ほか、兵庫、福岡、名古屋公演を予定)
<出演>
●アンナ役:中川翔子
●ハンス役:小西遼生
●ヨナス役:良知真次
●ヘルマン役:上山竜治
●メリー役:一路真輝
脚本・作詞・音楽:ソ・ユンミ/演出:鈴木裕美/日本版台本:田村孝裕/訳詞:高橋亜子
●公式サイト:http://m-bmp2.com/
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