祖父、父、息子と三代のやもめ男が暮らすマンション。彼らはそれぞれ、家に誰もいない(と思っている)隙に、家族には存在を明かしていない彼女を連れ込み、2人だけの時間を過ごそうとするのだが……。世代ごとに違うカップルの恋愛のかたちや交錯する思惑を面白おかしく描いた演劇「浮気な三代」のプレスコールが2月18日、大学路サンミョンアートホールで開催された。
舞台のみならず映像界でも活躍する演技派俳優が多数所属する「劇団チャイム」のミン・ボッキ代表の作・演出による本作は、ちょっと下世話で親しみやすいチャイムお得意のドタバタ喜劇。2012年に「二人芝居フェスティバル」に出品され、人気賞を得て昨年本公演に上がった作品が約1年ぶりに大学路に戻ってきた。3世代のカップルを一人三役、2人の俳優だけで演じ分けるのが見どころで、男優が素早く衣装やカツラを早替えしながら祖父、父、息子があたかも同じ空間にいるかのように見せる冒頭のシーンは圧巻。演じる役者のほうは息が切れんばかりで大変そうだが、その慌しさが笑いを誘い、一気に観客を芝居に引き込んでいく。
今回の再演では、男女トリプルキャストに増員。プレスコールでは父親カップルをチョン・スンウォン×ソン・ユヒョン組が、息子カップルをパク・フン×キム・ナミ組が、そして祖父カップルをソン・ジェリョン×コン・サンア組が演じた。
初演と変わった点について、ミン・ボッキ演出家は「劇場が変われば演劇自体のカラーが変わります。最初の公演から出演しているソン・ジェリョンとコン・サンアがこの作品を作り上げたと言っても過言ではないので、演出をどうしたというより、2人が創り出したものを自然に見えるようにしただけです」と語り、俳優の個性や組み合わせの違いで9通りの面白さがあると教えてくれた。
初演から共演しているジェリョン×サンア組は、会場の雰囲気や反応に合わせて観客を自在に“いじる”余裕のコンビネーション。一方、今回初参加となるチョン・スンウォンは「今まで出演した作品のなかで一番セリフが多く、ミン演出家からは頭より身体で覚えろと言われました。余裕をもってやろうとしても、ジェリョン先輩たちと自分の上演時間が10分以上も短かった」と、アドリブを使いこなすのに苦心しているようだった。
当日プレスコールのMCも務めたパク・フンの言葉通り、「カップルからおじいちゃん、おばあちゃんまで世代を超え、家族がひとつになって楽しめる作品」。大学路の小劇場コメディならではの面白さが味わえる作品になっている。
公演情報:演劇「浮気な三代」
2月7日~5月11日 大学路サンミョンアートホール1館
出演:ソン・ジェリョン、コン・サンア、パク・フン、キム・ナミ、チョン・スンウォン、ソン・ユヒョン
チケットはインターパークなどで発売中。